テニバカ的女子テニスプレイヤー考察(第13回カロリーナ・プリスコバ)
今回とりあげるプレイヤーは言わずと知れたトッププレイヤーの1人に数えられるカロリーナ・プリスコバである。
プリスコバをとりあげることの意味はただひとつ、なぜグランドスラム優勝できる実力がありながら、未だ決勝が一度だけで優勝できるように思えない理由についてである。
結論からいえばこれしかない。それはどんな大会でも100%の力を出し惜しみせず優勝を狙いにいく真面目さが邪魔をしているのである。
元々はなぜプリスコバがグランドスラム前哨戦だろうが、とにかく優勝を狙いにいっている理由を勝手にナブラチロワやノボトナなど自国のレジェンドを意識したのものだと勝手に解釈していたが、そもそもシンプルにどんな大会でも遮二無二優勝を狙っているのではと何年もプリスコバを見ているうちに印象が変わってきた。
これが確実になったと思えることがあったのは、2019年シーズン、プリスコバは現在のムグルサのコーチである、コンチタ・マルチネスをコーチに迎えたことだ。ムグルサをウィンブルドン優勝に導いた手腕でウィンブルドン優勝メインなのはいやでも想像がついた。
そしてウィンブルドン前週のイーストボーン。本来ならバーミンガムで調整すべきだが、プリスコバは例年どおりイーストボーンで調整することとなった。しかしこの大会、とても調整といった雰囲気ではなく、怒涛の勢いで優勝してみせた。ここで疑問が湧くのはコンチタ・マルチネスはプリスコバにウィンブルドン優勝のためのスケジューリングについては口を出さなかったのかといったところだ。実際にマルチネスは出した出さないはもはやどうでもよくて、結局プリスコバはいつものように全力でイーストボーンを優勝しにいった事実が全てを物語っている。
当然イーストボーン優勝のダメージはウィンブルドン本番に響かないわけもなく、同じチェコの伏兵であるムチョバの引き立て役になる運命は避けられなかった。
ムグルサを優勝させたコンチタ・マルチネスの手腕をぶち壊し、プリスコバのやりたいように全ての大会を全力をもって優勝しにいく、極めて真面目なテニス。しかしそれはグランドスラムを優勝するためにはあまりにも遠回りも遠回りな道になってしまうのは否めない。
だからこそプリスコバはグランドスラム優勝を第一にという考えは全くもってもっておらず、全ての大会を平等にみて優勝したいという素直な気持ちに従って現役生活を謳歌していると言っていい。その意味で現在も途中棄権が全くないというのも納得がいくというかプリスコバの性格がきちんと反映された結果のように思う。
今後プリスコバが本当の意味でグランドスラム優勝する可能性が上がるとすれば、去年のスビトリナみたく、グランドスラム前哨戦の大会でうまくサボって調整するようなことが戦略をみせることができるかに尽きる。ただ2020年のプリスコバも残念ながらそういったことをやりそうな気配はなさそうということで終わろうと思う。
次回とりあげるプレイヤーは未定です。キャサリン・ベリスは復帰したてでまだ試合に勝てる調子に戻る気配がないので、復調してきたら、しっかり予告をいれてやりたいと思います。