テニス素人が考えるクレーコートでの勝ち方を考察してみる。
さて、コロナのことがありテニスも御多分に漏れず影響をうけ、ツアーの大半は中止に追い込まれ、グランドスラムもウィンブルドンは中止となったが、全米、全仏はどうにか開催することができた。
先に全米のことも書いても良かったが、それに勝るとも劣らないくらい全仏では衝撃が起こったのである。
その衝撃は後々にとっておくとしてタイトルにあるクレーコートでの勝ち方なるものを素人が考えてみようと思う。
そしてそのクレーコートの勝ち方というものが素人ばりの単純明快さで、それはラファエル・ナダルのテニスを取り入れるということである。
まあクレーの絶対王者であるナダルを参考にしろなんてテニス素人丸出しの意見に思われるが実際なかなか馬鹿にできない。ナダルといえばまず思うことは強烈なスピンをかけてのエッグボールである。つまりエッグボールではないにしろ参考すべき点はここにあってスピンをかけて遅くて跳ねるボールを打ち続けることがクレーコートに勝てる確率を可能な限り高めることができる。
クレーコートとは別にしてテニス自体で勝率を挙げる2つの重要な要素として精度の高いショットをより打ち続けることができた者と精度の低いショットをいかに打つことなくできるかに尽きる。それもそのはずテニスの勝敗はウィナーの数よりもミスの数のほうが圧倒的に勝敗を分ける要素になるからだ。
そこにクレーコートでの要素である球足が遅くなってしかも跳ねるとなればクレーで打つべきストロークはスピンをかけて遅くて跳ねるボールを打つことがベストになるのである。しかし女子では腕や肩肘の負担もありなかなか打つプレイヤーがいなかったのも事実である。つまり怪我のリスクがとんでもなく上がるのは言うまでもない。
ただ怪我のリスクが上がるからやめておこうという考えはわかるが、クレーコートでのベストな回答がわかっているのに選手寿命を犠牲にできないプロテニスプレイヤーとはなんぞやとも思う。こればっかりは個人それぞれの考え方なので否定も肯定もないわけだが、勝利よりも長くプレイすることを重要視しているプロテニスプレイヤーに否定はしないものの理解はとうていできない。
さて話をクレーコートでの勝ち方にもどして、なぜスピンをかけて跳ねるボールを打つことがクレーコートでの最適解になるのかの考察でもしてみようと思う。
通常テニスでストロークを打つことは当然ミスをするリスクというものがある。ネットにかけてり、ロングアウトしたりサイドアウトしたりである。
これがスピンをかけて跳ねるボールを打つとどうなるかと言うと、簡単にいえば山なりのボールを打つために通常よりも確実にネットにかける確率が下がるということである。そしてスピンをかけることにより急激にボールが落ちるためにロングアウト、サイドアウトする前にコート内に落ちる確率が上がるということである。
つまりスピンをかけて遅くて跳ねるストロークをするということは通常のストロークよりも確実にミスしにくいストロークになると言えるのである。
更に遅くて跳ねるボールは厄介極まりないことがあって、それはプレイヤーは遅くて跳ねるボールに対応しずらいことがある。女子テニスプレイヤーの遅くて跳ねるボールに対するリアクションとしてあるのが、遅いからチャンスボールだととらえてウィナー狙いをしてはよくミスをする光景をとにかく散見されることである。通常のストロークスピードで練習で慣れ切っているせいか遅い分待たないといけないことによってタイミングがとりづらくなるわけである。更に自分の腰よりも上の高さまで跳ねるということはハードヒットがそもそもできないからウィナーを狙うべきボールではないということである。つまり遅くて跳ねるストロークをする相手に対して通常のストロークで戦うこと自体が大きなハンデをしょっているとも言える。ナダルのクレーでの強さの本質が見えることでもある。あくまでクレーコートの話であって跳ねないハードコートや芝のコートではこの限りではないのは言わずもがなである。
そして遅くて跳ねるボールをより効果的にする方法はスライスとドロップショットである。これを組み合わせることにより勝利をよりゆるぎないものにすることが出来る。遅くて跳ねるボールがベースライン付近にくるということはそれだけコート外に下げされられる、つまりその瞬間ドロップショットを打つべきタイミングがくるわけである。ただでさえ遅くて跳ねるボールへの対処でストレスが大変なことになっているのにドロップショットでポイントをとられてしまうわけである。ドロップショットに意識を配分できる余裕なんてあるのだろうか。更にラリー中にスライスを混ぜることにより腰より低いボールへの対処が必要となる。胸までの高さのボールと膝下の高さのボールが交互にきて対処させられるわけで、これまたストレスの極致となる。正直これらを駆使されたら大概のプレイヤーはメンタルが終わってしまうのではと考える。
あとクレーコートでの勝ち方について大きな補足をしておきたいことがあって、それはナダルがリターンするときにまるでリターンエースは捨てて可能な限りリターン位置を下げていることである。これは可能な限り遅くて跳ねるボールを打つためである。つまりクレーの試合中延々相手に遅くて跳ねるボールを押し付けることができるかという再認識がここでわかる。
最後に今回の全仏にちょっとだけ触れるが、なぜ今回のタイトルになったのかというとそれはこの遅くて跳ねるボールでストロークするプレイヤーが見られたことだ。ベルテンスやハレプもやっていなくはないが、より意図的にスピン量を増やして遅くて跳ねるボールで戦っていたプレイヤーが上位にきたという意味で衝撃があった。それはトレビザンでありポドロスカという今回の全仏まで名前を聞いたことがないプレイヤーがそれぞれベスト8、ベスト4という結果が全てを物語る。
トレビザンはガウフ、サッカリ、ベルテンスというクレー強者を倒し、ポドロスカはスビトリナ圧倒して予選からのベスト4、いずれも遅くて跳ねるストロークに相手は対処できなかった結果であり偶然でなく必然であったのは言うまでもない。
ただこの遅くて跳ねるストロークを使うトレビザン、ポドロスカを圧倒したプレイヤーが全仏を優勝してみせた。当然そのプレイヤーも遅くて跳ねるストロークを主軸とし、更にスライスやドロップショットで盤石の試合展開で、なんと本命であったハレプを1時間あまりであっさり倒してしまうという衝撃を与えることとなった。それどころか7試合すべてストレート勝利で優勝してしまうという過去のクレー女王と比較しても最強なのではといった雰囲気を10代ながらに達成してしまった感がある。これは自分の勝手な想像でなく実際にセレシュやナブラチロワが衝撃を受けているからこそ自信をもって書けているわけでもあるが。
さてもったいつけましたが当然テニバカ的プレイヤー考察はこのクレー新女王でいきたいと思います。その名はイガ・シフィオンテクです。(そういえばベキッチを予定していましたが、ベキッチもいずれやります。)