いかなる時代環境でも利益を出す仕組み 大山健太郎
毎日本を読む6/26
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
大山健太郎
直販と問屋機能の融合で生み出すものづくり
アイリスオーヤマは、直販と問屋機能の両方を兼ね備えることで、ユーザー視点に根ざしたものづくりを実現しています。その製品はまさに「なるほど」と思わせるような隙間に自然と入り込むもので溢れています。私も自家焙煎珈琲店を営んでおり、クッキーをリベイクするためのオーブントースターや、折り畳みホットプレートをアイリスオーヤマ製品で愛用しています。
顧客ニーズにフォーカスする経営哲学
オイルショックによる石油製品業界の冷え込みで、リストラを余儀なくされたアイリスオーヤマは、自社と他社の違いが「顧客ニーズへの対応力」にあることを痛感しました。プロダクトアウト型の経営を避け、常に組織の新陳代謝を促す仕組みづくりに専念し、新製品比率を50%以上に保つという並外れた経営方針を掲げています。一般に売れ筋製品に頼る企業が多い中、常に新しい価値を生み出すことで、事業展開のスピードが驚異的に速いのです。また、問屋機能を持つことで小売店やバイヤーが革新的な製品を導入する際の不安を解消し、市場投入をスムーズに行える点も、事業の強みといえます。さらに、中間コストを省くことで、製品の価格は同業他社と比べて常に競争力があり、適正な価格設定が可能です。
SUWADA:職人技が光る爪切りと理想的な職場環境
新潟県三条市に「SUWADA」という会社があります。高級爪切りで有名な会社で、1本1万円以上もする爪切りを製造しています。たまたま知ったこの会社に興味を持ち、本社を訪ねてみてその品質に驚かされました。工場併設のショップで爪切りの切れ味を体感すると、「バチン!」という通常の切れ味とは異なり、「サクッ」と切れる心地よさを味わえます。医療職で使用すれば、使う人にも使われる人にも安心感を与えるでしょう。爪切りが楽しみなイベントになるほどのクオリティです。
さらに、会社の母屋にはオシャレなカフェや社員食堂、保育園が併設されており、一般の方も工場見学が可能です。かつて工業所を営んでいた私からすると、こうした職場環境は実に憧れます。このような会社で働くことができたら、きっと誇りを持てるに違いありません。
「ゼロイチ」を仕組みで乗り越える
この書籍を通じて、ビジネスで「ゼロから1を生み出す」ことは、工夫や仕組み次第で可能だという新たな学びを得ました。