超簡単!寝ているうちに出来る栄養満点【はずれ馬券】レシピ
最近ではスマホで手軽に競馬の投票が出来ちゃうので若者の【紙馬券】離れが深刻な社会問題となっている。
政治や新聞から人心が離れても世の中の趨勢に影響は無いが紙馬券離れはまずい。
色々な事があーなってこーなって、結果、地球が滅んでしまう。
それはまずい。どげんかせんといかん。
せっかく元号も新しくなって、これから日本経済も国民生活も上向いて行くんじゃない?上げて行こうよ!と、少しいい気運というか、いい気分になりかけているのにそれじゃいけん。
ともすればなん10万なん百万円もする高価な紙馬券だが、レースが確定してハズレてしまったら宙に舞い散り、塵となる。
もったいない。
金額だけじゃない。紙馬券そのものだってかなり質の良いものだ。
印字も綺麗で手触りは最高、単複馬券なんかはちゃんと馬名まで入っていて眺めているだけで味わいがあり、金額の分だけ思い入れがある。
とある静寂の日曜日。
ハズレて仕舞って、只の高級な紙となった馬券をどうにか有効活用したいと思い腕組みをしながら眺めて見たのだが、そこに記されている日本円の金額を数えてみたら、
思い入れ以上に何だか怒りが込み上げてきて百枚近くある高級紙をぶん投げてしまった。
その時!
たまたま火にかけてあった参鶏湯の鍋の中にはらはらと数枚のハズレ馬券が落ちて仕舞った。
ガッデム!!!
咄嗟に素手で馬券を取り出そうと煙草を吸う二本の指を突っ込んだがアチチ!
ファ〇ク!!!
と、天を見上げたら背後の食器ダンスにゴン!と頭をぶつけてしまって
気絶………
ぴょぴゃぴらぴりりりん。ぴょぴゃぴらぴりりりん。ぴょぴゃぴらぴりりりん。
ピーと耳鳴りがする暗闇の中でiPhoneの呼び出し音が鳴り響き( ゚∀ ゚)ハッ!と覚醒すると画面にはこの間行ったお店のキャバ嬢の名が。
「おつー。いつ来んの?今日待ってるね」
「うるせー!腐れびっ〇!」
iPhoneを壁めがけてぶん投げるとバギャンと音をたてて粉々に砕け散った。
あいやー。
やっちまったと血の気が引いた所で火にかけた参鶏湯の事を思い出し慌ててガスを止める。
ふと足もとに、なー。なー。
と愛猫がすりすり♡
「まーまー落ち着いて」
と言っている。
もう一匹の愛猫もリビングから心配そうに俺を見つめる。
「あ、ごはんだね。ご飯ご飯。」
荒ぶる心を一瞬で押さえつける二匹の愛猫に感謝しつつご飯をあげていると何だかとてもいい匂いが…
参鶏湯。
ふらふら鍋の前に立ち中を覗くとくるりんと丸まった数枚の馬券が鶏とスープの間にぷかぷか浮いている。
昔、同棲していた彼女が、焦がしたシチューを持ち仕事帰りの俺をお出迎えした時には、キャシー塚本ばりに鍋を壁にぶん投げて説教するほど料理に五月蝿い元料理人のわたくしだが、今回は自分の不注意だし、愛猫に穏やかな気持ちにされているので、そのまま食す事にした。
もちろん馬券の出汁はもう充分なので取り出してから。
鶏とスープを皿に移しテーブルへ置く。
冷蔵庫へ行き1本目の缶ビールをぶしゃっとやって一気に飲み干し2本目を持ちテーブルへ戻ると愛猫二匹が二本足で立ちテーブルへ前足をつき参鶏湯の皿を覗き込んでいた。
「だめ」と言っても「猫に鶏」である。
無理である。
彼等にはひと口だけでもあげないとなーなー、なーなー、いつまでも五月蝿い。
ので参鶏湯をちょびっと口にふくんであげようとした所、
深い衝撃。
な、何だこれは!
う、美味い。美味やんけ。
普段作っている参鶏湯の鶏肉の味わいとはまるで違う。
口に含んだ瞬間に広がる濃厚な肉汁、芳醇でいて締まっている。それでいて俺が鶏肉だゾとごりごりの主張をするでもなくコクがあるのに切れがある。トゥルるんスープと鶏肉が織り成すハーモニー、いや最早これはマリアージュ。
馬券2~3枚でこんなにも味が深くなるとは
これがもし当たり馬券だったらもっと美味いのか?
そんなキ〇ガイじみた考えもそこそこに、感動しながら愛猫二匹と俺は交互に参鶏湯を啄んだ。
紙馬券って良いなと思った、
とある人生の一日だった。
だけど、今オークスのシゲルピンクダイヤの単複馬券だけは絶対に出汁には出来ません。
外れても、紙馬券って良いものですね。
(時間が経てば、ですけど)
to be continued🏇
次回予告「ジナンボーの頭で3連単一点勝負!!!」