その「三才の配置」が「凶」ってホント?
字画数を使った技法のひとつに、「天地人三才」があります。名前が「又吉直樹」さんなら、又+吉、吉+直、直+樹の三つの画数合計(天格、人格、地格と仮称します)が判断の材料になります。
天格と人格、人格と地格の関係が「三才の配置」で、この関係が良好なら吉、そうでなければ凶と判断されます。
●「三才の配置」の吉凶は流派で違う
一部の流派では、この「三才の配置」の吉凶を非常に重要と考えています。「人格や総格が大吉でも三才の配置が凶なら、運勢は台無しだ」などと言う占い師もいます。ですが、この技法は流派によって判断のルールや吉凶の基準がさまざまです。
一字姓や一字名に1を足したり、足さなかったり、「さんずい」を4画にしたり、3画にしたり、漢数字の五も5画だったり、4画だったり。そのため、占い師によって吉凶が反対になることもしばしばです。
以上については他の機会に詳しく解説するとして、ここでは別の問題点を取り上げたいと思います。
●天地人三才は優しくない
この技法は利用者に対して、思いのほか優しくありません。どういうことかというと、判断結果が凶となる「三才の配置」が多すぎるのです。当たるかどうか以前の問題として、これでは日本人の大半が凶運の人ばかりになってしまいます。具体的に見てみましょう。
「三才の配置」では天格・人格・地格の画数を五行に変換しますが、その組合せは全部で5×5×5=125パターンです。天格、人格、地格のそれぞれは 木、火、土、金、水の5種類しかないからです。
ということは、すべての日本人が125パターンしかない運勢のどれかに該当していることになります。
さて、問題は125パターンの吉凶の内訳です。気になったので、平成年間(1989年~2019年)に姓名判断や赤ちゃんの名付け本を5冊以上出版した占い師8人を選び、彼らが何パターンを凶とみなしているか調べてみました。[注]
下表がその結果です。占い師によって凶の個数はかなりバラツキがあるものの、全員を平均すれば、凶の比率は33%にもなります。これはつまり、「三才の配置」で吉凶を判断してもらった場合、利用者(鑑定依頼者)の3人に1人が「凶!」と宣告されることを意味します。
驚くのはA氏の場合で、ダントツの93個(凶の比率は74%)です。この人に占ってもらったら、単純計算で4人中3人が凶になりますが、一体、A氏はどうしちゃったんでしょうか?
●日本人はこんなに運が悪い民族だった!
3人に1人が凶とはどういうことでしょうか。日本の総人口は1億2千6百万人(2019年6月1日現在)です。すると、「三才の配置」で吉凶を判断した場合、日本人の4千2百万人が凶になる計算です。あなたの友人・知人も、当人が気づいていなくても、3人に1人は凶運だったのです。
また、最近のマスコミ報道によると、日本の2019年の出生数は年間90万人割れが確実になったそうです。出生数の低下は確かに問題ですが、今年(2019年)生まれた30万人の赤ちゃんが凶運を背負っているとしたら、もっと大きな問題ではないでしょうか。3人に1人が凶なら、こうなりますね。
この調査によって、私はとんでもない大発見をしたようです。石を投げれば、凶運の人に当たる・・・。日本人は世界でも希に見る「運が悪い民族」だったのです。しかし、こんなことって本当にあるのでしょうか?
近年、占い師が活躍する舞台は書籍からWebサイトに大移動しました。その結果、今では上記のような調査が難しくなりつつあります。
姓名判断の占い本が手に入れば、楽屋裏を覗くことができますが、Webサイトでは表看板しか見えません。ますます利用者の慎重さが求められる時代になったということでしょう。