書評『無理ゲー社会』橘玲

相変わらず残酷な世界をこれでもかと明示してくれる著者です。
そして性格が極めて悪い私のような人間には大好物な著作です。


性差や人種によって人生が決められないリベラルな社会、ポリコレ的に正しい社会って当然理想的ではあるんです。女の子だから大学に行かせない社会より、男でも女でも優秀な人が大学に行って偉くなる社会があるべき社会なんですよね、きっと。でもこれは、負けた人にや能力のない人にとっても言い訳ができない分残酷で、まさに来世に期待することしか出来ないんですよ。

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でも残酷さはここで止まらず、子供に期待しようにも、子供の能力も遺伝子的要素と非環境的要素に大きく依存する。少なくても統計学上、バカの子供はバカの確率が高く、バカの子供を適切な環境(例えば中高一貫校)に置かないとバカが大馬鹿になるって言う話なんです。中卒の両親から東大行きましたってよくメディアで報道されるし、それに近い例を身近でも見聞きすると思いますが、統計的にはやはり珍しいんですよね。そしてさらに残酷なことにやる気も遺伝的、非環境的に決められると本書は述べておられます。非環境的って分かりにくい言葉ですが、周りが勉強すると子供は周りに影響を受けるので勉強しやすいということなんですね。筑駒や灘が理3に合格しやすいのは授業が素晴らしいのではなく環境が良く、周りに切磋琢磨できる友人がいて勉強することが尊敬される環境だからなんです。反対に田舎のヤンキー的文化圏だと勉強がダサイことと言う謎の価値観があり、勉強に重きを置かないんですよね
ですので、遺伝子ガチャ(能力+やる気)+親ガチャ(環境をつくってあげれるか)を引けるかどうかで、人生決まってしまうんですよね。この辺の話はマイケル・サンデル教授の『実力も運のうち 能力主義は正義か?』と同じような議論ですが。


脱線ついでにどうでも良い話ですが東大主席、ハーバード卒の元財務官僚で弁護士の山口 真由氏もご両親はDrで妹さんもDrです。やる気(遺伝子ガチャ)+親ガチャの勝者です。もちろん同じ環境でも努力できない人もおり、彼女の努力を否定するものではありませんが。

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話題は変わってリベラル化による非モテな野郎がより残酷な境遇になるという話です。これは20-30代を過ごした方なら当然の話で、若い非モテの男には価値がないという当たり前の話です。昔はそれでもお見合いなどに人為的な制度によって是正されていたけど、リベラルな社会では非モテ君は一生独身で性愛も獲得できない社会となってしまうとう身も蓋もない内容です。セックスさせるかどうかは女に決定権があるのは(男は基本やりたいですので)当たり前で、中年以後の経済力も権力も顔もよくない男を受け入れてくれる女はいません。今後も『無敵の人』『ジョーカー』による犯罪は増え続けると思います。

今後の資本主義も核爆弾でも落ちて北斗の拳の世界にならないと、格差はなくならないとする主張は当然で、貧困の四銃士である『戦争・革命・崩壊・疫病』でも格差は縮小しないし、今後も開くと予想されている。コロナ程度の感染力と致死率では格差は寧ろ開いてしまいましたね。下記の本に述べられているよに、ペストぐらい人が死ぬと労働者の賃金も増えるのですが。その辺を実証データーを元に論じている本ですが、よほどのすることなく医局に軟禁されている先生しか読めない分量と内容です

未来への提言の章ではベーシックインカムについても論じているが、日本人を無限大に作ることが出来てしまうとの記述は橘玲氏以外ではお目にかからず、是非買って読んで欲しいです。
そして読み進めても明確な万人向けの解決策はなく、無理ゲー社会のタイトルの通り最終的には脳に電極を植え込んで、幸せになるしか方法がなさそうですね。
















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