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リアル障がい児がやってきた
4番目の子どもとなると母も肝っ玉が据わってくるものである。
十分に高齢出産に該当する私は医師の勧めである出生前診断もきっぱりと断り出産本番に挑んだ。陣痛も慣れたもので「生みおとすまでは陣痛が終わらない」とどんどん強くなる陣痛の間もガシガシ歩き回り、やがてやってくる出産後の痛みのない時間を楽しみにしていた。
「やっと生まれた~」と安心したのもつかの間、なにやら助産師さんやら医師が騒がしい。鳴き声をあげることができない我が子は血中酸素濃度が低いとのことで、あれよあれよという間に酸素濃度が高いカプセル型のベッドのようなものに入れられNICUへ救急搬送されていった。
そこへタイミングよくやってきた我が夫。(こちらも4人目の父ともなるとオロオロすることなく慣れたものである)のんきに「そろそろ生まれたかなと思って」と登場した。めちゃくちゃマイペースで病院にやってきてみればてんやわんやの大騒動真っただ中である。状況もよく飲み込めないうちから「お父さん救急車の後について走ってきてください!」と言われ、夜道を救急車を追って走ったのである。
母である私はというと今までの出産で当たり前のようにしてきた生まれたての我が子を胸に抱くこともなく、なんなら我が子の顔すら見ることが出来ないまま一人呆然と取り残されていた。