『私の描く世界』
私の描く物語のような人生を送れたら、
どんなに幸せなのだろう…
『はぁ…私はいつ自由になるのかな…』
小説の中なら私は何にでもなれる
だけど、今の私は自由がない
いつか忘れたが、交通事故に巻き込まれた
そのせいで植物人間とやらになってしまったようだ
やんわり聞こえたが、目覚める可能性はほぼないらしい
両親は幼い頃に亡くなり孤児院で過ごし、
高校から一人暮らしを始めた
人付き合いを知らず、ほとんど独りで過ごしていた
でも、私のテリトリーに入り込んできた親友だけは毎日病院に来てくれた
日奈子︰怜奈、今日はね〜
日奈子は、いつものように話し始める
私は聞くだけで答えることができない
これが物語の世界なら今すぐ目を覚まして、
あなたを抱きしめるのに…
日奈子︰グスッ 早く起きてよ…
思わず溢れてしまった、あなたの涙
いつも笑顔のあなたが泣いているのを初めて見たと思う
奇跡が起こるなら、神様
少しでいい、これが私の思い描く物語なら目覚めて親友と話させて
悲しみの涙を幸せの涙に変えて、
私を自由にして羽ばたかせて
これが私の描く物語
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