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従来のコストセンターの人事部から、プロフィットセンターに進化することが急務
はじめに
「人事部はコストセンター」という認識は、長らく日本企業の中で根強く残ってきました。
しかし、現在のビジネス環境の変化に伴い、単に人件費を管理する部門としてではなく、企業の成長に直接貢献する「プロフィットセンター」への進化が求められています。
特に優秀な人材が海外に流出し、データドリブン経営が浸透し始める中、人事部がこの変革に乗り遅れるわけにはいきません。
本記事では、人事部の現状とプロフィットセンター化の必要性について考察します。
1. 優秀な人材が海外に流出している
近年、優秀な人材が次々と日本から海外へと流出しています。
多くのグローバル企業が、優れた報酬体系やキャリアの機会を提供していることが背景にあります。
さらに、人的資本経営が進んでいる企業は、従業員の成長ややりがいを支援する仕組みが整っており、彼らにとって魅力的な働き方が実現できる環境が整っています。
日本の人事部が優秀な人材の確保と育成に貢献するためには、従来のコスト管理の役割を超え、プロフィットセンターとして人材の成長やモチベーション向上に投資し、それが会社の利益に直接繋がるような施策を講じる必要があります。
これができなければ、海外企業との競争において不利な立場に置かれるだけでなく、国内でも人材を失うリスクが高まるでしょう。
2. 生産性向上ではなく、単に業務時間を減らしたいと考える日本人の増加
日本では近年、「ワークライフバランス」を重視する傾向が強まっており、単に業務時間を減らしたいと考える人が増えています。
これは従業員の健康や家族との時間を大切にする一方で、仕事に対するエンゲージメントが低下するリスクもはらんでいます。
人事部はこのようなニーズを理解しつつ、仕事のやりがいや生産性を向上させる環境作りを支援する必要があります。
そのためには、データを活用して各従業員のモチベーションやパフォーマンスを可視化し、改善に向けた具体的な施策を提案することが重要です。
例えば、データを基にしたリーダーシップ研修やエンゲージメント向上の取り組みなどを行うことで、業務時間の短縮に頼らず生産性を高める支援が可能です。
3. 人事部は「忙しいだけで面白くない」という認識
「人事部は忙しいだけで面白くない」と考える人材が増えている現状も見逃せません。
これは、単調な業務が多く、戦略的な業務や新しい取り組みに関わる機会が少ないためです。特に若手や新しいチャレンジを求める社員にとっては、人事部の仕事に魅力を感じにくいことが課題となっています。
この認識を変えるためには、人事部が自らの業務を変革し、会社全体の成長に貢献するようなプロジェクトや戦略的な業務を増やすことが必要です。
また、データ分析やAIを活用した予測分析など、最新の技術を駆使して人事戦略を立案・実行することで、部門としての面白さや魅力を高めることができます。
4. データ分析人材が人事部に異動したがらない
多くの企業で、データドリブン経営が進む中、データ分析人材の重要性は増していますが、残念ながら人事部への異動を希望するデータ分析人材は少ないのが現状です。
マーケティングや製造部門のように、明確に成果が見えるわけではなく、さらに人事部では人に関するデータの扱いが慎重さを要するため、制約が多く、データドリブン経営のやりがいを感じにくいのです。
これを解決するためには、人事部がデータドリブンの重要性を認識し、より積極的にデータ分析を活用した人材管理や戦略立案に取り組む必要があります。
また、データ分析人材にとって魅力的な環境を整備し、彼らの知見を生かして人的資本の最大化を図ることが急務です。
まとめ
人的資本経営の観点から考えると、従来のコストセンターとしての人事部のあり方を見直し、プロフィットセンターとして企業の成長に直接貢献する体制を整えることが不可欠です。
優秀な人材を国内に引き留め、生産性を向上させるためには、データドリブン経営を推進し、最新のテクノロジーを活用した戦略的な人事施策を行うことが必要です。
最終的には、人事部が企業全体の成長を支える柱となり、他部門と連携しながらイノベーションを起こすことが期待されています。
プロフィットセンターとしての人事部の役割を再定義し、データ分析や人的資本の価値最大化に注力することで、日本企業全体の競争力を高める一助となるでしょう。