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事業継続力を10倍高める核心戦略~法身:本質を守り抜く智慧~

不滅の経営 ~300年企業に学ぶ12の智慧~(全12回) 第3回


激しい環境変化の中で、企業が長期にわたって存続するためには、自社の本質的な価値を見極め、それを守り抜く戦略が不可欠です。

では、300年以上続く企業は、どのようにしてその本質を守り続けてきたのでしょうか。

創業380年の老舗料亭G社では、「もてなしの本質」を守り続けることで、時代の荒波を乗り越えてきました。

同社が考える「もてなし」とは、単なる接客サービスではありません。「お客様一人ひとりの人生の特別な瞬間を演出すること」という本質的な価値を、全従業員が深く理解し、実践しています。

たとえば、コロナ禍では、店内での飲食が制限される中、「特別な瞬間」を自宅で体験できる新しいサービスを開発。

料理人が自宅に出向いて調理を行うケータリングサービスや、オンラインでの料理指導など、形を変えながらも「もてなし」の本質を守り続けました。

300年の歴史を持つ和紙メーカーH社では、「美しい紙を作り続ける」という基本理念を守りながら、その応用範囲を大きく広げています。

伝統的な和紙の製法を基礎としながら、現代のニーズに応える新素材の開発に成功。医療用フィルターや電子部品の素材など、想定外の分野で和紙の価値を開花させています。

これらの企業に共通するのは、以下の4つの戦略です:

  1. 本質的価値の明確な定義と共有
    形や方法は変わっても、変えてはいけない価値を全社で共有しています。

  2. 価値を守るための投資判断
    短期的な収益よりも、本質的価値を守るための投資を優先します。

  3. 時代に応じた価値の表現方法の革新
    本質を守りながら、その表現方法を柔軟に進化させています。

  4. 価値を次世代に伝えるための仕組み作り
    暗黙知を形式知化し、確実に次世代へ継承する仕組みを構築しています。

仏教でいう「法身」の概念、つまり「形を超えた本質的な真理」という考え方が、これらの戦略の根底にあります。

老舗の漆器メーカーI社の社長は、こう語ります。「私たちが守っているのは、漆器を作るという行為そのものではありません。

美しいものを作り、人々の暮らしを豊かにするという価値です。その本質さえブレなければ、どんな変化にも対応できます」

同社では、伝統的な漆器の技法を活かして、現代のライフスタイルに合った新商品を次々と生み出しています。
「革新は、本質を守るための手段」という考え方が、全社員に浸透しています。

本質を守り抜く経営とは、変えてはいけないものと変えるべきものを見極め、その両者のバランスを取り続ける営みといえるでしょう。

次回はコチラ。

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