〈日記〉2024/5/4-5/11
5/4 井潟瑞希
みめい。りゆうもなくこうこつとした。わたしはわたしを、あんしんあんどさせることにせいこうしたようだった。とても、めずらしいこと。すくらんぶるえっぐもせいこうした。これは、いつものこと。うれしくってにどねをしたが、すきなうたにまるをつけなければならないのをおもいだしたので、めをさました。ひとのいえで、うたをよみ、ひとのいえで、にくをたべる。まねかれて、にくをたべるので、きかざる。まぶたにいろをたす。くちびるにいろをたす。きずをかくす。ひとのいえで、ひとのにくをたべた。あいすも。りゆうがあってこうこつとした。あなたはわたしを、あんしんあんどさせることにせいこうしたようだった。これは、いつものこと。かえりみち、ちょっとありえないばしょに、つつじのはながおちていた。
0504 にたろ
目が覚める。目覚ましのアラームが2つ同時に鳴っていたが、誰かに消された。寝坊したんじゃないかと不安になって、僕は同居人の眠る窓辺に向かった。
僕の寝ている部屋の構造を図面に起こすと、以下のようになる。
ごちゃごちゃしていて分かりにくいが、要するに相部屋で寝ているということだ。大の大人が3人、川の字で寝ている。奥の部屋にももう2人。
僕は普段、布団②にいる。充電スペースからは一番遠い。ベッドや布団①で寝ている同居人に充電中のスマホのアラームを勝手に消され、遅刻の憂き目に遭ったことも一度や二度ではない。結果、僕はアラームに過敏に反応する人間になった。自分のじゃなくても、電子音が聞こえたら窓辺に向かう。自分のスマホを確認する。8時14分。アラームを設定した時刻まで、あと1分だ。この1分を、ラッキーだと思うことにしよう。
スマホをコンセントから引き抜いて、僕は再び布団②へ向かった。座りながらスマホをいじっていたらもう8時半だ。身支度を済ませるために、僕は重い腰を上げる。
0505 にたろ
何か夢を見ていた気がするが、思い出せない。起きてからもう12時間以上経っているのだから仕方ない。「珍しく遅くまで寝てるね」と同居人が声をかけてきた。今日は久しぶりに予定のない朝を過ごせた。まだ5月なのに信じられない暑さだと同居人は嘆く。なんとなく冷える気がして、一度しまいかけた冬用のパジャマをきている僕が馬鹿みたいだ。たしかに、夏がすぐそこまできている気がする。
今日も20分以上スマホをいじってから布団を出た。
0506 にたろ
今日は8時半にアラームが鳴った。じつは日記をつけ始めた5月4日以来、相部屋では僕とミヤタの2人しか寝ていない。普段窓際のふかふかなベッドを占領しているカネコは、GWで帰省している。
と、いうわけで、いつも真ん中の布団で苦しみながら寝ているミヤタが、ここ数日は窓際で安眠している。とはいえ過敏なたちは治らないらしく、今日の僕のアラームにも素早く反応した。僕がアラームを消してからも、自分のスマホが鳴ったんじゃないかと疑ってモゾモゾ動いている。
10分睡眠を延長してしまった僕は、スマホをいじる暇もなく家を出た。約束には、二度寝した10分ぶん、しっかり遅刻した。
0507 にたろ
帰ってきたカネコが、寝起きのミヤタに苦情を呈している。
5/7 青木識至
雨が降ったり止んだり
いつも通り仕事を終えた
夜は定例ミーティング
連休の出来事、最近見た演劇の話をした
感動といらだちについて思索する
5/8 井潟瑞希
にどねしたら、みぎのてのひらとひだりのてのひらのにおいが、ちょっとちがうことにきづいた。ひだりのほうが、すきだった。にどねしておきたら、くじはんになっていて。いそがなきゃ、かがみのまえでてがゆれたひょうしに、あいしゃどうをゆびでひっかいてしまった。きずがついた。いそがなきゃのなかで、かなしみのじかんがうまれた。けれど、いや、だからきずがうすれるように、ぶらしにたっぷりこなをつけた。こなをたっぷりまぶたにぬると、きずはきっとうすれて、きぶんはあかるくなる。あかるいまま、でんしゃでこまばへ。きゅうにくらくなってふったあめは、しゅえいさんにも、ろしあじんにも、わたしにも、きんとうにふった。ぷらかーどやちらしが、みるみるうちにみずにひたされて、もじがとけていった。かみはよわい。もじもよわい。かみやもじをみずからまもるために、ぬれたわたしたちはかわいかったな。
0508 にたろ
たしか今日は2回起きた。
1回目は6時45分。アラームを延長したから、正確には6時55分。寝起きのまま、朝のおしゃべりをする。8時前に終わり、もう一度寝る。いや寝ようとした。
すぐに寝付けなかったのは、ミヤタのせいだ。僕と入れ替わりで、彼の身支度が始まった。結局疲れてたからまた寝れたけど、今度は起きるのが辛い。なんとか10時前には体を起こす。
眠そうに家を出るカネコとすれちがう。
ラックの柱に、「午前8時、宮田を起こしてください」という貼り紙を発見する。
5/8 青木識至
昨日より雲が分厚く黒い
午前中、古本屋に立ち寄った
どうしようもない新書を二冊買う
午後は大学図書館に籠る
申請書の締切りに追われている
この先、何度くり返すのだろうか
0509 にたろ
叫んでいる子供の声で目が覚める。カネコがいつも窓を開けて寝るせいで、外の騒音がそのまま耳に入ってくる。ここ最近、あいつずっと叫んでるような。
この界隈には子供が大勢潜んでいるようで、泣き声、笑い声、ただのおしゃべりにいたるまで、いろんな年代の子供たちの声で目を覚ますことが可能だ。8時に起こしてくれというミヤタの貼り紙は、まだラックについたままだった。
5/9 青木識至
曇りのち晴れ
昼から友人と映画を見た
イメージフォーラム
韓国のドキュメンタリー
オタクの「推し活」について
帰り際に展示を一つ見た
水生生物に化けた海洋ゴミ
ユートピア化された空想の生態系は
ひどく商業化されているようにみえた
0510 にたろ
8時、誰かのアラームが鳴って3人とも起きる。ミヤタ、大事な用事があるのか焦っていたが、「まだ8時か」と言って再び布団に潜り込む。それを見てカネコが笑っていたところまでは覚えている。多分僕ももう一度寝たのだろう。次に目を覚ましたのは8時半。昨日スマホが動かなくなってしまったので、今日はiPadのアラームだ。朝からiPadを触るのって変だな、と思いながら家を出た。
5/10 青木識至
殆ど一日家にいた
助成金の申請書を完成させた
通るといいけど
0511 にたろ
この日は日記をつけ忘れた。思い出そうとしても思い出せない。
5/11 青木識至
暑い日差し
久しぶりの母校に訪れた
建物がピカピカで綺麗だった
新しい図書館らしい
昼からはギャラリーを三つ巡る
夜は寒かった
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