婦人科でよく使われる漢方薬三選(三大婦人薬)
はじめに
三大婦人薬とはいったものの
男性も使いますから!
三大婦人薬のもつ性質が、多くの女性にマッチするためにそう呼ばれるんです。
三大婦人薬は
① 当帰芍薬散
② 加味逍遙散
③ 桂枝茯苓丸
この3種の漢方薬です。
漢方薬の構成生薬と適応
3つの漢方薬の共通点は「瘀血」「血虚」のような「血」の異常が根本にあることです。
女性は月経があるので血の異常が起こりやすいんです。
「小難しいので蕁麻疹でそうやわ!」って方は太字だけ読んでくださいね。
① 当帰芍薬散
浮腫や冷えがあるもの(瘀血・水滞)に適します。
当帰+芍薬=補血(血虚の改善)、当帰+川芎=活血(瘀血の改善)、白朮+茯苓+沢瀉=補脾、躁湿(脾虚湿盛の改善)を目指す構成。
当帰:補血 駆瘀血
芍薬(白):補血 血が不足した部分に血を集める(白は補う働き)
白朮:補脾 湿を取り除く
川芎:活血 駆瘀血 理気 肝の気血の流れを良くする
茯苓:補脾 湿を取り除く
沢瀉:利水 補脾
② 加味逍遙散
瘀血があり肝の異常(精神症状)を引き起こしたもの(気血両虚)に適します。
柴胡+芍薬=肝気を巡らせる、当帰+牡丹皮+芍薬=補血・瘀血の改善、白朮+茯苓+甘草+生姜=補脾・利水、薄荷+サンシシ+甘草=精神安定
逍遙散に牡丹皮(瘀血の改善)とサンシシ(清熱)を加えた処方であるため、のぼせやほてりが強い精神症状に使用。適応は気血が虚して肝火、肝鬱のあるもの。
柴胡:疏肝 理気 解熱 気滞の改善 乾燥させる効果
当帰:補血 駆瘀血
芍薬(白):補血
白朮:補脾 湿を取り除く
茯苓:補脾 湿を取り除く
生姜:化痰 解毒 脾を温める 気を下降させる
薄荷:清熱 肝気を流す
サンシシ:清熱 湿熱改善 心煩の改善
牡丹皮:駆瘀血 清熱
甘草:補脾 補心 補肺 調和
③ 桂枝茯苓丸
瘀血による血熱・水滞がある場合に適します。
桃仁+牡丹皮=瘀血・血熱の改善、桂皮=気を巡らせ瘀血の改善、芍薬(赤)=血の不足部位へ血を流す、茯苓=瘀血による水滞を吸収し排尿により改善させる。
桃仁:駆瘀血
牡丹皮:駆瘀血 清熱
桂枝(桂皮):桂枝は手足や体表の発汗解熱作用 桂皮(本処方)は体幹・経絡を温める
芍薬(赤):駆瘀血 清熱(赤は瀉して瘀血を改善)
茯苓:補脾 利水
まとめ
・三大婦人薬は証があえば男女関係なく使用される
・「瘀血」「血虚」が背景にあるものに使用する
・当帰芍薬散は浮腫や冷えがある場合に適応(瘀血・水滞)
・加味逍遙散は「気滞」のため血液を流すことができず肝の異常(精神症状)を引き起こした場合(気血両虚)に適応
・桂枝茯苓丸は瘀血による血熱・水滞がある場合に適応
特に桂枝茯苓丸は打撲等にも使われるので、男女問わず使用する事が多いですよ。
すべての漢方薬は体質の見極めが重要です。
女性だからこの漢方薬、頭痛がするからこの漢方薬、というような選び方は効率が悪いですよ。
中には受診した方がよいケースもあります。
困ったら専門家に相談しましょうね!