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[短編]テーマ課題「狂える神、狂う人」②

「女好きの神様がいるんだよ」
「女好き…?」
この数分で何回表情を変えるんだ
「神様がですか…」誠はどこから出したのか分からない声で聞き返した
「なんで敬語なんだよ」
「それは…女神様を…口説きまくる…的な?」
「それもだけど、人間を拐ったりするんだよ」
「え、やば…」あからさまに引いている
「それも方法が凄いんだよ」
「クロロホルムとか使うの?」
「刑事ドラマじゃないんだよ。それにあれって5分くらい口に当てないと効果ないらしいぞ。しかも、相手が能動的吸ってくれて」
「え、使えな。あれってファンタジーなんだな。じゃ、その神様はどうしたん?」まるでそれ以外の選択肢が無いかのようにいう誠
「金色の雨に化ける」両手を大きく広げ大袈裟にゆっくり壮大さを演じて見せた
「やば」
さらに畳み掛ける
「美しい白い雄牛に化ける」言ったはいいが良いジェスチャーが思い浮かばず、訳のわからない動きになってしまった
「やばば。もうガチガチファンタジーじゃん」
「古い神話だからな」
「牛に化けてどうすんの」
「牛になったら、好きなお花を積んでる女の子に近づいて…」
「え?トイレ中?」んな訳あるか
「本当に花を摘んでるんだよ」
「ああ」でも確かに今の世の中的に「お花を摘む」=トイレになるか
「えっと、そうだ。女の子に近づくと、女の子がまたがるんだよ」
「なんでだよ」それは知らん
「まぁそう言うもんなんだよ。で、跨ったら雄牛は海渡るんだよ」
「だからなんでだよ」
「脚でだよ」
「そういう意味じゃないよ。てか、足なのかよ!え!?歩き!?」
「そう、歩いて海の渡った島に連れ去って、そこで姿を現すんだよ。私だって」某ネタを再現する
「すげー、リアル暇を持て余した神々の遊びだー」何かに感動してくれたようだ
「それで、三人の子供を作って天に変えるんだよ」
「それで終わり?」
「終わりだね。付け加えるなら、天に戻る時に雄牛に変身して帰るんだ。それが牡牛座の起源」
「えー複雑ー。自分の星座がそんなスキャンダラスだとは思ってなかった」
「この頃の神話は、何かの起源とかが描かれている気がするな。だから神様も感情的なイメージだな」
「はー」感心した様子でうんうんと首を振っている
「どうだ。救われたか」
「おお、そうだ忘れてた!ありがとう。少し救われたよ」
「おお、よかった」…待て待てよくない。話に夢中でこちらも目的を忘れていた
私はこいつの弱みを握らなければいけないのだ。
ここからどう釣り上げて行くか

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