誰のせいでもない。

同じ道場で稽古する一人が退会した。
稽古を始めて月日がまだ浅い男性だが、ほぼ同年代の方だった。
あまり組むこともなく、互いによくは知らない仲だったが、退会のあいさつを告げに来た様子が脳裏に残った。

仕事の途中で道場に寄ったのか、作業服を着たままスポーツドリンク1ケースを抱えて「みなさんでどうぞ」と道場長にあいさつをしていた。
寂しそうな、恥ずかしそうな、申し訳なさそうな表情に未練を感じた。

聞けばリュウマチの一種の難しい病に罹患して、稽古を続けることができなくなったという。
運送業の仕事も今後立ち行かなくなるかもしれない状況らしい。
心中察して余りある。

あすは我が身かもしれない…そう思った。
罹患は誰のせいでもない。
「ご同輩、またいつか一緒に稽古しよう!」
寛解して道場に戻って来ることを願った。

(イメージ)

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