【週刊消費者情報】 消費者庁新未来創造戦略本部の仕事
みなさんは徳島県に消費者庁があることをご存じでしたか?
本庁は東京の霞が関にありますが、こちらは消費者庁 新未来創造戦略本部という名称で徳島県庁10階(写真上)にあります。
消費者庁が徳島県にきた経緯
今をさること約10年前、当時の安倍政権が推進する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で政府関係機関の地方移転の政策方針が打ち出されました。そして各道府県に誘致の募集が始まり、消費者行政にとても熱心だった徳島県の飯泉知事(当時)が手を挙げたのでした。
消費者庁創設は2009年でした。このことは消費者団体はじめ、消費者問題に関心のある人たちの積年の願いでした。これもまた当時のことですが、(同庁を)”小さく生んで大きく育てる” という思いが創設に関わった人たちの共通認識だったのです。ところがです。”大きくなる”間もなく移転の話が出たものですから、えらい騒動になるわけです。多くの消費者団体や消費生活相談員らの各団体、日弁連などから猛烈な移転反対の声が沸き起こったのも当然でした。
いろいろ悶着はあったものの、2017年7月に新未来創造戦略本部の前身となる消費者行政新未来創造オフィスが誕生しました。その後、3年を経て2020年7月に同庁を設立し、「消費者行政の発展・創造のためにふさわしい機能と規模を備えた新たな恒常的拠点を2020年度に発足」することを決定したのでした。
新未来創造戦略本部の仕事
同本部には「実証グループ」と「国際消費者政策研究グループ(国際消費者政策研究センター)」の二つのグループがあります。前者はモデルプロジェクトとして「徳島等の実証フィールドを活用して先駆的な取組の試行や施策効果の検証等を実施」しており、
〇見守りネットワークの更なる活用 ◯消費者志向経営の推進 ◯消費者向け食品ロス削減啓発 ◯海外の消費者法制の実態把握 ◯エシカル消費の推進――などに取り組まれています。
後者は国際消費者政策研究として「デジタル化や高齢化等の社会情勢の変化による新しい課題等に関する消費者政策研究を実施」しており、
◯新型コロナ感染拡大に関連する消費行動研究 ◯高齢者の認知機能に応じた消費者トラブルと対応策の検討に関する調査研究 ◯デジタル社会における消費者法制の国際比較法研究(国際共同研究)――などの研究に取り組まれています。
同庁の取組報告はスタート時から掲載
『消費者情報』Web版には、創造オフィスからあわせて18回寄稿いただいています。全国展開を見据えたモデルプロジェクトでの数々の取り組みや、新未来に向けた基礎研究など、消費者行政における最先端の取り組みが網羅されています。『消費者情報』Web版2019年5月配信号(No.488)からスタートしていますので、ぜひ下記URLからバックナンバーをご覧ください。また、2024年度においても最新情報をご提供いただく予定です。
物流や医療関係はもとより、いまやどの分野においても働き方改革の取り組みは喫緊の課題です。そして省庁など行政機関も例外ではありません。
東京から新未来創造戦略本部に赴任された若い職員はこう言っていました。
「東京では通勤に何時間もかかっていました。でも、こちらでは少しの時間ですみます。その分、家族と長く過ごせることができるようになりました」――笑みをこぼしながら話すその言葉に、ワークライフバランスの実現を見るような思いでした。
【速報】脂肪吸引で死亡事故発生
話は変わりますが、2月16日付読売新聞朝刊に「脂肪吸引で死亡 医師を書類送検 業務致死容疑で府警」と書かれた記事が載っていました。昨年4月、大阪市内の美容外科クリニックで脂肪吸引手術を受けた男性が死亡する事故が発生。術後、適切な措置を怠ったとして業務上過失致死の容疑で書類送検したという記事です。
『消費者情報』Web版2月配信号の特集は「美容医療サービスの消費者トラブル」です。ご関心のある方は下記URLからご覧ください。
『消費者情報』Web版編集室 原田修身
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