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YOASOBI楽曲の感情世界を解剖!歌詞データで探る音楽の多様性

「夜に駆ける」以来のYOASOBIのファンです。5周年おめでとうございます。
5周年を期に「夜に駆ける」から最新曲「New me」までのYOASOBIの29曲を対象に、歌詞の感情分析を行いました。Googleの自然言語処理モデルツールNotebookLMを用いて、各曲の歌詞から6つの感情特徴量を抽出し、これらを基にクラスタリング分析を実施。Umapによる可視化と、レーダーチャートによるプロファイリングを通して、YOASOBI楽曲の感情的な多様性を詳細に探ります。

今回の分析では、歌詞の感情的な特徴に基づいて4つのクラスタに分類しました。各クラスタの特徴を詳しく見ていくことで、YOASOBIの楽曲が持つ幅広い感情表現が見えてきます。

例えば、特定の感情に共感したい時や、特定のシチュエーションに合う楽曲を選びたい時などに、この分析結果が役立つかもしれません。感情別プレイリストを作成してもいいですね。

NotebookLMを使って歌詞の感情特徴量を算出

NotebookLMは、Gemini Pro 1.5を搭載し、複数のテキストをアップロードして、要約や推論など、さまざまなタスクを実行できます。アップロードしたテキストは学習モデルに取り込まれないため、著作権を気にせず、安心して分析できる点が大きな魅力です。

この分析では、一般の人が歌詞に感じるであろう6つの感情特徴量(怒り、嫌悪感、恐れ、幸福感、悲しみ、驚き)を、1から10の尺度でNotebookLMに算出させました。さらに、それぞれの感情を示す歌詞のフレーズを抽出することで、算出結果の信頼性を検証しました。

K-means法によりクラスタリングする

K-means(k-means法)は、機械学習のアルゴリズムの1つで、データを指定された数(k)のクラスタに分類する手法です。今回は、29曲を4つのクラスタに分けさせました。以降のデータ処理と分析はGoogle Colab Pro上でPythonでプログラミングしています。

Umapによりクラスタを可視化する

UMAPは、高次元の特徴空間で近い点が、低次元の空間へ圧縮後も近くなるように、データを圧縮する手法です。これにより、データ間の関係性を視覚的に捉えやすくなります。本研究では、6つの感情特徴量からなる6次元データを、2次元のUMAP空間に投影しました。クラスタが明確に分離するように、UMAPのパラメータを調整し、K-means法で得られた4つのクラスタを色分けして可視化しました。

YOASOBI歌詞の感情特徴量によるUmap

レーダーチャートを見て各クラスタのプロファイリングをします。

クラスタ01 怒りのYOASOBI

各曲歌詞の6つの感情特徴量のレーダーチャートです。青線が各曲の、赤線は29曲の平均値です。
クラスタ01の6曲に共通するのは強い「怒り」です。
嫌悪、悲しみ、驚きを伴う曲もあります。
ストリーミングTop3の「夜に駆ける」、「怪物」、「アイドル」が含まれています。多くの人にはこのクラスタがYOASOBIのイメージかもしれません。
困難な状況下では、怒りを持って乗り越えなければならないことも結構ありますね。

クラスタ01のレーダーチャート

クラスタ02 幸せなYOASOBI

幸福感の強いクラスタです。
ひたすら幸せ感に浸りたいなら、「アドベンチャー」と「Biri-Biri」です。USJとポケモンですね。
驚き感のある幸せは「あの夢をなぞって」と「New me」。両曲とも出会いがキーです。

クラスタ02のレーダーチャート

クラスタ03 幸せも波乱のYOASOBI

幸福感の強いクラスタですが、悲しみ、恐れ、驚きなどもあり、幅の広い複雑な感情のクラスタです。

クラスタ03のレーダーチャート

クラスタ04 悲しみのYOASOBI

悲しみ感が強い7曲が含まれるクラスタです。

クラスタ04のレーダーチャート

おまけ: 出会いがもたらす驚きを感じるYOASObI

K-meansではクラスタを形成しませんでしたが、「大正浪漫」、「海のまにまに」、「もしも命が描けたら」、「あの夢をなぞって」、「New me」の5曲は出会いが強い驚きをもたらしている曲です。

後記

「小説を音楽にする」をコンセプトに当初は期間限定のユニットとして発足したYOASOBIも5周年を迎え、多様な感情が表現されている29曲がリリースされています。YouTubeのOfficial Music Videoへのコメントでも視聴者の感情的に共感したというコメントが多く見られます。

さらに様々にデータサイエンス的な分析ができそうです。
原作の小説と楽曲の歌詞とのテキスト感の関係(インターテクスチュアリティ)、物語性(ナラティブ)の関係、サウンドとの関係なども少しずつ分析しています。
また、YOASOBIボーカルとしてのIKURAとシンガーソングライターとしての幾田りらの歌声の違いも興味深く、音響分析で探ったりもしています。





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