THE BOOK
2020年のYOASOBIの躍進が目覚ましかった。夜に駆けるが動画サイトで色んな人に歌われて広まっていって、CDをリリースしていないアーティストとしては異例の紅白出場までこぎ着けた。紅白で初めて知った人も多いみたいなので、2021年はより市民権を得ていくのだろう。
1/6にTHE BOOKがリリースされた。Amazonは律儀なようで、発売日に発送を開始したため、届いたのは発売日以降になった。届いた箱を開けてみると立派なバインダーが付いている。バインダーに何を入れるんだろうと思ったら、それぞれの歌詞と曲の原作となった小説に挿絵が付いた冊子が同封されていた。つまり、これはCDアルバムであると同時に、ちょっとした本だったのだ。なるほど、それで"THE BOOK"なわけだ。
小説を歌にするアーティスト、それがYOASOBIのコンセプトなのだが、なかなかいいところを付いていると思った。まず、原作が別にあるとすると、色々な題材が作れる。普通のアーティストは歌詞を作って曲を作ってというところの着想は作る本人がするものだが、それを色んな人の感性を元に作れる。作れる歌詞であり曲のレパートリーがかなり広くなる。それだ多彩になる。
それだけ広げてしまうと、これがYOASOBIのサウンドというものが固まらなくなりそうだが、聴いているとそんなこともなさそうだ。細かい分析は専門とされている方にお願いするとしても、歌詞はどこかで韻を踏むのが特徴だと思うし、コード進行もどこか共通点がありそうだ。
原作となった小説を読んでみると、さらに世界観がわかりそうだ。解釈が聴き手に委ねられるのはこれまでのアーティストと同じだが、想像のしやすさが格段に上がるような手法だと思う。どっぷり漬かりたい人はそうやって楽しめばいいし、単純にサウンドを楽しむこともできる。趣向が多様化した時代に、まさにフィットしている。