大根葉で作るソウルフード
小学生の頃読んだお話で、ガキ大将の男の子が実は母思いの優しい子どもで、夕食の支度をしているという話があった。
「大根は必ず葉付きのを買うんだぜ。一品増えるからな」と誇らしげに言っていた。
そういう感動系の児童文学は大の苦手だったのに、なぜかこの部分はよく覚えている。
我が家は大根を自家用に大量に栽培していたが、「大根葉で一品増える」とは思っていなかった。
今は? 増えると思っている。大事な大事な冬のソウルフードだ。
私の好きな大根葉レシピ
大根は父が自家用に栽培している。間引き菜から食べ始める。間引き菜、エネルギーに満ちていて、味噌汁に入れても、煮浸しにしても、体に染み渡っていくように美味しい。
そのうち大根も引っこ抜いて食べるようになる。大根葉は切り落とし、よく洗ってから茹で、葉の多い部分と茎の部分に切り分けて保存する。刻んで冷凍にすることもある。
葉の部分は味噌汁に入れたり、煮浸しにしたり、大根サラダの彩りとしてまぜたりする。特に味噌汁がおいしい。煮干しだしによくあう。
最も好きなのは茎の部分で、まず細かく刻む。それを中華鍋にいれて、
① 豚ひき肉と一緒にいためてしょうゆとみりんをまわしかける。
② しらすと一緒にいためてめんつゆをまわしかける。
とってもお手軽で栄養にも満ちた、大根葉料理だ。
くきが固くなってくると美味しくないので、茎が柔らかいころのお楽しみ。
夫のソウルフード
結婚して、夫の実家で朝食を食べた。小さな器に細かく刻まれたお菜の佃煮と思われるものがあった。義母の特製、大根葉の佃煮である。ごくごく細かく茎の部分を刻み、飴色になるまで煮てあった。夫のソウルフードだという。
我が家の畑には大根葉は山程ある。作りましょうとも!
と、張り切ってみたものの、うまくいかなかった。「細かく刻んでよくいためてから、しょうゆ、みりん、砂糖で味付け」と教わったとおりに作っても、うまくいかない。これなら、しらすといためた方がおいしいのに、という出来栄えだ。
何が違うんだろう?
義母が作っているところを見せてもらえばいいのだが、葉付きの大根が売られている時にしか作らないのだという。義母は大した料理だとは思っていないようだった。おかしいわねえ。よくいためてから調味料を入れて、よく煮るんだよ。
うまくいかず、我が家から葉付き大根を持参して作り方を見せてもらった。
分かった!! そういうことか!!
ということで、やっとコツをつかみ、夫からも及第点をもらったレシピをご紹介しよう。(完全に目分量なので、分量は書けません😅)
①大根の茎の部分を用意する。葉のついているところも葉をこそげて茎だけにする。よく洗う。
②こまかく刻み、そのまま熱した鍋に油とともに入れてよく炒める。中火。
ここがポイントだった!! 生のまま刻んで鍋に投入するんである。大根葉があれば、反射的に茹でていたから、茹でないで炒めるとは思っていなかった。
③よく炒めて、かさが減ったところに砂糖を多めにいれてなじませる。中火のまま。
④大根葉と砂糖がよくなじんだところに醤油とみりんをいれて炒める。中火のまま。
⑤砂糖と醤油が少々焦げ加減に煮詰まったところに湯を入れて弱火にして煮る。
⑥茎が飴色になり、水分がとんだら出来上がり。
夫からも及第点が出た! この季節に必ず作る。朝飯に、弁当にと活躍してくれる。
ずっと作れますように
今年の秋の畑は無惨だ。
猛暑で謎の害虫が大発生し、秋野菜を食いまくってしまった。父は(私も)がっかりしている。来年はもう少し強い薬を使わなきゃだめだな、と言う。
何十年と同じように作ってきたのに、それではうまくいかなくなっている。
例年の数分の1しかない大根を抜き、大根葉を佃煮する。
家で大根を作らなくなったら、義母同様に葉付きの大根が売っている時だけ作る料理になってしまう。
来年は再び大根(と大根葉)を収穫できるだろうか。
父といっしょに畑をやっていけるだろうか。
心配しながら大根葉を刻んでいる。