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マニキュアで心に潤いを
『光る君へ』から始まりますが、「マニキュアを塗ると心に潤いができるよ!おすすめ!」という話です。
『光る君へ』の”萌え袖”
『光る君へ』はいよいよ最終回。
ずっと楽しく見ていたが、平安時代の豪華な衣装も楽しみの一つだった。
平安時代の人たちが極力、袖から手が出ないようにしていたというのも初めて知った。
娘は「わあ、萌え袖だ。かわいい!」と言う。確かに。袂からそっと指だけが見えている。性別、年齢関係ない。
そこで思い出したのが『枕草子』の「宮に初めて参りたる頃」に出てくる中宮定子の手。
出仕したばかりの清少納言を魅了した、薄紅色の手のことを思い出した。
ちょっとだけ見えるからこそ、すばらしく美しく見えたんだろう。
見えていたのは指だろう。
指先って大切だ。
私はマニキュアが好きで、時々つける。つけるとちょっと気分が上がる。
おしゃれというほどのものではない。地味な色だから、ぱっと見、誰も気づかない。自分だけで勝手に元気になっている。
子どもの頃、いや、高校生になっても、自分が大人になってマニキュアを塗るとは想像できなかった。めんどくさそうだし、私の指には似合わないと思っていた。
私の手はなんとなく幼い。大人から「苦労していない手だねえ」と言われることが多く、なんか残念だった。そりゃ若いもの、苦労していないよ。と思ったものの、成長しても、それなりに苦労?をしても、私の手はなんとなく幼いままで、マニキュアの似合う大人の女の手にはならなかった。
きっかけその1
大学時代の先輩がマニキュアを塗っていた。
先輩は、自分の手は美しいという自負があり、それを大切にするためにマニキュアを塗るんだと言っていた。なるほど、先輩の指先は色白で、細すぎず、太すぎず、桜色のマニキュアに塗られた爪が上品で素敵だった。
いやあ、いいなあ、マニキュア。
でも、面倒なんだろうなあ、マニキュア。私には似合いそうもないし。
マニキュアは人ごとだった。
きっかけその2
独身の頃の職員旅行で、普段はあまり話をしない同僚とおしゃべりをした。
なんだか意気投合した。
デパートに入ると、この同僚がネイルショップに行こうと言い出した。
「なんか塗ってもらおうよ!」という話になった。
同僚は迷わずにワインレッドを選び、私は薄いピンクを選んだ。
小心者なのが見え見えだ。
お店の人は、「いい形の爪ですね」なんて言って、指、爪の手入れをし、マニキュアを塗ってくれた。すんごくかわいらしい。こんな薄いピンクでも私の気持ちは弾むようになった。
いやあ、いいなあ、マニキュア。
けっこう簡単だね。私にもできるかも。
職員旅行から帰ると、マニキュアやトップコート、除光液を買った。
色は薄いピンク。これなら職場でつけていても目立たない。
あるとき、先輩の同僚が気がついた。「あれ、マニキュアつけてるの? 素敵ねえ」「私もつけたいけど、時間ないからね」
気がついてもらって、ほめてもらって、私は無邪気にこう返した。
「意外と早く乾くんですよ。ちょっとした時間につけられますよ」
先輩は困った顔をして笑っていた。
今ならわかる! 私は無知だった。愚かだった。
子育てを始めたら、マニキュアをつける時間なんか無くなった。
後から考えれば、あの時間でマニキュアをつけて、乾かせたなと思う。
しかし、それは「後から考えれば」である。
いつ子どもが泣き出すか分からない。起き出して騒ぎ出すか分からない。
マニキュアなんてつけている場合じゃない。
私はマニキュアを忘れた。マニキュアセットはしまいこんだままだった。
再びつけたきっかけ
数年前、久しぶりに化粧品店に寄った。
ドラッグストアの化粧品コーナーではなく、地元の化粧品屋さん。
お店の人と話をしているうちに、爪がキャンディーみたいに絶妙なピンク色なのに気がついた。
いやあ、いいなあ、マニキュア。
考えてみたら、子どもも成長した。今ならつけられる!
再びマニキュアをつけるようになった。
私がしてきた苦労は、多くの人と比べた時にそれほどでもないと分類されるだろう。それでも年をとって、自分なりに苦労もしておばさんの手になった。若いときよりもマニキュアが引き立つようになった気がする。
マニキュアをつける過程で手指をじっくり見る。それがよい。
つけた後も、ちょっと指先にも注意して行動してしまう。少し丁寧な人間になれる(気がする)。
指先を見ると、ちょっと元気になれる。きりのない仕事でパソコンを叩いていても、台所で大量の洗い物をしていても、ちょっと励まされる。
というわけで、誰も気づいていませんが、時々マニキュアをつけています。
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