甘すぎ甘酒

1月20日は甘酒の日

1月20日は甘酒の日なんだそうである。私も作った。シャトルシェフを使う。うまくいったと思う。いい感じの甘さだ。
しかし、少し残念な気もする。もっとくどい、しつこい甘さの甘酒を作ってみたい。懐かしい味を再現したい。

祖母の甘酒

祖母は4月になると甘酒を大量に作った。甘酒が好きとかそういうことではない。4月には1年分の味噌を仕込む。味噌を仕込む時に麹だけでなく、甘酒も入れる。大きなバケツいっぱい、なみなみと用意した。
祖母が甘酒をどうやって作っていたのか全く覚えていないし、祖母が甘酒を作るために何かをしている姿を見た記憶もない。いつのまにか大きな容器がコタツの中にあり、祖母がそれを出したときには甘酒になっていた。保温ジャーに甘酒が入っていたこともあった。味噌の仕込み用以外は冷蔵庫に保存された。
甘酒といっても液体ではなく、どろりとしたおかゆ状のものだ。強い甘みがあり、たくさんは食べられない。少しだけ小さな器に入れてお茶請けとして食べる。または冷水かお湯で薄めて飲む。そんなふうに消費された。私は氷水で薄めて飲むのが大好きだった。薄めても十分甘かった。牛乳で薄めてもおいしかった。

買うものになった甘酒

いつのまにか味噌を仕込むことはなくなった。祖母は甘酒を作らなくなった。甘酒の作り方を誰にも伝えずに祖母は亡くなった。
母は甘酒を「飲む点滴」と呼んで愛飲しているが、自分で作らない。市販の甘酒を買ってくる。私が疲れていると届けてくれる。母が厳選して買ってくる甘酒は確かにおいしいが、祖母が作ったものに比べるとあっさりしている。甘さもくどいほどではない。これが本来の甘酒なのかと思いつつ、少々物足りない気持ちにもなった。
自分で作ってみようと何度か挑戦したが、うまくいかない。少し甘いだけのただのおかゆになってしまったり、甘いけれど薄い液状になってしまったりして、祖母の作っていたものには程遠い。

これぞ祖母の甘酒?

全敗が続いていたが、転機になったのは麹屋さんのアドバイスだ。それまでスーパーで麹を買っていたのを、専門店に行って買い、ついでに相談してみたのだ。
「58.5度になるように調節するんです。本当はヨーグルトメーカーを使うといいんですけどね。使わないなら、時々温度をチェックして加熱したり、蓋をとって冷ましたりして調節してください」
目からうろこだった。祖母が何かやっていた記憶がなかったので、一回セットした後は手出しせず、保温し続ければいいと思っていた。温度が低すぎるのもよくないが高すぎるのもよくない。考えてみれば当たり前だが、そんなことも考えつかなかった。
シャトルシェフを使い、時々温度チェックをする。温度が低くなっていたら少し加熱する。それを繰り返すと格段に甘くなった。どろりとしたおかゆ状の甘酒である。母がおいしいと言う甘酒になった。
しかし、それでも祖母の甘酒とは違う。いやいや、すごく甘かったと思っているけれど、本当はそれほど甘くなかったのかもしれない。美化(?)しているのかもしれない。
母は、祖母はもち米を使って作っていたのではないかと言う。それならもっと甘くなるかもしれないと。でも、それを確かめるためにもち米を使って甘酒を作ろうとまでは思えない。うるち米で祖母の味に近づけるのが目標だ。

ちなみに、今の私のお気に入りの食べ方は「ヨーグルトにジャム代わりに入れる」である。

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