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叙情歌「春が私を憂鬱にするのは」

春だとわかったその日には、スズメの一羽も鳴いちゃいない。

寝穢いぎたない朝にべとつく汗は、階下に開け放たれた窓に乾く。

二階で干された布団のしみも、今日のそよ風にさらわれた。

まどろむ目にさす陽気な太陽。母はベランダで「暑いね」と。

誰にも会えない春の幕開け。

他はみんな、おのおの生きてる。

あの子を誘ってみようかな、あの子と乗馬にいこうかな、

春は色事がちらついて、いつの間にか散ってゆく。

さくらのちりゆくまで同様に

私は今年も、春を寝過ごす。



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