幼稚な食事
週末の昼下がり、俺たちは何もすることがなく、ただダラダラとソファで過ごしていた。テレビの音が心地よい背景音となり、二人の間に特に会話はなかった。今日の昼ご飯は、彼女が作った手作りのフライドポテトと市販のスイーツ。俺はリモコンをいじりながら、テーブルの上に積まれたポテトを無意識に手に取っていた。
「ねえ、最近思うんだけどさ」と、彼女が急に話しかけてきた。俺は少し怯むように顔を上げる。
「ん?何だよ?」
彼女は俺をじっと見つめ、言いにくそうな表情を浮かべている。俺は妙に緊張した。
「食べ物の好みってさ、ちょっと幼稚じゃない?」彼女の言葉に、俺は驚いて眉を上げた。
「幼稚って…どういう意味だよ?」俺は少し笑いながら聞き返す。
「だってさ、基本的に甘い食べ物とか、油っぽいものばっかりじゃん?ハンバーガーとか、ポテトとか、ケーキとか…野菜なんて見向きもしないし」彼女は少し呆れたように肩をすくめた。
「いや、別に普通だろ?俺、甘いものが好きだし、ジャンクフードだってうまいし。大人だからって急にサラダしか食べちゃダメなわけじゃないだろ」俺は反論するが、彼女の顔は真剣だ。
「それはそうかもしれないけど、バランスが大事でしょ?それに、最近、部屋の臭いが気になってるんだよね」
「臭い?俺の部屋が?」俺は驚いて部屋を見回した。
彼女は少し気まずそうにうつむいた。「うん…その、ウンコも臭いしさ。多分、食べ物のせいじゃないかな」
俺は一瞬、何を言われているのか理解できず、思わず笑ってしまった。「いやいや、ウンコって誰だって臭いだろ。俺だけ特別臭いわけじゃないだろ?」
「そうかもしれないけど…」彼女は困ったように言葉を詰まらせた。「でも、本当に気になるんだよ。もっと野菜とか食べた方がいいんじゃない?」
俺はしばらく黙っていたが、彼女の真剣な目を見て、反論する気持ちも薄れてきた。「…わかったよ、次はサラダでも食べてみるよ。でも、俺のウンコがそんなに臭いって…ちょっと傷つくな」
彼女は小さく笑いながら、「ごめんね、でも言わなきゃと思ってたの」と言って、俺の肩に軽く手を置いた。
「でもさ、正直言うと、お前も甘いものばっかり食べてるだろ。ケーキとかチョコレートとかさ。俺が甘いもの好きだって言うけど、お前だって負けてないだろ?」俺は逆に切り返してみる。
「う…それは…まあ、確かに」と彼女は顔を赤らめながら認めた。「でも、私はちゃんと野菜も食べてるもん」
「ははは、じゃあ次はお互い健康的な食事に挑戦してみるか。サラダとフルーツ、って感じで」
彼女は笑顔でうなずいた。「それいいね。でも、甘いものはデザートに取っておいていいよね?」
「もちろんだろ、デザートは譲れないよ」
こうして俺たちは、何気ない会話の中でお互いの食生活を見直すことにした。彼女の言葉が俺のプライドを少し傷つけたものの、なんとなくこれがきっかけで健康的な生活に一歩踏み出せた気がする。
とはいえ、俺の好きなフライドポテトやケーキを完全に捨てることはないだろう。
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