見出し画像

【定期鑑賞】Kiddy Grade【名作アニメ③】



はじめに

 2000年代初頭の自分が子供の頃に観ていたアニメの中で、結構中身がある美少女アニメとして記憶に残った作品『Kiddy Grade』を久しぶりに鑑賞してみました。
 ほとんど同時期に放送した似てる作品として『攻殻機動隊S.A.C』『E'S OTHERWISE』などとセットで覚えている作品です。

 内容的に共通するのは、どの作品も主要人物が不老で普通の人間と比べて寿命が圧倒的に長く、特殊能力を持ち、それらの理由で警察機構的な仕事に従事していることです。
 ストーリー的には、最初は組織内で働いているものの、途中から組織内の政治的動乱に巻き込まれた主人公が仲間を連れて離反するため反逆分子とみなされ、追手として送り込まれてくる組織のメンバーと戦う状況になるのも類似しています。

 今回は、Kiddy Gradeの中でも特に好きな第13話『Conflict/Destiny-衝突-』を振り返ってみました。

  個人的には、Kiddy Gradeを女子向けにしたのがE'S OTHERWISEというイメージ…。両方好きでしたけどね、、、。

Kiddy Gradeの概要

 人類が宇宙に進出した約450年後(西暦2460年)を舞台にした宇宙SFアニメになります。1年以上前の記憶を無くした主人公の16歳の少女・エクレールGOTT(銀河通称関税機構:Galactic Organization of Trade and Tariffs)に所属する受付嬢兼ESメンバー(Encounter of Shadow-work)です。

 パートナーの肉体年齢10歳の少女・リュミエールと共に銀河市民の固有財産と権利を守るべく、GOTT局長エクリプスの命令の下、特殊任務を行っていました。 
 物語が進むに連れ、エクレールは次第に記憶を取り戻しますが、それは銀河全体を巻き込む大事件へと繋がっていくのでした。

ESメンバーとは

 「Encounter of shadow-work member」の略。GOTTだけでなく、他の機関や組織にも存在し、上から順にG、S、Cとクラスが分けられています。
 ESメンバーは全て特殊能力を持っており、これらは生まれつきの他、修行や何らかのサポートを受けて身に付けます。また、二人一組のバディを組んで行動します。お互いの能力を補完し合う能力を保有する者同士が組むことが多い模様。

第13話のあらすじ

 第13話は、GOTTから離反したエクレール・リュミエールがエクリプス局長から刺客として送り込まれたアンオウ・エイオウと戦う話です。
 彼らに追いつかれたエクレール・リュミエールは、宇宙空間において高速巡航艦同士で戦い、その結果リュミエールが負傷したため、エクレールはやむなく近くの廃棄コロニーに逃げ込みます。

 応急処置の治療を試みるエクレールですが、生命活動上、致命的なダメージを負ってしまったリュミエールは宇宙船内の設備だけでは二時間の余命とメディカルマシンは診断しました。

エクレール「リュミエール、苦しくない?」
リュミエール「随分永く生きたけれど、最期が来るときはあっという間ですわね」

 エクレールはリュミエールを救うため、リュミエールを連れて廃墟となった無人コロニーの中を移動します。

リュミエール「エクレール…どこへ?」
エクレール「約束の場所」
リュミエール「…百万に一つの望みもないと思いますわ」

 実は数十年前、ふたりは戦争中のこのコロニーに体制側の治安管理官として滞在していました。そのときに、フランツという医師の青年にエクレールは命を救われていたのです。

アンオウと戦って負傷したエクレールを運ぶフランツ
フランツ「そうか…君たちは、時間を超えて生きてるんだね」
倒れたビルを見て、あれ俺たちがやったんだぜと思い出すアンオウ・エイオウ

 数十年前、このコロニーが戦争中だった頃、アンオウ・エイオウはクーデター側の傭兵、エクレール・リュミエールは中央派遣の治安管理官として対立し戦っていました。
 しかし、今度はアンオウ・エイオウらがGOTTで、エクレール・リュミエールがお尋ね者になっていることに、諸行無常を感じる彼らでした。

 余命30分となったリュミエールは、かつてこのコロニーで出会ったフランツについて話をし始めます。

リュミエール「こうしていると、あのときのことを思い出しますわね。怪我をしたあなたを彼が助けてくれたときのこと。もう何十年も昔なのに、昨日のことみたい…。そうですわね、彼なら約束を守ってくれるかも。何十年経っても、私たちを忘れずにいてくれるかも…
アンオウ・エイオウの奇襲からリュミエールを守るエクレール
背後を取るアンオウ
1対2で戦うエクレール
エクレール「しつこい男は嫌われるわよ」

 アンオウ、エイオウとひとりで戦うエクレールですが、一度にふたりを相手には勝てず、劣勢に追いやられます。

エクレール「お願い。一時間だけ待って。急いで処置しないとリュミエールが!」
エイオウ「気の毒だがその必要はない。我々が受けた命令は捕獲ではなく、消去だ」

 「だいたいこんなところで処置もへったくれもねえだろ、医者でも見つけるつもりだったのか?」と揶揄するアンオウに対し、エクレールはフランツのことを話し始めました。

フランツ「いつかこのコロニーが平和になったら、そうしたらまた来てくれないか?そのときは僕はもうおじいさんかもしれないけど」
フランツ「そうだ、約束するよ」

 フランツはエクレールに対し、エクレールたちが困ったらいつでも助けること、たとえ自分がいなくなった後でも使えるように設備を整えておくと約束をしていました。
 その言葉を信じるエクレールは、彼の病院に行けばリュミエールを救えると考えていました。

 その言葉を聞いたアンオウは「バカバカしい。あれから何十年経ってると思ってるんだ。あれからこのコロニーがどうなったか知ってるだろう?そんな約束すぐに忘れちまったに決まってる。覚えてたところで、律儀に守る余裕なんてあるもんかよ。普通に生きてる奴らなんて、俺たちにとっちゃ通りすがりの影みてーなもんだ。そんな口約束後生大事に覚えてるなんて、バカとしか言いようがねえぜ」と言い放つのでした。

 果たして、エクレールはリュミエールを救うことはできるのでしょうか!?

感想

 この話を観ると、事あるごとにヒンメルのことをフリーレンが思い出すときの心地よさに通ずるものを感じます。キディグレイドというアニメは一貫してこういう雰囲気の作品です。

 私がフリーレンを好きな理由の源泉を発掘することができたような気がします。私が知る限り、自らの死後の憂事まで考えて死んでいったアニメキャラは、ナルトのうちはイタチ、フリーレンのヒンメル、そしてこのキディグレイドのフランツですね。

 一時期、『自分の好きなことで好きなように生きていく』といった価値観が流行りましたが、個人的にあまり共感できず、その逆で『誰かのために、誰かのことを思って生きていく』人が好きですし、また自分もそうなりたいと思わせてくれる話でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?