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たたかう

アンダーテール(UNDERTALE)というゲームがあり、最近までこのゲームの実況動画を沢山みていた。(プレイはしてない。)このゲームと、仕事で感じた事が似ているな、という話。

アンダーテールは10年前くらいに発売されたパソコンで操作するRPG。ファミコンの時代のようなレトロな表現が基本なのだが、結構ストーリー展開など奥が深くてファンが多いらしいね。

ゲームのあらすじとしては、人間とモンスターが共存する世界→人間とモンスターが戦争する→人間が勝利し、モンスターを地下世界に閉じ込める→主人公(人間)がモンスターの閉じ込められた地下世界へ落っこちる→人間の世界に戻るため、主人公が冒険する…みたいな物語。

このゲームのすごいところは分岐の多さである。RPGでありながらストーリーが1つに収束することなく、複数個ルートが用意されている。ゲーム側が色々な選択肢をプレイヤーに与えてくるのだが、それがとっても道徳的で興味深いのだ。

例えば、モンスターと遭遇すると基本このような画面になるのだが、「たたかう」や「こうどう」などといった選択肢がある。

たたかうを選ぶと、主人公かモンスターのどっちかがちゃんと死ぬ。こうどうを選ぶとモンスターの情報を調べたり、モンスターのご機嫌をとったり、コミュニケーションがとれる。その後にモンスターと仲良くなったり、モンスターから逃げたりする選択肢が生まれたりもする。

要するに、主人公が地下世界を出るまでの過程で、モンスターを敵にするのか?味方にするのか?大きく分けて2つのストーリーが用意されているのだ。「たたかう」を一度も選ばずにゲームクリアすることもできる。逆も然り。その過程でモンスター達がプレイヤーを大いに揺さぶってくる。

一度もたたかうを選ばずに、モンスター達と平和的に交渉して進もうとしても、モンスター側は敵視して来たり、戦いを挑んでくる事もある。

逆に何度もたたかうを選んでしまえば、モンスター側からしたら主人公は地底世界の侵略者である。悪意の無いモンスターからも蔑まれ、信用は無くなる。クリアのためにモンスターを殺し続けなくてはいけなくなる。非常に道徳的で面白いなぁと感心した。


…で、何が言いたいかというと、このゲームにおける「たたかう」の扱いが教員目線の「叱る」に似てるな、と思うのだ。叱るというか、罰を与えるみたいな感覚だろうか。

私の職場の話だが、授業態度が悪い生徒に対する最終手段として、停学や重謹慎を言い渡す校則の整備が進んでおり、職員全体で物議になっている。授業態度って生徒側からしたら先生によっても変えるし、授業によっても変えるし、同時多発的に複数人によって起こる事もあるし、どこからどこまでが処罰の対象になるか非常に曖昧。また職員全員がその意思疎通を図るのもウチの場合これまた大変。非常勤合わせれば100人以上いるのだから。本気でやるならしっかりと処罰の基準が定められて、職員全員がその基準を共通理解する必要がある。

また、授業態度で問題に上がる子達ってのは発達障害等の何かを持ち合わせているケースも多い。いわゆる診断書を持っていないグレーな子達。私立の進学校となると、勉強は出来るけどコミュニケーション苦手とか、公立で馴染めなかった子たちが受験して入学するパターンも大いにある。そういう子たちを大切にケアしないと学校の未来は無い。ただ態度が悪いから処罰する、そうする事で果たして処罰された生徒は成長するだろうか?何か感じるだろうか。余計教員や学校との溝が深まるだけではないか?

学校側が教員全員に「たたかう」を強要しているようで嫌だ。

もっと違うルートがあると思うのだ。例えば公立学校に習って特別支援コーディネーターの方に来て頂いて、アドバイス頂いたり授業に入ってもらったりするとか。担任や学年ぐるみで頻繁に会議を開いて情報共有するとか。教育相談的に関わっていく必要があると思うのです。そのちょっとの手間をめんどくさがりすぎ。お金の話でいうなら公立は財源が市町村教育委員会なのに対してウチは自分達で賄わないといけないってのはあるかもだけど、それにしても見直せる部分はあると思うよ。

あと根本的な事だけど、生徒が授業態度悪いのを一概に生徒のせいにするのもどうかなぁ。その授業担当の教員には問題無いのかなぁ、は考えてほしいかも。指導力的な部分。その辺の職員の意思疎通や指導力向上のための研修や講習を組むっていう選択肢もある。授業態度悪いっていうのを貴重なご意見として真摯に受け止める、みたいな姿勢はウチの職場には無い。

色々職場の愚痴みたいに書いてしまっているが、私自身はそんなブチギレてる訳ではなくて、冷静です。前の職場よりか楽しく働けているし、人間関係も良好である。ただ学校よ、生徒ファーストではあれよ、とは常に思っている。

学校全体が「たたかう」ルートに進もうとも僕は他の「こうどう」の選択肢も忘れないでいきたいな。もちろん叱る時は叱るが、罰を与えるという意識は全く無い。ちゃんと何がいけなかったか生徒に伝わるように工夫していきたいね。アンダーテールと職場の状況からそんな事を考えられた。

昨日はテストと作品の返却日だった。今学期はみんなよく頑張ってくれて、成績も高得点多かった。返却の際にはホメまくった。生徒の表情も良かったように感じる。やっぱホメるために教員やってるな、などと思った。

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