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利益を食い過ぎ!潰れちゃうよ。上がり続ける人件費問題-コンビニ-

コンビニエンスストアの人件費高騰の理由と問題点

近年、コンビニエンスストア業界では人件費の高騰が大きな課題となっています。他の企業も同じだと思いますが、パートアルバイトさんが多いコンビニで、人件費が高騰を続けることは、利益率の低い店舗にとってかなりの死活問題です。しかも、雇っている人数もとても多いです。
この現象にはいくつかの理由があり、業界全体に影響を与える問題も浮き彫りになっています。
今回は、コンビニ業界における人件費高騰の理由と、その問題点について掘り下げてみたいと思います。

尋常じゃないスピードで上がり続ける人件費はなぜ??


1. 人件費高騰の理由


近年、働き方改革で最低賃金の上がり方が尋常ならざるスピードで上がっています。さらに国は勝手に『最低賃金を1500円まで上げる!!』と豪語しておりますが、ぶっちゃけあげるのは企業側であり、それに対する助成もコンビニ経営者は対象外らしいのです。
唯一受けられるのは高齢者の雇い入れの助成金などのかなり制限のあるもので、その金額自体が少なすぎる問題があります。だから、ほとんどの店舗が自力で乗り切るしかありません。

さて以下に僕が考える人件費高騰の理由を考えてみました。

① 人手不足の深刻化

まず、最も大きな理由は『人手不足』です。少子高齢化の進行により、若年労働者の数が減少しています。これは特に、労働集約型のビジネスであるコンビニ業界に大きな影響を与えています。スタッフを確保するためには、給与を上げることが必要不可欠であり、その結果として人件費が高騰しているのです。
また、人件費を上げるだけでは最近はまったくお手上げで、福利厚生や、労働条件などの緩和など、さまざまな特典をつけなければなりません。これは全てオーナーそれぞれの意向で決まるため、人手不足に陥らないように、オーナーさんたちのお給料、利益などを削り、やらざるを得ないのです。
もちろん、店舗を任されている僕のような店長のボーナスも削減です。売り上げの低い店舗のオーナーさんは、給料自体、出にくい状態だと思われます。

② 最低賃金の引き上げ

各地で最低賃金が引き上げられていることも、コンビニ業界に大きな負担となっています。最低賃金の上昇は、パートタイムやアルバイト従業員が多いコンビニにとって、特に大きな影響を及ぼします。人件費の増加は、利益率に直接響くため、経営にとって頭痛の種です。
また、最近の自民党総裁選では、103万の壁をなくそうというとんでもない政策を話し合っています。これはつまり、パートアルバイト全てが社会保険、厚生年金の加入が必要になるということです。
この制度は半分を会社が負担するのです。たとえば、月20000円の社保と厚生年金が給料から天引きされる人がいた場合、会社(オーナー)も同じ額20000円をおさめなければなりません。ようは一人当たり40000円、国は持っていくということです。
今まで、コンビニを支えてくれたパートさんアルバイトさんは103万円未満で働く方がほとんどです。これがいきなり全員が社保加入となれば、コンビニは死にますね。確実です。

③ 業務の複雑化

コンビニ業界では、商品の多様化やサービスの拡大が進んでいます。宅配便の取り扱いや、公共料金の支払い、フードデリバリーの対応など、店舗スタッフが行う業務は年々複雑化しています。これに伴い、スタッフに求められるスキルも高度化しており、それに見合った報酬を提供する必要があります。業務が増えた結果として、従業員の負担が大きくなり、その分の賃金も上昇しています。
コンビニはオワコン、底辺と言われますが、とんでもない!頭が良くなければできません。たまにレジ接客が酷いコンビニはありますが、教育が徹底された店舗では仕事ができる方が働いていることが大半です。仕事の内容が多すぎるため、仕事のできる方はその分高い時給を払っていますが、最低賃金が上がりすぎて、差をつけにくくなっています。もちろん、能力に見合った時給を払うことは大切なことですが、利益率の低いコンビニでは難しいのです。

④ 24時間営業の維持

コンビニエンスストアは24時間営業が標準となっていますが、この営業形態を維持するには夜間労働者が不可欠です。しかし、夜間勤務に適した人材は限られており、さらに高い賃金を提示しないと人材確保が難しい状況です。このような背景から、夜勤スタッフの賃金が上昇し、全体の人件費が押し上げられています。
セブンイレブンの場合は24時間営業への緩和がなされましたが、その分ロイヤリティ(チャージ)を減らされるようです。なぜ、、、そんなことするんだ。。。田舎のコンビニは夜のお客様は大変少なく、周りが真っ暗な中で1人で店番する夜勤の方も少なくありません。ほんとに危ないと思います。
そして、夜勤の方に払うお給料の方が売り上げより高いなんてことも発生します。本当に必要なのかどうか、都会と田舎で分けるなど、時代に乗っ取った運営を考える必要があるのではないかなと思います。

夜勤の仕事は品出しなどがメイン。お客様の量は数える程度。特に田舎は夜は逆に犯罪に遭う確率が高く、あぶないです。


2. 人件費高騰の問題点


さて、ここからは人件費高騰による問題点を考えていきます。

① 利益率の圧迫

人件費の上昇は、直接的に利益率の圧迫につながります。コンビニは利益率がもともと低いため、人件費の増加は非常に敏感な問題です。(コンビニの店舗の利益率は12.3%くらいです。いろんな業種の全国的な平均は30%くらいです。ここからみても低すぎます。)
うちのコンビニ本部は純利益から半分以上持っていくため本部には痛みは全くありませんが、店舗側は違います。
店舗側は残った半分以下の利益から人件費や廃棄をまかなわなければならず、人件費が上がっていくことで、夫婦でたくさん働いて人件費を減らす努力をされてる店舗もたくさんあるのではないかなと思います。

人件費で潰れていくオーナーさんおよび僕の絵笑笑


② 人材確保がさらに困難に

人件費が高騰しても、必ずしも人材が確保できるわけではありません。多くの人がより条件の良い他の業界に流れているため、採用競争が激化しています。特に地方や労働力が不足している地域では、求人しても人が集まらないケースが増えてきています。このような状況下では、さらに人件費を上げるか、店舗運営そのものを見直す必要が出てきます。
福利厚生の充実などをうたったとしても、外資系のコストコや、IKEA、大手企業などに流れて行ってしまい、そもそも時給競争の土壌にのることができないのです。それをわかっていながら本部は何もしません。

個展個展ではコストコやIKEAには絶対に勝てない。


③ 長時間労働の助長

人件費があがる=人件費を削るために人を削減するという負のループに陥ります。
つまり、人手不足により、一部のスタッフに過度な負担がかかり、長時間労働が問題となるケースもあります。これを防ぐためにできることはオーナー夫妻が24時間カバーする、休みをなくす、または僕のような店長がオーナーと一緒に回すしかありません。それでも限界はあります。パートさんアルバイトさんに負担がかかってしまうのはいたたまれません。
これは従業員の離職率の上昇や、働き手のモチベーション低下につながります。結果として、再び新しい人材を探すコストが増加し、悪循環に陥ってしまいます。採用するための求人広告は数万円から数十万円かかる上に、採用しても、教育にはお金がかかります。教育自体、それぞれの店舗で行うため、人件費が10万以上膨れ上がることも多々あります。そして、離職してしまえばまた初めからやりなおしになってしまうのです。

忙しすぎるとすぐ辞めていってしまう。


④ 店舗の閉鎖リスク

特に人件費の負担が大きくなりすぎると、利益を出すことが難しくなり、最終的には店舗閉鎖に追い込まれる可能性もあります。すでに地方では、人材確保ができずに店舗が閉鎖されるケースが増えており、これは地域の生活インフラにも影響を及ぼす深刻な問題です。
今たくさんの方が便利に使っているコンビニ自体がなくなるというのは、国民生活に大きな影響を与えるのは目に見えています。

もう無理です。閉店します。というオーナーさんも多いと思います。


3. 解決策への模索


このような人件費高騰に対して、業界全体としてもさまざまな対策が模索されています。例えば、セルフレジや自動化技術を導入し、スタッフの業務負担を軽減する動きが広がっています。また、フレキシブルな働き方を提案し、主婦やシニア層など幅広い人材をターゲットにした採用戦略も進められています。

また、業務の効率化を進めることで、人件費の抑制を図る企業も増えています。デジタル技術を活用した在庫管理や発注の自動化などもその一例です。さらに、地域ごとに営業時間の見直しや、時短営業を検討する店舗も増加しています。

色々なデジタル技術の導入がなされているが、、、

とここまで解決策とされるものを書きましたが、はっきり言って機能していません。
AIなどやセルフレジを導入したところで、仕事の量が半端なく多い!!だから人数は減らせないし、よっめ人件費は変わりません。
むしろ減るどころか、5年前から総額で50万近く一店舗あたり増えています。
そして、そもそも最低賃金の上昇率とスピードが早すぎるし、
これに加えて何十人と雇い入れているパートアルバイトさんたちが社会保険と厚生年金に加入した場合、それだけで100万円/月は人件費が上がってしまい、もはや利益などでないでしょう。

本部がロイヤリティを下げないかぎり、このままではたくさんの店舗が閉店となってしまう未来しか僕には見えません。あとは他店舗経営のお店さんでいい契約を結んでいるなど、そのような方たちが古い店舗を買取り、運営するという方法もありますが、それにも限界はあるでしょう。
ロイヤリティ問題については、
以下の記事をご覧ください。


終わりに


コンビニ業界における人件費の高騰は、業界全体の課題であり、今後も続くであろう重要なテーマです。現状を乗り越えるためには、従業員の働きやすい環境作りと、最新技術を活用した業務効率化が不可欠です。これからも、柔軟な発想と迅速な対応が求められるでしょう。

人件費の高騰は一時的な問題ではなく、長期的な課題として捉える必要があります。これを機に、より良い働き方や店舗運営のあり方を見直すチャンスでもあるかもしれません。

またフランチャイズ本部も今までの殿様商売を見直すべき時が来ています。
もっと現場に寄り添ったロイヤリティ率に変更する、無駄な設備投資や海外への投資はせず、店舗側に回すなどしなければ、
決して解決することのできない問題です。

この声が大手コンビニ本部に届くことを願っています。

みんなが投げ出したらコンビニはなくなってしまう。本部はしっかりと議論してほしいです。

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