Universe26~動物実験を通して見るフェミニズムと表現の自由~
序論
はじめまして、かぷりコンと申します。いわゆるフェミニズム(と称した何か)VSアンチフェミニズムの戦いにおいてこれまではROM専勢でしたが、最近気付きがあったのでこの記事を投稿させて頂きました。それは、フェミニズム及びそれに準ずる思想の誕生は動物実験によって観測されていたのではないか?という事です(とりあげる実験はUniverse25[正式名称Death Squared]と呼ばれるネズミを用いた実験になります。)。
昨今のツイッターでフェミニズムと検索すれば分かる通り、ツイフェミと呼ばれるフェミニズムとは名ばかりで内実ミサンドリーの傾向が強い発言(時にはパターナリズムやミソジニー)をしているものが目に付きます。
パターナリズムを叫んで職業選択の自由や表現の自由を制限(特に女性的な表現)しようとしているものもおり、これはフェミニズムが生まれた当初の理念とは正反対だと既に多くの方々から指摘されている次第であります。
なんでこんな事になったのやら…かれらの主張を認めるとどうなってしまうのやら…これらについても既に様々な方々が主に歴史的・社会的知見から考察されています。これらに倣っていては芸がないので先述の動物実験を主軸にして考察していきたいと思います。この実験は天敵や水・食糧不足のない楽園にネズミを放り込んだら際限なく増殖していくのか観測するものです。
先にネタバレすると、この楽園は滅亡します。しかも約2年(人間に換算すると約70年)で「あっこれ滅ぶわ」て状況になります。
もちろん人間はネズミではありません。ネズミの楽園と日本社会の間には類似点もありますが相違点もあります。この記事ではそれら類似点と相違点の両方を洗い出しながらフェミニズム及びそれに準じた思想の誕生の経緯を考察していきます。その上で日本がネズミの楽園と同じ結末を避けるにはどうしたら良いのか模索し、更にその先にある世界「Universe26」についても併せて考えていきたいと思います。
Universe25実験の概要(※引用①.ジョン・B・カルフーン(1973).Death Squared.)
ネズミを天敵がおらず水も食糧もある楽園の環境に置くとどこまで繁殖し続けられるのか観察した。楽園となるケージは16の区画で仕切られ256個の巣箱が設置されており、理論的には3,840匹まで収容できる。これに健康なネズミのカップル4組(計8匹)を放し個体数の推移を観察する。実験に用いたネズミの寿命は800日でこれは人間の80歳に相当する。
フェーズA:適応期(0~104日目)
この期間はネズミたちが楽園の環境に慣れるため必要な期間だった。104日目にケージ内で最初の子供が生まれた。
フェーズB:社会形成期(104日目~315日目)
その後ネズミの数は約55日に2倍のペースで順調に増えていき、20匹→40匹→80匹→160匹→320匹→620匹まで増加した。しかし大人のネズミが620匹に達すると増殖のスピードは約145日に2倍のペースに落ちた。この頃になると、ネズミたちの間で格差社会が形成されていた。
ネズミの個体数が増えるとケージ内の広い縄張りと複数のメスを独占するボスネズミ(人間でいう家父長に近い。)が現れた。続いてボスネズミに対し下克上を狙いつつ日々戦い続ける中ボスネズミが現れ、戦いに敗れキズだらけになって無気力となり他のネズミと関わりを持ちたがらなくなる引きこもりネズミが出現した(自然界だったら他所に追いやられているネズミである。)。
このうちオスのネズミたちの間では執着した相手をしつこくつけ回したり、相手の合意なしで交尾行動(相手がオスでもお構いなしである。)をするといった異常行動が観測される様になった。
メスネズミに関しても格差が見られた。ボスネズミに守られたメスネズミは通常のネズミ同様に育児に専念できた。逆に弱いメスネズミの場合は周囲にいるのは弱い引きこもりネズミであり、育児中でも攻撃的なネズミの侵入にさらされる様になった。
その結果弱いメスネズミは自力で自分と子供を守らざるを得なくなり、非常に攻撃的になった(メスネズミがオス化していった。)。その攻撃性は子供たちにも向けられ、人間でいう虐待や育児放棄が起きる様になる。弱いメスの子供について乳児死亡率は上昇し始め、子供たちは通常よりも早く離乳せざるを得なかった。
更に子供を持たないメスの間でも、育児中のメスネズミは嫌う高さの箱の中に引きこもり他者を拒絶する様になった。
フェーズC:停滞期(315日目~560日目)
この頃になるとメスたちの間で受胎率の低下・流産の増加が見られるようになった。子供への虐待も激化し、引っ越しをする際に子供を置き去りにする行動も見られた。こうして乳児死亡率は上昇し続けた。
フェーズCの半ばに生まれ育ったマウスたちはほぼ全員、母親からの虐待を経験していた。このような個体は離乳後に社会に入っても他のマウスに対し関わろうとせず、戦いによるキズが見られなかったので「ビューティフル・ワン」と呼ばれる様になっていった。
求愛・母性・攻撃性に関する行動は更に短絡的になっていった。
ちなみに、このフェーズCの終了前50日以内に生まれたメスネズミの内、実験終了時点で妊娠を経験したものは18%、受胎していたものは2%で、妊娠および出産を経験したものがわずか20%しかいなかったことになる。
フェーズD:終末期(560日目~1780日目)
560日目に個体数の増加が停止し(2200匹がピーク)、600日目の出産を境に出産が観測されなくなった。これ以降受胎率は落ち(最後の受胎は920日目)、これ以降個体数は老衰によって減少の一途をたどっていった。1,780日目には楽園で最後のオスが死亡。これにより楽園は滅亡した。
個体数が減少し始めた局面では生殖可能な個体はオス・メス共にいたが、いずれも「ビューティフル・ワン」ばかりで通常の生殖活動を行おうとしなかった。
また、「ビューティフル・ワン」となった個体を楽園から引きずり出して通常環境で育った異性と一緒に飼育しても、適切な生殖活動は行われなかった。
余談
この実験は合計25回繰り返されましたが、(多少の日数のズレはあったものの)それらの楽園はほぼ同じ様に滅亡しました。
論文の正式名称はDearth Squaredですが、実験の試行回数からUniverse25と呼ばれる様になりました。
ここまでがUniverse25実験の概要となります。詳細が気になる方は記事の最後の引用文献にURLを貼ってありますので、そちらをご参照ください。
もちろん人間はネズミではありません。実験内容とそぐわない部分もあります。しかしそぐう部分もあります。
これからそういった相違点と類似点を洗い出していき、フェミニズム及びそれに準ずる思想がいかに誕生したのか、日本の社会がネズミの楽園の後を追わないためにはどうしたらいいのか模索していこうと思います。
Universe25との類似点
類似点①:日本の歴史とネズミの楽園の経過
日本とネズミの楽園を比較するとフェーズCまで該当すると思われます。
フェーズA:適応期、第1次ベビーブーム(1945年)~高度経済成長期('50年代)
フェーズB:社会形成期、学生運動('60年代)~バブル景気('80年代後半)
フェーズC:停滞期、バブル崩壊後('90年代以降)
類似点②:引きこもりの増加~フェミニズムの出現~
要因として核家族化の進行と夫婦共働き世帯の増加、更に地域社会の希薄化で家族機能が低下した(少なくともマンパワーは低下した。)ためと思われます。一つずつ見ていきましょう。
昭和61年の時点で既に核家族世帯:非核家族世帯(単独除)=2.9:1であり、
令和元年ですと核家族世帯:非核家族世帯(単独除)≒5.25:1に達しています。
共働き世帯も90年代に拮抗した後、'00年代からそうでない世帯を上回りました。これは'00年代からの給与水準の低下で、夫一人の収入で家族を養えるか先行き不安が起きたためと思われます。
私見で恐縮ですが、夫婦共働きというのはネズミで見られたメスのオス化に近い現象でないでしょうか。
ネズミの母親は周囲のオスが戦わないためにオスの役割を兼ねる様になりましたが、日本においては父一人の力=経済力で家族を養いきれるか社会不安が生じたため母親が父親の役割を一部兼ねる様になったと言えます(グラフ10の通り男女で賃金差はありますが。)。
フェミニズム=男女同権、という意味ならばこの時点で現れ始めています。
町内会・自治体活動への参加頻度も'60年代末期と比べ'00年代の時点で落ち込んでおり、地域社会も昔と比べ機能しなくなっている事がうかがえます。
グラフ6を見てわかる通り、日本において児童虐待は増え続けています。
児童虐待は家庭の機能が低下した結果起きることで、このグラフは機能不全に陥っている家族が増え続けていることを示しています。
その結果いわゆる引きこもりの数はどうなったでしょうか。
グラフ7を見ると引きこもりの数は徐々に増え続けています。
更にUniverse25で観測された引きこもりネズミたち「ビューティフル・ワン」には「社会的に引きこもってるわけではなく、社会システムに参加しようとしない」という特徴が見られました。
生活の糧を得る為に会社に勤めてはいるが職場の同僚・上司と親密にはならず飲み会などに参加したがらない、といった個人も広義の「ビューティフル・ワン」に該当し得るのです。
これ以降、この記事において人間でこれに該当し得る個人を「ビューティフル・ワン」と呼びたいと思います。
類似点③.独り立ちした子供たち~ミサンドリーの出現~
ネズミの場合、たとえ家父長たるボスネズミの子供だろうが大人になった後は子供を追い出します。これは本来近親相姦を防止するための本能です。
人間で言えば新社会人になって親元から離れるフェーズに近いでしょう。
家父長というと大仰に聞こえるでしょうが、家族の居住空間を確保し力(=収入と貯蓄)があるならば、自分用の居住空間を確保できなかったネズミから見れば家父長と呼べるレベルです(実際、グラフ9,10を見ても50代以上は若年層と比べ居住空間も収入・貯蓄も確保できています)。
そうして追い出された子供たちは中ボスネズミとしてのキャリアをスタートし、下克上して家父長たるボスネズミになる事を夢見て他の中ボスネズミと戦い続ける日々を送ります(人間の場合は権力≒経済力なので、下克上というより「のし上がる」の方が適切でしょう。)。夢破れたものは引きこもりネズミになるのは論文の通りです。
オスの子供の場合はこの通りですが、メスの子供はどうでしょうか。
メスの子供は他の家父長たるボスマウスの保護下に入れれば安泰で、後は育児に追われる日々を送ります。でもそんな幸運な個体は少数派です。
残念ながら家父長であるボスネズミの保護下に入れなかったメスの子供は、巣箱の高い位置を陣取って他のネズミを拒絶する様になります。
オスは家父長にのし上がろうと日々戦い、メスも家父長でないオスは相手にしない様です(実際フェーズC終盤での妊娠経験者はわずか2割でした。)。
私見で恐縮ですが、女性でSNSを介しフェミニズムを掲げながらミサンドリーを叫んでいる方は、この巣箱の高い位置を陣取り他者を拒絶する中ボスのメスネズミに近いのではないでしょうか。
特にミサンドリー(男性嫌悪)の傾向は、ネズミの楽園でメズのネズミが自分と同格である中ボスのオスに見向きもしなかったことを彷彿とさせます。
少なくともフェミニズムを自称したミサンドリー(いわゆるツイフェミ)ならこうして出現していると推測できます。
Universe25との相違点
相違点①:乳児死亡率の低下~社会制度と祖父母の存在~
これはネズミの楽園と異なります。要因として次の3つが挙げられます
要因1:虐待が発覚したら通報され、子供は保護されるから。
ネズミと違い人間の場合は子供を保護する仕組みがあります。
また先述の共働き世帯の子供は保育園・託児所に預ける事もできます(全くキャパ足りてないのは長らく叫ばれていますが。)。
要因2:子育てのノウハウをメディア等で伝えられるから。
ネズミの場合、子育てのノウハウは虐待の増加と共に失われました。
一方で母子手帳を見ればわかる様に、人間は虐待を受けて育った個人でも子育てのノウハウを学ぶ事ができます(ネズミと違って人間にはメディアがあります。)。
要因3:親との関係が良好ならば、親からの支援が期待できるから。
ネズミと違い、人間の場合は子供が大人になったからといって直ちに家から追い出すわけではありません。グラフ9にある通り、高齢の親は家や貯蓄といった育児に必要な資源を持っています。(社会形成期の終盤である1990年の時点で20~30代だった者は今50~60代になっています。)
更にグラフ10にある通り女性の平均給与と50代以上男性のそれとの間には明確な差があります。
私見で恐縮ですが、女性と50代以上男性との間に平均給与でここまで差が開いていたら、女性の間に50代以上男性から支援を受けようとする動きが出ないでしょうか?
相違点②.ビューティフル・ワンが攻撃される機会の増加
ネズミにおいて引きこもりになったネズミが攻撃される機会は、中ボスネズミが八つ当たりする時か、中ボスから転落して日の浅いネズミが来た時くらいです。そうでなければ引きこもりネズミは周囲のネズミと物理的に距離を取っていれば放っておかれます。(そうしてビューティフル・ワンと呼ばれる個体が出現し始めます)
ひるがえって人間はどうでしょうか?ネズミの場合は権力=身体能力でしたが、人間の場合は権力≒経済力です。家庭を持つためには収入を確保し蓄財する必要があります。ネズミみたいに同格の競争相手に攻撃して負傷させても有利になるどころか社会的に制裁をうけかねません(ネズミと違って警察がいますから。)。
仕事が順調で蓄財する分には引きこもりに構うメリットはありませんし、満足な収入のある相手と結婚できた場合も同様です。となると引きこもりを攻撃する目的はネズミにも見られた通り、主に八つ当たり・憂さ晴らしが考えられます。
上記の事を考慮しながらネズミの場合と照らし合わせると「中ボスの座から転落寸前・転落した」ものが主にビューティフル・ワンを攻撃すると推測できます。
ここまでは「昔からそうだったよ」と言えなくもない話ですが、これから話す事情が昔よりもビューティフル・ワンへの攻撃を激化させています。
スマホSNSの普及です。なぜならばSNSを介して他人のパーソナルスペースに踏み込むことが容易になったからです。現にSNSによる誹謗中傷・人格攻撃は社会問題になっています。
具体的に言うと北海道に住む人と沖縄に住む人が共通の話題で口喧嘩になることが、SNSの普及によって身近になりました。これは物理的に距離を置けば放っておかれたネズミでは考えられない事です(この1点に絞れば、ネズミのビューティフル・ワンは人間のビューティフル・ワンより幸運だったようです。)。
こうして人間はSNSの普及によって自分のパーソナルスペースを確保し守る事が困難になり、ネズミと違ってビューティフル・ワンが攻撃される機会が昔より増大しました。
相違点③:性犯罪が増加していない~代償行為の重要性~
ネズミでは相手のストーカー行為及び合意なしでの交尾行動という異常行動が観測されましたが、これは人間でいうところの性犯罪にあたります。この性犯罪の認知件数の推移を確認したところネズミの楽園と違い日本社会では性犯罪は減少している事がわかりました。
平成2年から令和元年まで見ると性犯罪は平成15年(2003年)前後に一旦増えましたが、それ以外では小さな増減を繰り返しています。これだけでは傾向が分からなかったので、平成2年よりも前にさかのぼりました。
昭和21年から性犯罪の認知件数を確認した所、昭和35年~45年('60年代)の頃は性犯罪の認知件数が格段に多く、その後減少傾向にある事がわかりました。
1960年代は学生運動が盛んだった時代です。若い世代の欲求不満のはけ口(広義の代償行為といっていいでしょう。)として暴力を伴うものが選択されやすい環境でした。この頃の国民の間には学生運動への参加者に対し同情的な風潮がまだあり、それが暴力を伴う代償行為を助長していました。
性犯罪の認知件数の増加はそのあおりを食らった結果でしょう。
しかしその後あさま山荘事件に代表される様な一連の事件が起こってその実情が知れ渡るにつれ、1970年代(昭和45年~)以降は暴力を伴った学生運動は急速に支持を失い下火になっていきました。
暴力を伴う代償行為が否定されていったのです。
性犯罪の認知件数もそれに伴い下降していきます。
また昭和55年頃(1980年代)にも性犯罪の認知件数が急に減っている時期がありますが、実はこの頃いわゆるアダルトビデオが普及し始めていました。
そういう傾向のある人は家でアダルトビデオを視聴するのに忙しくなって現実の女性を襲わなくなったと推測できます。
暴力を伴わない代償行為が普及したのです。
ここまでは人間の話でしたが、ここで一旦ネズミの楽園に目を移したいと思います。ネズミの世界ではオスに対する相手の合意なしの性行為が観測されました。これは代償行為の結果と考えられます。
自分のメスを独占できる家父長マウス以外のオスのマウスにも性的欲求があります。かといって家父長マウスが保護してるメスに手を出そうものならそれこそ命に関わる制裁が予想されます。自分より強いオスへの恐怖は機能しているのです。
かといって手近なメスはどうかというと、社会形成期の初期はともかく後期になってくると自分と我が子を守るため攻撃的になっていったのは論文で述べられている通りです。反撃され負傷するリスクがあります。
では中ボス階級から転落したオスの引きこもりマウスはどうなのか。中ボス同士の戦いでうちひがれて、どんなことをしても抵抗も反撃もしません。攻撃的なメスの代わりに標的にするにはちょうど良かったのです。
ネズミですら、代償行為をしたのです。そしてオスを襲ってでも、性的欲求を満たそうとしたのです。
(※人間の同性愛を否定する意図はありません。実験で観測されたネズミのオス同士の同性愛は人間の様に好き好んで行われたものでなく、上記の通り他に選択肢がない状況に追いやられた結果起きたものなのです。)
ひるがえって人間はどうかというと、先述の通り暴力を伴う代償行為は否定され、暴力を伴わない代償行為は普及しています。後先考えられる人だったら、わざわざ警察に逮捕されるリスクを冒すくらいだったら合法で安全な手段を選ばない理由はありません。
ネズミですら代償行為をした訳ですし、人間にしても代償行為が起こる事自体は止められないと予想できます(止めようとしたら監視社会&警察国家にならざるを得ません。)。だったら社会の安定を脅かさない形の代償行為をあらかじめ用意しておく方が賢明でしょう。
性的欲求を満たす代償行為を充実させることは社会の安定化につながる。
経験論的に語られてきたこの声は、1980年代以降の性犯罪認知件数の減少と動物実験の結果、この両方を照らし合わせても正しいと言えるのではないでしょうか。
逆に言うと代償行為を用意するのに必要な表現の自由を過剰に規制する行為は、社会の不安定化につながると言えるでしょう(但し誹謗中傷・人格攻撃は逆に社会の不安定化につながるので認める訳にはいきません。)。
私見ですが、人間の代償行為のうちメディア(ビデオ・マンガ・動画等)を用いた方法は気軽に自分のパーソナルスペースに持ち込めるため、人間のビューティフル・ワンにとって利用しやすいと思えます。そして彼らが異性への性的欲求を維持する手段としても期待できるのではないでしょうか。
これはメディアがなく、最終的に睡眠・食事・自分の毛づくろいしかしなくなったネズミのビューティフル・ワンとは違います。
ネズミの楽園は終末期に残ったビューティフル・ワン達に異性への性的欲求が残って無かったため滅びましたが、人間のビューティフル・ワンにそれが残っていれば、人口減少により個人への淘汰圧が和らいだ後に再び人口増加に転じることが期待できます。
そうなれば女性の人権を制限したり同性愛を制限したりする様な過激な事をしなくても、人口減少により個人への淘汰圧が和らいだタイミングで子供が生まれて来るようになるでしょう。
その先にネズミ達には到達できなかった世界「Universe26」があります。
総括
ネズミを水・食料が無制限の楽園に放り込んだところ個体数の増加に伴って格差社会が生まれました。貧富の格差が拡大するにつれ真っ当な育児ができる環境が喪われ、虐待を受け育った個体は他者と関わりを持とうとしませんでした。その後新たに子供が生まれなくなっていき、ネズミ社会は高齢化に陥り、個体数の減少が始まりました。個体数が減って真っ当な育児ができる環境になっても取り残されていたのは虐待を受け育った個体(周囲と関わりを持とうとしない個体)のみで、正常な生殖行動は再開されず、楽園のネズミ達は絶滅しました。
この実験結果からネズミの社会と日本の社会の類似点を比較すると、人口総数の推移はフェーズCの社会停滞期までおおよそ似通っていました。
給与水準の低下によって夫婦共働き世帯が増加し、女性の社会進出が進みました。ネズミの社会で起きたメスのオス化に近い現象と言えるでしょう。
こうして母親が父親の役目の一部を担うようになり。フェミニズム=男女同権は出現しました。
同時に各家庭の機能の低下も観測され引きこもりが増加しました。
ネズミの楽園で観測された引きこもりの傾向がある「ビューティフル・ワン」は今の日本でも存在し増え続けているといえます。
このネズミの楽園におけるメスのネズミに注目すると、社会形成期後半~停滞期においては家父長のボスネズミでない、自分と同格である中ボスのオスネズミには見向きもせず、他のネズミを拒絶する傾向がみられました。
この傾向はフェミニズムを自称しながらミサンドリーに陥ってる傾向(いわゆるツイフェミ)と類似性があり、ミサンドリーが出現したといえます。
ここまでは「昔からそうだった」と言えなくもない事ですが、昨今のSNSの普及はこの傾向を加速させています。SNS上では他人の誹謗中傷・人格攻撃が容易な環境にあり、これまで放っておかれがちだった引きこもりの傾向がある「ビューティフル・ワン」が攻撃されやすくなりました。
これはネットもスマホもないネズミの社会では考えられない事です。
またネズミの社会と比べると「中ボスの座から転落寸前・転落した」ものが主にビューティフル・ワンを攻撃すると推測できます。
ひるがえってネズミの社会との相違点に注目すると、乳児死亡率が下がり続けている点が挙げられます。理由として日本には子供を保護する社会制度がある事、母子手帳などで母親が真っ当な育児を学べる点が挙げられます。これらは警察もメディアもないネズミの社会には不可能なことです。
また人間の場合はネズミと違って(関係が良好なら)祖父母世代が子世代の育児を支援できる点も挙げられます。
余談ですが女性と50代以上男性には貯蓄も収入も著しい差があるので、女性が50代以上男性に盛んにおもねるようになる可能性も指摘できます。
更なるネズミの社会との相違点に注目すると、ネズミと違ってその代償行為により社会の安定が脅かされていない点が挙げられます。
性犯罪の認知件数の推移を見ると、1960年代に学生運動が盛んで暴力を伴った代償行為が横行してた時期は性犯罪の認知件数が高い水準にありました。
しかしその後そのような暴力を伴った代償行為は否定されていき、更に1980年代にアダルトビデオといった暴力を伴わない代償行為が普及するにつれ性犯罪の認知件数は減少していきました。
社会の安定を図る視点から、代償行為を用意するのに必要な表現の自由を過剰に規制する行為は、社会の不安定化につながると言えるでしょう(但し誹謗中傷・人格攻撃は逆に社会の不安定化につながるので認める訳にはいきません。)。
それだけではなく、メディア(ビデオ・マンガ・動画など)を用いた代償行為は人間のビューティフル・ワンには利用しやすいと考えられます。
ネズミのビューティフル・ワンは睡眠・食事・自分の毛づくろいしかしなくなりましたが、人間のビューティフル・ワンはそれ以上の事ができ、異性への性的欲求を維持することができます。
ネズミの場合と違いビューティフル・ワンの男女同士で次世代を育む事が出来る様になれば、人口が減少し個人への淘汰圧が和らいだタイミングで再び子供が生まれて来る事が期待できます。
そうなれば女性の人権を制限したり同性愛を制限したりする様な過激な事をしなくても、人口減少により個人への淘汰圧が和らいだタイミングで子供が生まれて来るようになるでしょう。
その先にネズミ達には到達できなかった世界「Universe26」があります。
あとがき
繰り返しますが、人はネズミではありません。
ネズミには無かった文明の利器、例えばメディアを活用すれば、ネズミには超えられなかった限界を超える事ができます。
現に乳児死亡率を下げることには成功していますし、性的欲求を満たす代償行為を充実させることにも成功しています。
ならばネズミ達が超えられなかった壁を越えられるはずです。
ネズミと同じ事をしていたら、滅びます。
実験に供されたネズミ達の屍の山を、文明の利器をもって乗り越えた先に、新たなる世界が待ち受けているのです。
アダムとイヴは禁断の知恵の実を食べ、エデンの園を後にしました。それでも子供を残し、未来に命をつなげる事ができました。
現代人も論文"Death Squared"による知見を得て、ネズミの楽園を後にし、Universe26に到達できるはずです。
引用文献
引用①.ジョン・B・カルフーン(1973).Death Squared.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1644264/pdf/procrsmed00338-0007.pdf
引用②.令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf
引用③.令和3年国民生活基礎調査(令和元年)の結果からグラフでみる 世帯の状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h29.pdf
引用④.I-3-3図 共働き等世帯数の推移https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-03.html
引用⑤.(FPコンサルオフィス株式会社)民間給与の実態を見てみましょう
https://e-fpc.co.jp/%E6%B0%91%E9%96%93%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E5%AE%9F%E6%85%8B%E7%B5%B1%E8%A8%88%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%82%88%E3%82%8A/
引用⑥.平成22年版 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h22/html/md121200.html
引用⑦.令和3年版 犯罪白書
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/68/nfm/n68_2_4_6_1_0.html
引用⑧.令和2年版 子供・若者白書(全体版)
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r02honpen/s3_2.html
引用⑨.乳児死亡数・死亡率の推移
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h23honpenhtml/html/zuhyo/zu1106.html
引用⑩.令和3年版高齢社会白書(全体版)https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/html/zenbun/s1_2_1.html
引用⑪.令和2年度分民間給与実態統計調査
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf
引用⑫.令和2年版 犯罪白書
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/67/nfm/n67_2_1_1_2_2.html
引用⑬.平成18年版 犯罪白書
https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/52/nfm/n_52_2_6_4_1_1.html