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ビリギャルさやかちゃん「元から地頭が良かったから?に真っ向反論」拝聴した感想

こんにちは 山本です。
先日、株式会社poperさん主催のセミナーに参加しました。
内容は、「ビリギャル」でおなじみの小林さやかさんの講演会で、元々地頭が良かったから慶応に合格できたのでは?という意見に反論するといった内容でした。

現在のさやかさんは

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」のモデルとして一躍有名になったさやかさんですが、現在はウェディングプランナーを経て、アメリカの大学院に進学し、夏期休暇を利用してヨーロッパで生活しているとの事でした。セミナー当日は、現地時間の午前5時にも関わらず、貴重なお話を聞かせていただきました。

元から地頭が良かったのでは?に反論

セミナーでは、元々地頭が良かったから慶応に合格できたのでは?という意見に反論する形で進められました。おそらく、ビリギャルの書籍が出てから、そのような意見を何度も目にしてきたのでしょう。
その反論として、ご自身がいかに勉強ができなかったかや、苦労して私立中学校に入学した話など、当時のエピソードを交えつつお話ししてくれました。また、坪田さんと出会えて勉強に目覚めたことや、母親のサポートが大きな力になったことなどをお話しされました。(逆に、父親のことは“クソおやじ”と評していて笑ってしまいました)

ビリギャルに対する批判とは

以下、「ビリギャル」対する批判の例をご紹介します。

予備校講師でタレントの林修(50)が、6月5日放送の『林先生が驚く初耳学』(TBS系)に出演し、『ビリギャル』こと『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)のエピソードを「まったく感動しない」と切り捨てた。
林先生は番組内でこの物語を「あの話について僕はコメントしたくないんですよ」「僕はハッキリ言ってまったく感動していません」と真正面から批判、さらに『ビリギャル』の主人公が受験した「慶応SFC」は「受験科目が英語と小論文のみ」といった裏側にも触れ、そこだけ訓練すれば、数人に1人程度は合格できると暴露した。

2016.06.09日刊大衆より


「ある程度の能力があって初めて可能となった話です」と断るべき
2015年4月29日
長年落ちこぼれの中学生を教える塾を経営してきた。
やはり元々生まれついての能力差(知能)は大きいと感じている。
生まれつきの能力が高い生徒は、いくら現在の偏差値が低くても成績は上げやすい。本人も周囲もびっくりするような変化を遂げ、人生が大きく劇的に変わった例も数多く見てきた。
一方、能力の不十分さを痛感するような生徒では、偏差値を5上げるだけでも四苦八苦を強いられる。こうした生徒は、ある地点に達すると堂々巡りとなり、それ以上先へは全く進めなくなることが多いのだ。間違いなくこの主人公の生徒の能力・知能は高いのに、この著者は、その点について全く言及を避けている。

amazonレビューより一部抜粋

批判の内容としては、慶応のSFCだから合格できたのでは?とか、本人の元々の能力が高かったからでは?との内容が多いようです。

そもそも地頭って?

地頭という言葉は、塾関係者や教員がよく使う言葉だと思うのですが、かなり抽象的な言葉です。“持って生まれた頭の良さ”のような意味で使われるかと思います。測定できる数値としてはIQがそれに近いでしょうか。
私も塾講師として指導しているときに、各個人の学習に対する能力の差が、結果にかなり影響することは感じています。

正直、私もさやかさんは能力的には高いものを持っていると感じています。また、さやかさんを指導した坪田氏も地頭は良かったと言っています。(他のお子さんも地頭は良いと付け加えていますが)
さやかさんとしては、元々地頭が良かったから、それほど苦労せずに慶応に合格できたと思われるのが不服であり、他のお子さんも正しい方法で頑張れば報われるよという事を伝えたいのではないでしょうか。

塾講師として感じるギャップ

私は、さやかさんが元々地頭が良いことによって、慶応に合格したとは思いません。すさまじい努力と坪田氏の指導、母親の愛とサポートがあって成しえたものだと感じています。
ただ、だからといってすべての子が同じ環境に恵まれた場合、同じ結果になるとも思えません。というのも、塾講師をしていると、学習に対する能力が非常に低いお子さんに多く出会うからです。
例えば、日本語の会話がままならない子。3日前の記憶がほとんど残っていない子。受験生なのに教科書が読めない子。嘘をついて状況がどんどん悪くなっていく子などです。IQで言うと、80未満のお子さんは指導が非常に難しく感じます。
こういった子たちと比べると、口が悪くても会話が成り立って、毎日塾に通って学習に向かえたさやかさんは、能力が高いと感じてしまいます。さやかさんは、Hi, Mike.を ヒー、ミケ と読んでいたというエピソードを語っていましたが、そんな次元ではないお子さんがたくさんいらっしゃいます。

私に限らず教育関係者の中には、このようなお子さんに頭を抱えた方も多いかと思います。それゆえ、こういったお子さんが恵まれた環境に置かれて、熱心な指導を受けたとしても、慶応レベルの大学に合格できるかというと、違和感を覚え、上記のような批判となって現れるのではないかと思いました。

やれば「伸びる」

とはいえ、さやかさんも坪田氏も、同じように頑張れば慶応に合格できるよ、という旨の事は言っていないように思います(私の知る範囲で)。
私は、坪田氏の言う「やれば伸びる」という言葉がとても腑に落ちました。
全員が志望校に合格できなくとも、正しい方法で学習を行えば、以前の自分よりも少しずつは成長できるはずです。たとえ点数には現れなくても、小学校でのつまずきが解消できたり、挨拶ができるようになったり、開けた扉を閉められるようになるだけで、成長と言っていいのではないでしょうか。
私たち教育者は、テストの点数には現れない、日々の成長を大切にしていくべきなのではと改めて思いました。

蛇足

おそらく、さやかさんは、自分のような地頭が良くない人でも頑張れば成長できた。だからみんなも頑張ってね。という思いなのではと感じました。それはその通りだと思います。ただ、世の中には想像を絶するほど勉強が苦手な子がいるので、一度そういったお子さんの指導を経験すれば、また新たな世界が広がるのでは?と、僭越ながら思いました。

山本





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