2023-10-29(日)17時~Onlineいけばな 「投入基本立真型のいけ方」
投入花型は盛花と似ていますが、違いは、しんの長さ。盛花では花器の大きさの2倍でとるのに対して、投入では1倍半がふつうです。
水に入る部分は別に加え、挿し口から上がその長さになります。しん・そえ・うけの長さの比と角度は盛花と同じ。そえはしんの3/4、うけはそえの1/2ほどです。水に入る部分が盛花の時よりもかなり多いので、枝の長さをはかる時は、花器の外であてがうような工夫が必要です。
盛花花型を上から見た図では、しん・そえの前斜めに出る枝の方向差がありました。しかし、投入ではしん・そえが同じところから平行に出ています。(図4)そのほうがいけやすく、出来栄えはあまり違いません。
投入花型図の役枝が曲げて描いてあるのは、その枝のじか反り・そえ反りを示し、じか留め・添え木留めの区別を明確にするため。立真型では、立っているしんが、ふつうは添え木留め、そえとうけはじか留めで留めます。
十文字留めなどのような、花器に枝を仕込む留めは、花型の基礎では使いません。まず添え木留め・じか留めをしっかり覚えましょう。
しんの長さを花器の大きさの1倍半でとるのは、その方が花器に対する全体バランスが良く見えるからです。2倍花型もいけて見比べてみましょう。
添え木は(写真5)のようにいける枝と添え木、双方の枝を割って挟み抜けやすい時や巧く割れないものは、輪ゴムで留めるのが便利です。輪ゴムをかけるには、片方の枝にかけてから対角に数回回し、最後に他方の枝にかけます。(写真6)
しんにつける添え木は、真っ直ぐ下に降ろさず、花器の底隅角に斜めに当てて安定させます。まず、花器の外にあてがって測りましょう。(写真9の①)しんの長さに、必ず水に入る部分を加え、添え木を少し長めに取ると、花器に挿した時、しんの枝は添え木の長い分15゜よりも大きく傾きます。(写真9の②)しんの枝を前斜め15゜の位置まで持ち上げ、挿し口から枝までの長さを測り、その分だけ添え木を短くすると(写真10の③)、しんの角度が得られます。(写真10の④)
そえは、おおむねじか留めで留まりますが、そえの枝を花器内壁にしっ
かり安定させるために、ためし留め・折り留めしてから入れます。
じか留めの枝が花器の中でどう留まるかを確かめるには、枝を親指と掌に
引っかけて(写真12)、親指が当たる部分①が花器の挿し口、掌が当たる部分が花器内壁②、重心③を加えた三点が、花器の中で枝を支えます。
そえの枝が、折り留めでは裏向いたり、折れたりしてうまく留まらない時
は、添え木を使います。その場合は、花器の中が混雑しないように、底角まで下げず、内壁に当てるだけにします。
うけの草花は根たたきすると、いけくずれを防げます。カーネーションや
ガーベラなど、茎が細く花向きが下向くものは花茎を回し、上向けた状態で、花器の内壁に当たる茎部分が折れてしまわぬように、腰を残してU型に潰し曲げてあてがいます。(写真15)
主枝が決まった後の従枝による肉付けは、どこから加えて行ってもかまいません。(写真16)では従枝の要、うけ前とうけしんを加えて、まず作中心を仕上げています。正面写真では奥行きが見えませんが、右横から見ると、うけ前が思いきり前に出て、見る者の眼差しに向かっているのが分かります。これが、いけばなの奥行きの付け方の基本です。さらに、しん・そえを肉付けして、作中心の廻りにも椿を配して完成させています。
従枝による肉付けには、添え木留めはふつう使いません。花器の中がごたごたしていけ難く、枝が動いてしまうからです。添え木は少なめにし、じか留めで留めていくようにしましょう。
盛花の挿し口は低く、見る側は、いけばなを見下ろす感じになることが多く、作中心の花はやや上向きに挿す一方、投入の挿し口は、盛花よりも高く来ます。水際と見る者の眼差しの高さが近く、挿し口も高いところにあるので、挿し口の下にも枝を持って来られます。空間が下に広がる分作中心を下に広げて、水際・挿し口の下にかかるようにすると、花器とはな部分の一体感が増し、いけ映えします。結果として、投入は盛花よりもさらに前かがみで、側面から見ると、花器の前半分から後ろ部分はほとんど使わず、前半分から眼差しに向けて突き出す感じになります。