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ウルトラマンヴァルキリー【第18話 影の暗殺者】

すっかり日も暮れた夜道、1人のサラリーマンが帰路についている。
彼には愛する妻と娘がいる。今日は妻が好物を作って待っている。
足早で帰っていると、電柱のその先に黒い人影が見える。目を細めると奴はゆっくりと近づいてくる。右手にはナタが握られていた。サラリーマンは逃げる様に走りだした。人通りの多い道を目指して…
しかし次の瞬間、サラリーマンの首が宙を舞う。背後には先ほどの人影が写っている。
人影は暗闇の中に飲み込まれるかの様に消えていった…

ここ最近、謎の連続殺人事件が起きている。警察が捜査しているものの、足取りは掴めていない。
サトシ「だーかーら!俺たちMAGはそういう事件の専門組織じゃありません!」
ここ、MAGにはほぼ毎日警察から捜査依頼が来ている。
サトシ「MAGは怪獣とか宇宙人専門なの!お引き取りください!」
サトシが受話器を叩きつける。
マコト「まぁ、落ち着きなさい」
マコトが緑茶を持って来る。
ケンジ「にしても本当に不可解な事件ですよね。遺体が発見されたのは人通りが少ない場所…しかも発見場所はバラバラですもんね」
ツトム「なんなら自室からも見つかってるもんな。」
そう話しているとまた電話が鳴り響く
サトシ「あーっ!もう!」
サトシが受話器に手をかけようとしたが、マコトが先に受話器に手を掛ける
マコト「こちらMAG…」
相手とやり取りしている中、ヤエがやって来る。
ヤエ「さっきからうるさいけど、何かあったの?」
マコトが受話器をそっと置く。
アイ「あっ、ヤエさん。どうやら警察から連続殺人事件の調査依頼が来てるらしいです。」
ヤエ「連続殺人事件?」
マコト「そうだ、連続殺人事件だ。そこでだ、皆んなこの事件の捜査に協力してもらうことになった。」
サトシが驚く。
サトシ「はぁ!?なんでですか!」
マコト「田山隊員、落ち着いて聞いてほしい。今回の事件、どうやら犯人が異星人の可能性があるみたいなんだ」
ヤエ「…なんか暴論というかなんというか…」
マコト「とにかく、我々も現場に行かなくてはわからない。全員、現場に出動するぞ!」
隊員達「了解!」
隊員達はMAG等を装備し、出動した。

現場にソニックカーが着く。
警察官「お疲れ様です!」
警察官の1人が敬礼する。
マコト「それで、現場はどこだ?」
警察官「こちらです。」
警察官が案内する。

サトシ「うわぁ…」
ケンジ「こいつは酷い…」
その惨状は凄まじく、遺体は四肢が欠損して首がなく、内臓があちらこちらに飛び散っていた。
ツトム「怪獣ならまだしも…人間だとなぁ…」
ケンジ「一体どんな奴が…」
ケンジがアイの目を塞ぐ。
アイ「ケンジさん、前がみえないでさよぉ…」
アイが手を退かそうとする。
ケンジ「いや、アイは見ない方がいいよ…」
アイ「折角のボディを手に入れたのに…酷いです…」
現場では遺体を次々と回収していた。
ヤエ「こんなのが複数…」
すると警察官の無線が鳴る。
警察官「何!?犯人と思わしき人物を発見しただと!?」
マコト「何かありましたか?」
警察官「たったいま、あそこで犯人が見つかった様です。ただ、相手は抵抗している模様です。」
警察官が指差す方向は行き止まりだ。
ヤエ「隊長、私が行ってきます。」
アイ「ケンジさん、私も行きます」
2人は行き止まりへと向かった。
ヤエが銃口を行き止まりに向ける。
???「獲物か?」
その先には負傷した警察官と犯人と思わしき黒い人影がいた。
アイ「ヤエさん、気を付けてください。奴はナタを持っています。もし接近してきたら私が対処します。」
アイの腕から護身用の剣が展開される
この剣はヴァルキリーカリバーを参考に作られたものだ。
???「我が名はシャドウ・ザ・リッパー。人呼んで影の暗殺者だ。」
人影の正体は

暗殺怪人 シャドウ・ザ・リッパー

シャドウ「俺は俺の快楽の為に殺人をしているさ、このナタでな。」
シャドウはナタをこちらに向ける
シャドウ「だが、俺の間合いでは殺せそうにないな。」
シャドウは影の中に飲み込まれるかの様に消えていった。
ヤエ「待てっ!」
ヤエが飲み込まれた方向に行くと、そこには何もなかった。
シャドウ「…なーんてなァ!」
シャドウはヤエの背後から現れ斬り殺そうと襲いかかった!
そこへアイが護身用の剣でナタを止める。
その間にヤエが前進して逃げる。
シャドウは力任せにナタを叩きつけ、アイを吹き飛ばす。アイは思い切り壁に叩きつけられる。
シャドウ「チッ…」
シャドウは舌打ちすると影に中に逃げる様に逃げた。
マコト「大丈夫か!」
待機していた皆んながやってきた。
ヤエ「すみません…犯人を取り逃がしました…」
アイ「ごめんなさい…」
MAGと警察はそこで撤収となった。

ケンジ「とりあえず、相手の姿はこれでわかりました。」
皆んな不思議そうに見る。
ケンジ「実は、アイのボディ内の記録データを解析し、印刷してきました。」
ケンジが紙を机に置く。
マコト「こいつが、シャドウ・ザ・リッパー…」
ケンジ「それに音声も解析しましたが、どうやらシャドウは殺人に快楽を見出してるらしくて…」
ツトム「だとしたら、放っておけないな…」
サトシ「早くとっ捕まえなきゃ被害は甚大になるってことか…」

人通りのなく暗い道を姫矢が歩いている
薫「早く事務所に帰らなきゃな」
姫矢は警察が調査している連続殺人事件について取材しており、その帰りなのだ。
薫「にしても、共通として影がある場所にやってくるってか…どう対処しろってんだ。」
ふと前を向くと黒い人影が立っている
薫「おい…もしやあいつがシャドウ・ザ・リッパーってか。」
姫矢は近くの電話ボックスに避難し、ヤエに電話をかけた。

ヤエの携帯がなる
ヤエ「もしもし」
薫「や、ヤエか?助けてくれ!」
姫矢はかなり緊迫したような声で話す
ヤエ「何よ、とにかく落ち着いて…」
薫「落ち着いてられっか!奴を見たんだ…シャドウ・ザ・リッパーを!」
ヤエ「シャドウ!?」
隊員達が驚いてヤエを見る。
薫「今は電話ボックスにいる…というか街灯のお陰で奴は近寄れていない様だがな…」
すると突如、ガラスが割れる音が響く
薫「クッソ!奴がナタをこっちに投げてきやがった!」
それを聞いてた隊長は隊員達に指示をだす。
マコト「メイ、彼の位置を特定するんだ。」
メイ「特定完了しました!」
そこは調査した現場からほど遠いところだ。
マコト「よし、全員急行せよ!」
隊員達「了解!」

姫矢は絶対絶滅の状況に追い込まれていた。これまでに5回もナタが投げられている。姫矢はそれら全てを奇跡的に回避している。
シャドウ「おとなしく殺されろ!俺の快楽の為になァ!」
シャドウが姫矢にナタを投げつける。
しかし、そのナタは何かに当たり軌道を大きく曲げて電話ボックスの脇の壁に深々と刺さった。
衝撃の正体はアイの腕が変形した銃の銃口から放たれた銃弾だった。
アイ「大丈夫ですか!?」
薫「何とかな!」
そこへ隊員達が駆けつける。
シャドウ「俺の快楽の…邪魔をするな!」
シャドウはアイに襲いかかった。
ヤエはヴァルキリーアームを装着してアイの目の前に立った。眩い光の中からウルトラマンが現れる。
シャドウ「ウルトラマンだと!?チッ、この世界もか…」
ウルトラマンはヴァルキリーアームに光を充填し、光弾を放った。ヴァルキウムスパークだ。
シャドウ「この世界から早く脱出せねば!」
ヴァルキウムスパークが着弾する直前にシャドウは影の中に逃げ込んだ。
ヴァルキウムスパークは爆発を起こした。そしてその先にはシャドウはいなかった。ウルトラマンは変身を解除した。

あの日以来、殺人は起こらなくなった。しかし、シャドウの消息は分からず仕舞いだった。
ヤエ「あいつはどこに行ったのかしら…まぁ、過ぎたことだし深く考えない様にするか。」
ヤエはコーヒーを一口飲んだのだった





「危なかった…もうあの世界には行かないようにしようか」
シャドウ・ザ・リッパーは影の中に何とか逃走し生きている。
シャドウ「さて、次はどこに行こうか…」
シャドウは暗い暗い影の中を泳ぐ様に彷徨う。
シャドウ「あの世界がいいな」
シャドウはとある世界に入り込んだ。
その世界は先程の世界と変わりないがウルトラマンがいない。
シャドウはその世界の影の中に入り、己の快楽を満たすための獲物を探すのだった

シャドウ・ザ・リッパーは今も何処かの影に潜んでいるかもしれません。
もしかすると…

あなたの後ろにいるかも

続く

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