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爽やかな風を感じたい時はこれ、『緑の歌』―収集群風―
久しぶりに漫画読みたくなったので、本棚から探してきた。爽やかな風を感じたい気分のときはこの本。
『緑の歌』の高妍(ガオ・イェン)は村上春樹の本の装丁も手掛けたことのあるイラストレーター。
台湾・台北・日本を舞台にひとりの繊細な少女の心の成長を丁寧に紡いでいく物語。まだ大人になりきらない彼女の心の靄を細野晴臣や村上春樹、岩井俊二ら日本の名だたるクリエイターたちの作品や人なりが晴らしていく。彼らへの一途なオマージュ。手触りの不確かな世界をゆらぎながら、しっかりと摑まえようともがいている姿が懐かしさと共感を呼ぶ。青春の淡く頼りない美しさが溢れ出ているお話。
イラストではなく物語を描きたかった作者の思いが、繊細な線の一本一本を伝わって音や匂いまで漏れ出てくるようで心地よい。
はっぴいえんどの曲をかけながら読んだ。リュがゆっくりと変わっていく様に胸がドキドキする。
他人が見たら、それがどんなに小さな躓きに見えても、私にとっては大きな壁。諦めずに続けていけば奇跡が起こる。
風をあつめて 蒼空を翔けたいんです
蒼空を
リュは扉を開けてミドリになった。