銭湯に行ってみたら、女神が微笑んだ。
というわけで、明けてGWの二日目にも銭湯に行った。野田の湯。
鎌倉散歩の汗を流そうと帰りに寄ってみた。こんな大きな看板見逃さないだろうと思ったけど、入り口が隣のスーパーの駐車場に挟まれてわかりにくかった。バイクなので上を見上げておらず、2週ぐるぐるとしてしまった。
入り口には、何台も原チャリが並んでる。エントランス前で、煙草をふかしてるおじさんがいる、ランニングにステテコ。なんだか、昭和の風景。「異人たちとの夏」の鶴ちゃんの姿が浮かんだ。今、現代版「異人たちとの夏」がやってるらしい。観に行こうかな。
番台には若い金髪のお兄さんが。元気に「いらっし~ゃい」
いいね。
一見さんかなと見てる。
一見さんだよ~。
番台の上に気になるものが…。先代の写真かな。女性がにこやかに何枚も写っているフォトフレームが置いてあった。
いやいや、銭湯の女神なのだろうと勝手に認定。全部同じ女性。
ロビーは狭いが、定番のコーヒー牛乳も置いてある。やはり必須アイテム。子供のころはフルーツ牛乳をよく飲んでた。
ひばり湯もそうだが、外に靴箱があり、その靴箱の鍵を渡すと番台で預かってくれ、代わりに脱衣場のロッカーの鍵を渡してくれるシステム。なるほど、合理的だわ。
中に入ると、ロッカーには名前の付いたものと番号のものが分かれてる。常連さんは専用のロッカーだな。
広くはないが、こざっぱりしてる。子ども連れのお父さんも来てた。あとは先輩方ばかり。みな顔なじみらしく、しゃべらなくても知り合いの雰囲気を醸し出してる。良い感じ。
ポスターが貼ってあった。コロナ以降は、静かにしゃべらず入浴らしい。もう、よさそうだけどね。インドはガンジス河で沐浴、日本は銭湯で黙浴です。
すでに一番大きな浴槽の中に、6人がじっと皆一様に目を瞑りながら入ってる。七人目の侍とばかりに静かにざぶん。気持ちよい。しかし、なぜか全員上がるまでは出られないような気になる。もののふならわかる掟。妄想だけど。
超音波風呂が空いたので移動する。気泡が細かくて気持ちが良い。
子どもは駆けまわってる。全部の風呂をちょっとずつ入って、出てを繰り返してる。
転ぶなよ、と思ってたら姿が見えなくなった。
足からスライディングしてお父さんにぶつかった。ばつの悪そうな顔してるのが可愛い。
「鍵泥棒のメソッド」なら、二人は身体と心が入れ替わってるはず。銭湯はファンタジーだわ。
楽しいお風呂だった。満足してロビーに帰る。
また、常連客が入ってきて若いお兄さんが客と談笑してる。
「今日は宴会っすよ」
「なんだ、日曜日だから早めに来たのにな」
なるほど、中は宴会状態だった。
「この時間帯はすいてること多いんですけどね。有難いっす」
子連れの女性もやってきた。
「いらっしゃ~い」
若いお兄さんは、ずっと元気が良い。
「GWもやってるのね」
「火曜日とお正月以外は無休っす」
「あと、俺が体調悪くならなければ」
えっ、えらいぞ、若旦那
「頑張るね~、ありがとう」
いいもの見た。
この写真は、どなた?と聞いてみた。
「おばあちゃんっす」と満面の笑顔。
おばあちゃん、三代目いいやつだね。
銭湯の女神が写真の中で微笑んでた。
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