無脳無体❷
※この話は僕の実体験から着想して作られた作品です。
なぜか今日はやけに疲れた。
結局、変な銃を持ち帰ってしまった。
なんかこれは自分が持って変えるべきな気がした。
ゲームでもやろうかな。
ゲーム機を起動させる。
ゲームで思い出したが昔、友達と通話しながらゲームをやっていた事があった。
その日はいつものように何人か(自分含め三人)でバトルロイヤルをやっていた。
たまたまトイレへ行きたくなり、トイレへ行った。
そして用をたし部屋へ戻ってきたその時、スピーカーモードにしていたスマホから、
「佐藤っていっちょ前にリーダーぶってるけど正直あいつゲーム下手じゃねw」
と友達が声が聞こえた。
こんな思い出したくないエピソードだけ溢れるくらい思い出すのが非常に不快だ。
ざっとゲームを1時間はやっただろうか。
少し飽きてきた。
じゃあ、ついに取り掛かりますか!
俺はスマホのカメラアプリを開いた。
一応鏡で自分の顔に何かついていないか確認した。
そう、俺は高校生にしてYouTuberデビューをすることに決めた。
学校などの限られた人数しかいない閉塞的な空間よりネットという幅広い世界の方が俺のセンスや価値が分かる人間が沢山いるだろう。
これから自分の動画がこの地球上にいればいつでも、誰でも見れるようになる。少し恥ずかしいが、誇らしい気持ちでもあった。
ワクワクの気持ちを抑えて、動画の撮影を始めた。
「ヘイ・ヘイ・ヘイ!
おはこんばんにちは!どーもサトキンTVの佐藤だぜ!みんなよろしく頼む!」
動画の撮影が終わった。第一回目なので無難にメントスコーラをした。
だが、ただのメントスコーラではない。
普通はコーラでやるものを今回はなんと特別にサイダーでやることにした。
おそらくこれは世界初なのでかなりの再生数が期待できると思う。俺が計算するに一万回はゆうに超えるだろう。
その再生数を見たらみんな驚くんだろうな。
次の日、早速自分の動画の再生数を確認する。
まだ3回再生だ。俺が3回再生したので実質0回再生になる。
まぁまだ投稿してすぐだからな。
今日も学校に登校する。
今日は国語なのでワークの提出日だ。
ん?
あれ?ん??
やばい。ワークが無い。
まずい、めんどくさい事になった。国語の教師は菜島というやつで、こいつがこの学校1と言っていいほどめんどくさい。
こいつの授業でワークを忘れたとなると絶対に怒られる……
もう一回探すが見つからない。
菜島がクラスに入ってきた。
「はい、今日提出と言っていた、えー、国語のね、えー、ワークの方をね回収していきたいとね思います。忘れたやつは今言えよ。後に後悔することになるからな」
俺が恐る恐る菜島に近づき、
「すみません。今日しっかりやってきたのですが、ワークを家に忘れてしまいました。今日の放課後、再登校して持ってきます。」と言った。
「はぁぁぁぁぁぁ」
菜島が教室全体に響き渡る声量でため息をついた。
「あのねぇ。しっかりやってきた、じゃねぇのよ。うん。提出物っていう物はな持ってきてようやく提出物なんだよ。ただやってきてただけじゃ無駄なんだよ。分かる?
ガッカリだよ。君には。みーんなやって来てるんだよ。お前だけだよ。恥ずかしくないの?」
「………すみませんでした………」
「あぁはいはいもうその言葉は聞き飽きました。今日の午後5時までね、君のタイムリミットは。ちなみに勿論なんだけどしっかり持ってきた人より減点しとくね。いつまで立ってんの?早く机戻れ。」
あぁぁぁぁぁぁクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ!!!!!!!
まじでゴミだな。たかが提出物の一回でここまで言ってくるのかよクソ野郎が。
こんなん精神的苦痛を感じたから体罰だろ。
ICレコーダー持ってくればよかった……
しかも周りの生徒全員が俺のことを凝視してるように感じた。
多分みんな「こいつどうせワークなんてやってないんだろうな。」や「こいつ馬鹿すぎだろ。確認くらいしとけや。お疲れさまです。」
とか心の中で思っているんだろうな。
この状況を見ていたらきっと俺もそう思う。だからみんなもそう思っているのではないかと錯覚してしまう。
もうこう考えてしまう自分がクソすぎて嫌になる。でもあいつらは俺が思った通りカスなのかもしれない。
分かんなくなってきた。分かんなくなってきた。
あぁまじでカスクズばっかだな。みんなここで一気に死んでくれないかな。
それから6時間、やっと拷問から開放された。
だが学校から家、そしてまた学校へ行かなければならない。
またあのクソ教師と会わなければいけないのか……
ん?
そういえば制服に昨日の銃入れっぱなしだったな。まぁいいか。
学校へつき菜島がいる3年1組の教室へ向かう。
はぁ……
「1年4組、佐藤です。菜島先生いますか?」
ガシャシャと聞き心地の悪い音をたてて扉を開く。
菜島は教室の後ろ黒板に小さめのポスターを何枚か貼り付けている最中だった。
「あぁ提出物出さなかった子だよね。そこの机に置いといて。そしたらさっさと帰ってね。」
今なら誰もいない。
俺は徐ろにポケットから昨日の銃を出した。
菜島は気づいていない。
銃口を菜島に向ける。
「カス教師」
「え?今お前何てい」
菜島のお腹の真ん中に大きな穴が空いた。
まるで型で切り抜かれたかのようになっている。
菜島が倒れた。
今自分の目の前でとんでもない事が起きている。状況を整理する事が難しい。
嘘だろ、この銃で狙い撃ちしたところに穴が空いた?本物なのか?
倒れた菜島を見てみると血が出ていない。
穴の空いた場所だけが転送されたかのようになっている。
でも菜島の心臓は止まっていた。
つまり俺は今、人を殺したということになるのか?
やばいやばいやばいやばいやばい
見つかったらとんでもないことになる。
焦りに焦り正しい思考判断ができなくなってきた。
とっさにベランダに出て、1番端の死角に菜島の死体を置いた。
俺はその場からすぐ逃げた。何も考えず。
目を覚ますと俺は部屋で寝ていた。
さっきのことも夢だったのでは?と思ったが提出物がなくなっているので夢ではないのだと思う。
いやいやいや、あんな非現実的な事が起こるわけないはず……
ポケットから銃を出し、空のペットボトルに向かって撃ってみる。
「やばい現実だ」
ペットボトルの上半分が消し飛んだ。
これはとんでもない物かもしれない。
これを使えば学校を占拠、いやいや、
国家転覆も狙えるのではないだろうか。
いやでもそんな事してもな……
まるで自分が漫画の世界の住人になった気分だ。
いや待てよ?
もしかしたら俺はこの世界の主人公なのかもしれない。
神が選んだんだ。この惨めで無能な俺を。
そうだ。これは全部物語の前振りに過ぎなかったんだ。そういうことか。
俺の存在意義が分かった。
「いやーまさかあのクソ教師で有名な菜島が昨日から行方がわからなくなっているとはなー。
突然全校朝会が開かれたから焦ってたらまさかこんな朗報だったとはwwもう頼むからこのまま一生帰ってくんなww」
次の日俺はいつも通りかのように平然に学校に登校した。
陽キャ達が昨日殺した菜島の事で騒いでいる。
クラスもその話題で持ちきりだ。
さぁ今日はどんな奴にしようかな。
「1年4組佐藤です。西泉先生はいますか?」
「ん?佐藤どうした?突然放課後に来て。」
「さっき先生のクラスの前をたまたま通りがかったのですが、その時誰かが教室の中にいて、窓を割っているところを見ました。急いで来てください。」
「お、おう。」
教室についた。
「あれ?さっきまでそこに人がいたのに?どこ行ったんだろう?
あ、でもほら窓が割れてます。」
「本当だ。おいおい勘弁してくれよ。こんなことやる奴なんてどうせ加藤や石川辺だろうな。
明日来たら容赦せんぞ。
あれ?でもなんかおかしくないか?窓がこんなにきれいな円形になって割られてある?」
「先生、ご愁傷さまです。」
「?!」
今日は西泉を殺した。
見事に自分の仕掛けたトラップにはまっていて滑稽だった。
「ガチでうちの部活の顧問の森田がウザくてさぁ。あいつ説教しかしないし体臭いし性格悪いしマジ終わってる。あいつも菜島と西泉みたいに消えてくんねぇかなww」
…………
「いやマジやばくね?!まさかの森田も失踪したってさ!なんか最近俺らが嫌ってた先生どんどん失踪してってね?やばい俺達の時代来た!
神様どうもありがとうございます!!」
これは神様なんかの仕業ではない。全てこの俺が殺った。
いや凡人からして見たら今の俺は神様みたいな存在なのかもしれない。
あぁ今最高に気持がいい。
罪悪感なんて感じない。
これは社会のゴミを清掃してるに他ならない。
ダークヒーローのようなものだ。
俺はこの世界で1番の圧倒的な個性を得た。
次の日いつものように教室へ入ると、
「あ!!サトキンTVさんだ!!わぁ!本物だよ!みんなサインもらわなきゃww」
「サトキンTVさんいつもの挨拶やってくださいよwwヘイ・ヘイ・ヘイ!!www」
「えw何ウケるんですけどw佐藤くんYouTubeやってたの?ww面白すぎ!!www」
「佐藤流石だわw俺ら君にはさずかに勝てんわww」
「佐藤くんカッケェー!!www」
クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズ
俺は顔と体が一瞬にして真っ赤に染まった。
視界が少しグニャりとして、頭がズンズンと鼓動している。
教室から逃げようとしたがプライドで教室の中の自分の席まで歩く。
周りの全員がバカにしているような、蔑んでいるような目で大笑いしている。
俺が求めていたのはこんなのじゃない。
殺してやる。
第1話⬇
第3話⬇