見出し画像

細菌検査の全て!定性・定量の違いから理解しよう

あなたが食品衛生管理の一環として実施している細菌検査、その本質を理解していますか?
この記事では、細菌検査の重要性とその手法、定性的・定量的検査の違いをわかりやすく解説。
衛生管理を一段階レベルアップさせるための知識を手に入れることができます。


細菌検査とは

細菌検査とは、食品や水、医療環境などにおける細菌の存在やその数を確認する方法です。
これにより、私たちが日々接触するさまざまなものが、衛生的に安全であるかを判断します。
この検査は、特定の細菌が存在するかどうか(定性的)と、存在する場合、その数がどれくらいであるか(定量的)を測定します。
また、細菌の種類によっては人間の健康を脅かすものもありますので、その識別も重要となります。

細菌検査の概要と重要性

細菌検査は、食品衛生管理の最重要項目のひとつです。
食品の製造現場では、生産過程や製品に細菌が混入していないか、定期的な検査により確認します。
これにより、消費者が安全に食品を摂取できるようにすることが可能となります。
また、医療機関では、院内感染の防止のため、定期的に手指や医療器具、施設の清潔さを確認する目的で細菌検査が行われます。
私たちの健康を守るために、細菌検査は欠かせないものとなっています。

食中毒の原因と対応
食中毒の原因として、細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などさまざまあり、食べてから症状が出るまでの期間やその症状、また予防方法も異なります。

出典:食中毒-厚生労働省


定性的な細菌検査

定性的な細菌検査とは、特定の細菌が試料中に存在するかどうかを判断する手法です。
結果は「陽性」または「陰性」として示され、この結果により、例えば食品中に有害な細菌が存在するかどうかの確認や、病原体の特定が行われます


定性的な細菌検査の定義と目的

定性的な細菌検査は、ある細菌が試料中に存在するか否かを調べるための検査です。
「あり」か「なし」の結果を得ることで、特定の細菌が試料中に存在しているかを把握することが目的です。
例えば、食品の製造過程において、リステリア菌サルモネラ菌などの有害な細菌が混入していないかを確認するために用いられます。
また、病院においては、感染症の診断や院内感染の防止策の一部としても活用されます。

リステリア・モノサイトゲネス(以下「リステリア」と呼びます。)は、河川水や動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌です。
我が国のこれまでの食中毒統計では、リステリアによる食中毒の報告例はありませんが、食品安全委員会の評価書によると、リステリア感染症の推定患者数は年間200人(平成23年)とされています。
リステリアに感染して重症化することはまれですが、妊婦、高齢者の方は注意が必要です。
食品由来によるリステリア症は、年間住民100万人あたり0.1~10人とまれです。ただし、重症化すると致死率が高い疾患であることから、世界保健機関(WHO)においても注意喚起を行っています。

出典:リステリアによる食中毒-厚生労働省


定性的な細菌検査の方法と例

定性的な細菌検査には、主に培養法PCR法が用いられます。
培養法は、試料を特定の培地上で培養し、目的とする細菌の生育を観察する方法です。
例えば、大腸菌が食品中に混入しているかを確認する際には、対応した培地を用いて大腸菌の生育を確認します。
一方、PCR法は、細菌の遺伝子を検出する方法で、非常に小さな数の細菌でも確認することができます。
特定の感染症の診断においては、PCR法による定性的な細菌検査が頻繁に行われます。
これらの手法により、試料中に特定の細菌が存在するかどうかの確認が可能となります。

PCRって何?
ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction PCR)は、DNA(デオキシリボ核酸(Deoxyribonucleic acid)は、核酸の一種)を増幅するための原理またはそれを用いた手法で、手法を指す場合はPCR法と呼ばれることの方が多いが、ポリメラーゼチェーンリアクションとも呼ばれる。

次の特徴を持つ。
ヒトのゲノム(約30億塩基対)のような非常に長大なDNA分子の中から、自分の望んだ特定のDNA断片(数百から数千塩基対)だけを選択的に増幅させることができる。しかも極めて微量なDNA溶液で目的を達成できる。増幅に要する時間が2時間程度と短い。

PCR法そのものや派生した様々な技術は、分子遺伝学の研究のみならず、生理学・分類学などの研究にも広く応用されている。また、医療や犯罪捜査にも大きな役割を果たしている。特に近年では感染症分野での病原体診断に大きく貢献している。

出典:神奈川県衛生研究所


定量的な細菌検査

定量的な細菌検査とは、試料中に含まれる細菌の数を具体的に測定する検査法です。
この検査により、細菌の種類だけでなく、その濃度や数も明らかになります。


定量的な細菌検査の定義と目的

定量的な細菌検査は、試料中に存在する細菌の具体的な数や濃度を調べるための検査です。
数値化された結果を得ることで、細菌の存在量や試料中の細菌密度を把握することが目的です。
この定量的な検査は、食品の安全基準の確認や水質検査、医療環境の衛生管理など、細菌の量が直接的に健康リスクに関わる場合に重要となります。


定量的な細菌検査の方法と例

定量的な細菌検査には、大きく分けて直接計数法間接計数法があります。直接計数法は、顕微鏡を使って細菌を直接視認し数える方法や、自動化された細菌計数器を使用する方法があります。
一方、間接計数法は、培養による細菌の増殖を利用し、結果を元に細菌数を推定する方法で、一般的には最も確実かつ代表的な方法です。
例えば、食品の製造過程においては、製品中の総菌数や大腸菌群の数を計算し、製品の衛生状態を評価します。
これらの定量的な細菌検査により、試料中の細菌の具体的な数を知ることができます。

定性と定量の違いとそれぞれの適用例

定性的な細菌検査と定量的な細菌検査は、どちらも重要な情報を提供しますが、その目的と活用の仕方は異なります。
定性的な検査は細菌の有無や種類を確認するのに対し、定量的な検査は細菌の具体的な数や濃度を知るために行います。

定性的な検査は、例えば食品の製造過程で原料から不適切な細菌が検出されたときや、医療環境で感染症の原因菌を特定するときなどに活用されます。
また、新たに開発された抗生物質の効果を評価する際にも、特定の細菌に対する有効性を確認するために使用されます。

一方、定量的な検査は、食品衛生管理の現場では製品の衛生状態を評価するために用いられます。
例えば、特定の細菌の数が一定基準を超えていた場合、製品のリコールが必要になる場合もあります。
また、医療環境では、患者の体液中に存在する細菌の数を調べることで感染症の進行度や治療効果を評価します。

これらの違いを理解することは、細菌検査の結果を適切に解釈し、その結果に基づいて最善の判断を下すために重要です。
どちらの検査方法もそれぞれの状況に応じて最適に利用されるべきツールであると言えます。

よくある質問

細菌遺伝子検査についての詳細を知りたい皆様のために、よくある質問とその回答をまとめました。

Q1.定性的な細菌検査と定量的な細菌検査はどのように異なりますか?

A1.定性的な細菌検査は、試料中に特定の細菌が存在するかどうかを確認する手法です。一方、定量的な細菌検査は細菌の具体的な数を求めるものです。定性検査は、「ある」か「ない」かを判定するのに対し、定量検査は「どれだけあるか」を評価します。

Q2.定量的な細菌検査が必要な状況は何ですか?

A2.定量的な細菌検査は、食品の衛生状態を把握したり、感染症の進行度を評価する場面で重要です。例えば、食品製造工程では、製品の細菌数が安全基準を満たしているかを確認するために定量的な検査が実施されます。

Q3.定性的な細菌検査の結果はどのように解釈されますか?

A3.定性的な細菌検査の結果は、試料中に特定の細菌が存在するかどうかを示します。結果が陽性であればその細菌が存在するという証拠があり、陰性であればその細菌は検出されません。

Q4.各種の細菌検査法の信頼性はどのように確認できますか?

A4.細菌検査法の信頼性を確認するためには、試験の再現性や精度を確認する必要があります。これは、同じ試料を同じ条件下で複数回検査し、その結果が一致するかを確認することで行われます。

Q5.細菌検査の結果が陽性となると、どのような対応が必要ですか?

A5. 細菌検査の結果が陽性となった場合、その細菌が健康リスクをもたらす可能性があるかを評価する必要があります。食品衛生管理の現場では、製品のリコールや製造過程の見直しが行われます。医療環境では、感染症の治療や予防策の検討が進められます。

今回は細菌検査の重要性とその手法、そして定性的・定量的検査の違いについて解説しました。
これらの知識を活かし、あなたの食品衛生管理が一段階進化することを願っています。
安全な食品提供のために、細菌検査の知識を活かしていきましょう。

いいなと思ったら応援しよう!