クリームパン

朝、着陸があった
生き物のような
小さな音
おだやかな
さざなみと
草の下敷き
わたしは子供だった

片言の陽射しにも
なれなかった
一粒の海
古いゴム管の
隣に腰掛け
好物のクリームパンを
一人食べた

着陸の跡はやがて
消えていったけれど
この命のどこかに
確かにまだ残っている
ふと振り返ると
春が爆発する
本当はあなたに
振り返って欲しかった

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