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東大の女子比率、自己選択か差別か ー日経アジアの記事から考える


こんにちは、ミライエコールメンバーのりんです。


今回は、学校におけるジェンダー格差について少しお話ししたいと思います。


みなさんは東京大学の女子学生の比率が2割であることを知っているでしょうか?


以前、これに関する日経アジアの記事が話題になりました。


その記事の内容をまとめると、以下の通りです。


・東大の偏ったジェンダーバランスは不当な差別ではなく、自発的な選択の結果である


・東大の入試制度は志望者の試験での選抜に依存していて、合格率は男女で差がない


・不均等な男女比の根本的な原因は女子の志願者の少なさである


・男性中心の文化が根付く東大の文化を嫌がり、女子が自発的に東大を選ばない


・日本では男子校・女子校の伝統は、男女が異性から自己を隔離しようとする文化の現れである


東大の合格率は男女であまり大きな差はありません。


つまり、制度的に差別されているわけではなく、そもそも東大を志望する学生の割合が偏っているのです。


これを根拠に、記事の筆者は男女差別がないと主張しています。


では、こんな場面を想像してみてください。


地方の高校に通う女子高校生のAさん。


志望校を東大にしたいと考えていますが、親からはこう言われています。


「女の子が東大に行って何になるの」


「女の子は浪人の心配がないような、手堅い志望校にした方がいいんじゃない」


これは、実際に私が女子高校生から聞いた経験談です。


この状況で、本当に差別はないと言えるでしょうか?


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たとえ制度上の差別はないとしても、「女の子だから」という理由で


親や先生から東大を目指すことを反対され、諦めてしまう生徒がいます。


選択をするときに差別的な考えを押し付けられているのならば、


生徒が自由な選択ができているとはいえません。


今回取り上げた記事に関して、当事者も声をあげています。


記事が掲載されてからまもなく、東大の女子学生が抗議文を提出し、


それに賛同する400名近い署名が集まったことで、同じ日経アジアに抗議の記事が掲載されました。


この記事の内容をまとめると、以下の通りです。


・日本のトップ大学である東大の女子学生の少なさは、日本の経済と政治に広範な影響をもたらす


・専攻やキャリア選択における興味が性別で異なるのは、ロールモデルの不足と性別に偏った役割の期待が原因である


・一見主体的に見える女子の選択は、実は社会的、制度的に構築されている


・東大の極端に男性中心的、性差別的な文化は改善できるものであり、すべきものである


さらに、東大の学生団体の#YourChoiceProjectが2023年度に行った社会調査では、


「高校生が偏差値の高い大学へ行くことを有利に感じるかどうかは、保護者に期待されるかどうかに強く左右されることがわかった」と報告されています。これは、生徒が志望する大学を選ぶ際にまわりの環境が大きく影響していることを示しています。そして、この環境は、日本の社会が構築したものです。


このように、おおもとの記事が主張している、「東大のジェンダーバランスは女子の自発的な選択によるもの」という考えは、「なぜ女子は自発的に東大を選択しないのか」という理由の考察が不十分なものといえるでしょう。女子にとって東大を志望することのハードルが高い環境を、日本社会が作り出しているという視点は無視できません。


いち東大生として、そして女性としてキャリア形成をしていく個人として、私は東大のジェンダーバランスは改善されるべきだと考えています。この問題は、一つの大学の男女格差というだけでなく、日本社会のあり方にも深く結びついていると思うからです。


男だから、女だからという理由で自由な選択を阻害されたり、選択肢が狭められたりすることがなくなるよう、教育におけるジェンダー問題について、これからも私たちミライエコールは考えていきます。


これまで日経アジアの記事から東大のジェンダーバランスについて考えてきましたが、いかがでしたか?少しでもこの問題に興味をもつきっかけになっていれば嬉しいです。


Xで#ミライエコールをつけて、ぜひみなさんの意見をお聞かせください!


執筆:りん