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【米国株】ついに来た!「ChatGPT-4o」の投資家にとっての意味を考える

昨日5月13日にOpenAIが発表したChatGPT-4oの登場は、AIの分野に大きな進歩をもたらし、メガテック企業の戦略や競争環境に大きな影響を与える可能性があります。

本記事では、ChatGPT-4oの主な機能と利用方法を整理した上で、アップル、マイクロソフト、エヌビディア、メタ(旧フェイスブック)といったメガテック企業への影響を投資家の視点から分析します。ChatGPT-4oがもたらす変化と各社の戦略を理解することは、AIがもたらす新たな時代を見据えた投資判断において重要な示唆を与えると考えます。



ChatGPT-4oに関するファクト整理

主な機能:

  1. マルチモーダル機能:テキスト、音声、画像の入力と出力を受け付け、生成することができます。ユーザーは様々な方法を使って、AIとより自然なインタラクションを行うことが可能になります。ChatGPT-4oの「o」は「omni」(多様な)を意味しており、その名の通り多様なフォーマットでの入出力に対応しています。

  2. リアルタイム応答:音声入力に対して人間の応答時間と同程度の遅延で応答することができます。以前のモデルと比較して大幅に改善された点であり、ユーザーはよりスムーズな会話を楽しむことができます。

  3. 性能の向上:高速化を実現しながら、英語のテキストとコードに関しては、ChatGPT-4oはGPT-4 Turboと同等の性能を発揮します。さらに、非英語のテキストにおいては、以前のモデルよりも大幅な性能向上が達成されています。

  4. 視覚および音声理解の向上:視覚および音声タスクにおいても優れた理解力を示しています。画像や音声データから重要な情報を抽出し、適切に処理することが可能です。

利用方法:

  • 無料ユーザーへの提供: ChatGPT-4oは、低コスト化により無料ユーザーにも広く提供されます。

  • APIアクセス: 開発者向けにChatGPT-4oのAPIが安価に提供されます。これにより、開発者は自身のアプリケーションやサービスにChatGPT-4oの機能を容易に統合することができます。

ChatGPT-4oは、マルチモーダルな入出力、リアルタイム応答、高い性能、優れた視覚・音声理解力を兼ね備えた強力なAIモデルです。無料ユーザーへの提供と安価なAPI提供により、ChatGPT-4oは多くの人々や開発者にとって身近な存在になることが期待され、注目を集めています。


以下では、これを踏まえた、我々の勝手な憶測での、投資家への意味合いを考えました。


アップルへの期待感の高まり

アップルによるOpenAIのAI採用に関する憶測がつい先日、5月11日に報道されていました。これは偶然ではなく、このChatGPT-4oがアップルへの採用を目指して開発されたものであることを示唆し、採用によるアップル製品の機能向上への期待感を持たせる効果を狙ったものと見ています。アップル株はChatGPT-4oがあった昨日、2%上昇しました。

5/11の報道によると、アップルはOpenAIと契約を締結し、次期iPhoneのOS「iOS 18」にChatGPTの機能を導入する予定だそうです。OpenAIとの提携が実現すれば、アップルは6月に開催予定の年次開発者会議「WWDC」で、ChatGPT-4oを活用した新しいAI機能を発表することになります。

ChatGPT-4oのリアルタイム応答機能はSiriの代替として使用される可能性があり、ユーザーはより自然で高速な音声アシスタントを利用できるでしょう。

また、視覚認識機能とiPhoneのカメラの連携により、ユーザーがAIと現在の環境を共有し、状況に応じた適切な回答を得ることができるようになります。

条件はアップルに有利?

アップルはこれらの魅力的な機能を、有利な条件で獲得できる可能性があります。グーグルのGeminiとOpenAIがアップルからの採用を巡って競合しているためです。グーグルは、サーチがすでにiPhone上のネイティブサーチに採用され、多くのトラフィックを獲得しているため、AIでのアップルとの提携によるさらなるトラフィック増加を期待し、非常に魅力的な条件をアップルに提示していると考えられます。アップルはこれをレバレッジとして交渉に臨み、OpenAIから有利な条件を引き出せていると推察します。

データセンターでの推論重要もアップルが確保?

データセンターでの推論需要もアップルが得る可能性があります。アップルは自社のデータセンター用AI半導体を開発しているとされています。もしこれが本当であれば、推論需要は、OpenAIと資本提携関係にあるマイクロソフトではなく、アップルが得ることになります。

昨日のアップル株の上昇とマイクロソフト株への無反応とも整合します。

TSMCが3nm製造プロセスでその製造を請け負う可能性が報道されています。ほんの憶測ですが、TSMCの4月の売上高が60%増加したのは、この案件が寄与していた可能性はゼロではないと考えます。


エヌビディアへの意味は?

ChatGPT-4oの登場は、エヌビディアにとってプラスとマイマス両面の意味を持つと考えます。

プラス面:エヌビディアGPUでリアルタイム対話を実現

ChatGPT-4oが、(ほぼ間違いなく)エヌビディアのGPUを使用しながらリアルタイム対話の即応性を実現したことで、Groq半導体への脅威は低下しました。

(Groqについての記事👇)

ChatGPT-4oは、その低コストという特性から、安価なAPI価格の提供や無料での利用を強調します。大量の推論処理を低価格で実現する体制のもとで行われ、自然にはマイクロソフトのAzureが使われることになるでしょう。

そのため、Groqの採用はほぼ想定できません。結果的に、最もオールインコストが低いと考えられるエヌビディアが、引き続き推論処理におけるスタンダードとなる可能性が高いと考えます。

アップル独自半導体の能力を注視

ただし、アップルの独自半導体の能力には留意が必要です。上記で触れた、アップルによるデータセンターAI半導体開発の憶測記事が正しければ、OpenAIがアップルの採用を条件に、アップル半導体環境下での推論の最適化を手伝っている可能性があります。

インテルやGroqなどは、推論においてはエヌビディアのCUDAの代替手段の実装がトレーニングと比べると難易度が低いことを指摘しています。CUDAはエヌビディアが開発したGPU向けのプログラミング言語とライブラリであり、AIモデルのトレーニングではその性能面での優位性が大きな役割を果たしています。一方、推論ではCUDAに依存せずに、つまりエヌビディアのGPUを使用せず、独自の推論ソリューションを開発することが比較的容易だと言っています。

また、アップル以外にもアマゾン、マイクロソフト、グーグルが独自半導体を開発している状況であり、このトレンドが加速すればエヌビディアにとっては脅威となるでしょう。

マイナス面:AIモデル開発の効率重視トレンド

OpenAIが「GPT-5」には行かず「GPT-4」の性能向上を追求する動きは、今後は、AIモデルの拡大による性能向上のトレンドは終了し、より低いコンピューティングパワーで高い性能を出す、というトレンドの先駆けとなる可能性があります。

すでに十分な性能を持つAIを基盤として、どのようなアプリケーションを作るか、が重要になっている可能性があります。

AIモデル開発が収束すれば、トレーニング需要も低下するでしょう。

また、推論需要の成長鈍化も早まる可能性があります。現在、「1回の推論に用いられるコンピューティングパワーの増加(≈AIモデルの拡大)」と「推論回数の増加」が同時に進むことによる推論需要の爆発的な増加がおきています。しかし、上記のトレンドの中では、「推論回数の増加」が「1回コンピューティングパワー減」に抑えられ、推論需要成長鈍化のタイミングがより早期になるリスクも見えます。

エヌビディアにとっては、ChatGPT-4oの登場により、短期的には優位性が確認された一方で、中長期的には新たな課題も浮き彫りになったと言えます。


全てのAIはマーク・ザッカーバーグのビジョンに向かう?

AIの対話機能

メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグは、「すべてのインフルエンサーが自分の分身となるAIを持ち、ファンとコミュニケーションを取れるようになる」と述べています。また、「我々はすべてのビジネスが顧客とメッセージをやり取りするためのAIを簡単に設定できるようにすることを目指しています」とも語っています。

ChatGPT-4oのリアルタイム応答機能は、このビジョンの実現に大きく貢献するものです。この流れに乗り、各社がより優れた対話型のAIモデルやサービスを発表していくことが予想されます。

AIと視覚・聴覚情報を共有するデバイス

マーク・ザッカーバーグは、「スマートグラスを使用して、視覚や聴覚を共有するAIと頻繁にやり取りできるようになる」と考えています。ChatGPT-4oの視覚および音声理解の向上は、このビジョンの実現にも大きく貢献します。

また、スマートグラス的なプロダクトが早期に普及する可能性があります。MetaのスマートグラスアップルのVision Proがこの流れの恩恵を受けるでしょうが、他の企業も同様のコンセプトの製品を市場に投入してくるものと予想されます。

短期的には、誰もが所有するスマートフォンが、視覚や聴覚を共有するAIとのインターフェースとして機能すると推察します。ChatGPT-4oのようなAIモデルとスマートフォンの連携により、ユーザーはより自然で直感的な方法でAIアシスタントとやり取りできるようになります。この面でも、アップルに便益があると考えます。


まとめ


ChatGPT-4oの登場は、メガテック企業に様々な影響を与えると考えられます。

アップル:ポジティブ

アップルにとっては、ChatGPT-4oの採用により、Siriの高度化やiPhoneでのAI活用が進むことが期待されます。OpenAIとの提携によって、WWDCで革新的なAI機能の発表が予想され、投資家のアップルに対する期待感は高まっています。

マイクロソフト:ニュートラル

マイクロソフトは、OpenAIとの提携で優位性を持つものの、アップルとの競合により、ChatGPT-4oの利用によるメリットが限定的となる可能性があります。したがって、投資家の見方はニュートラルといえるでしょう。

エヌビディア:短期ポジティブながら長期のネガティブの含みあり

ChatGPT-4oが(ほぼ確実に)エヌビディアのGPUを採用したことで、短期的には推論市場での高シェアの維持が期待できます。しかし、長期的にはアップルをはじめとする大手テック企業の独自チップ開発や、AIモデルの効率化により、成長に陰りが見える可能性があります。

メタ:CEOの先見性は再確認も、競争下激化によるネガティブ

マーク・ザッカーバーグは、AIを活用した事業構想を早くから打ち出しており、ChatGPT-4oの登場はその先見性を裏付けるものといえます。ただし、今後はAIモデルやプロダクト開発における競争激化が予想され、他社との差別化が課題となるでしょう。


ChatGPT-4oは、メガテック企業に大きな影響を与える可能性を秘めていますが、その影響は企業によって異なります。各社の戦略や競争環境を見極めながらの慎重な判断が求められます。


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