
UTI_間欠的導尿 vs 尿道バルーン留置で尿路感染症のリスクは変化するか?
尿道カテーテル挿入法に関するエビデンスのシステマティックレビュー
Ercole FF, Macieira TGR, Wenceslau LCC, Martins AR, Campos CC, Chianca TCM. Integrative review: evidences on the practice of intermittent/indwelling urinary catheterization. Rev Lat Am Enfermagem. 2013 Feb;21(1):459–68.
目的
尿道カテーテルの挿入法(間欠的および留置型)に関する最新のエビデンスを収集し、科学的に基づいた看護ケアを提供し、尿路感染症(UTI)の予防を目指す。
方法
PubMedおよびCochraneデータベースから、1970〜2010年までの文献を対象に検索を実施。
34本の文献を選定し、エビデンスレベル1または2の研究のみを分析。
これらは2人の独立した研究者が評価し、信頼性の高いデータのみを使用。
結果
周囲清拭の方法:滅菌水と消毒薬で有意差なし
滅菌水:2〜7日で0.5-1.5%
消毒液(ポビドンヨード10%、クロルヘキシジン0.05%)2−7日で0.5〜1.5%
間欠的カテーテル vs 留置カテーテル :間欠的のほうが低い
間欠的カテーテル:7日以内で約1.2%
留置カテーテル:7日〜14日間で2〜3%
カテーテルの材質:抗菌コーティングのほうが低い
銀合金や抗菌コーティングカテーテル:1週間以内で1.0〜1.5%
通常のプラスチックやPVC製カテーテル:1週間以内で約2.0%
手術後のカテーテル早期除去
24時間以内の抜去:1.0%、ただし再挿入リスクが15%増加する
4〜5日後の抜去:約3.0%
結論
看護ケアの更新:尿路感染症の予防には、清潔技術による間欠的カテーテルの使用、可能なら抗菌コーティングや銀合金カテーテルが推奨される。
読後感想
神経因性膀胱で自己導尿が出来ない超高齢者に、尿道バルーンを留置していたが、尿路感染症を起こしてしまった。
「抜ける人工物は抜くべし」という感染症の原則はあるが、しかし抜けない場合はどうするのか? どのくらいのリスクなら許容できるか?という臨床疑問を持ち、調べてみた。
間欠的自己導尿は1日に何度も行わなくてはならない。看護師の手間、本人の苦痛などを考えると、入れっぱなしにならざるを得ないことは多い。
「間欠的カテーテルにすると、尿道バルーン留置と比較し、1−2週間で2−3%→1%程度にリスクを減らすことができる」とすると、数ヶ月たったら、あんまり変わらないのかもしれない。
EBMのポートフォリオのネタになりそうだな、と思った(家庭医療脳)
なんごろく-EBMポートフォリオ作成のコツhttp://spell.umin.jp/nangoroku/nangoroku_ebmportfolio.html