父の思い出
亡くなった父は、よく年賀状を出していた。
それも結構たくさんの枚数を。
そんな父を、母は「返ってくる枚数は出す枚数よりだいぶ少ないのに、なんでそんなに出すんだろうね、損してる」と言い、不服そうに見ていた。
毎年年賀状を出す頃の父は、私には心なしか、「印刷が大変だ」といいながらも、楽しそうで、満足感を感じているように見えた。
父はどう思いながら出していたんだろう。
「あの人は元気かな」「今どうしているだろうか」と、一人一人に想いを馳せていたのではないだろうか。
返事が来るかどうかなんて考えずに。
父らしい。
そんな父が、私は大好きだった。
そんなことだから、亡くなって10年以上経つが、いまだに父のことを思い出すと涙が出て止まらなくなるのは、仕方がないことだと自分に言い聞かせている。
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