エア電連絡帳

 子供の時、電車に乗っているときに過ぎていく景色を背景に指人形で高速で走る遊びはしたことがあるだろうか、僕はその虜だった。それ以外にも授業中に消しゴムで遊んだり傘を銃に見立てて一人メタルギアソリッドしたりととにかく一人遊びが好きだった。それはしばらく経った今でも変わりなく、今でもしてしまう遊びがある。
 それが「エア電」だ。駅前だったり人混みの中で電話をしてるふりをして独り言を話す遊びだ。自分でもだいぶ気持ち悪いことをしているのは自覚している。だが、これが意外と面白いのだ。
 よく街中で馬鹿でかい声で独り言を話している人がいる。電車の中だったり、店内だったりと全国各地津々浦々で見受けられる。そんな人達を見ているとふと思う、(ああやって大声で独り言を喋っるのはどんな気持ちなんだろう)と。そして合法的に公共の場で独り言を喋るにはどうすればいいのか、と。(公共で独り言が違法ではないのだけれど)
 それを可能にするのがエア電だった。架空の友人、親を創造してそれを媒体にして自分が話したい事を話す。これが案外気持ちがいい。
 他にも昔は滑り台の背面にしがみついてセミごっこや自転登校中に走っているのをレースに見立ててセルフ実況ごっこだったりといつになっても一人遊びはいざやってみると楽しいことばかりだ。
 暇人が過ぎるし、やるべき事がある時にやってしまっていることもある。だが、一人でいることをプラスに捉えられるようにするにはちょうどいい習慣な気もする。機会があったら、試してみるのはどうだろうか。


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