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ダンナがヴィーガンになった理由

「俺は、今日からヴィーガンになる!」
 2017年、ダンナは宣言した。体調が悪かったようだ。このアメリカで、シカゴで、黒人男性として生まれ、これまで生き抜いてきたダンナは、どんなときも「生きる」ことに全力を尽くす。

 大統領選も近付いてきた。今回は、医療における人種差別について、noteに残しておこうと思う(過去に書いた記事を書き直してみました)。楽しい話ではありません。興味があればご一読ください。

 さて、ダンナは、病院へは行かず、食事療法で治療することを決意した。どうやら、癌の可能性を疑っているらしい。父親が癌で亡くなったので、そのリスクはある。さらに彼は、1955年から1963年に、ポリオワクチンを受けた、約1億人の子供の中のひとりだった。このポリオワクチンには、発ガン性物質が含まれていた。米国政府関連施設で働く科学者たちは「ワクチンと、ワクチンを受けた人の癌に関連性はない」と言い続けている。けれども、民間施設で働く科学者たちは、その関連を認めている。真実は、私にはわからない。けれども、これまで合衆国が、黒人に対して行ってきたことを考えると、前者の信憑性は、低いように思える。

 20世紀はじめ、ペラグラによって、数百万人もの人々が亡くなった。症状は、皮膚の剥離、胃腸障害、精神疾患などで、最終的には死に至る。
 1915年、ペラグラに罹患している黒人囚人たちを被験者に、政府の資金提供で、研究が実施された。その結果、不十分な食事からくる栄養失調、ナイアシン欠乏症が原因だと確認された。それにも関わらず、この研究結果は1935年まで非公開だった。ペラグラによる死亡者のほとんどが黒人だったからだ。

 1932年、アメリカ公衆衛生局主導による、梅毒実験が実施された。被験者は、アラバマ州タスキーギーで暮らす、黒人男性600人だ。この実験の参加者には、医療、食事、葬儀費用が無償で提供され、6か月間の実験が終了したら、直ちに治療が施される約束だった。
 ところが、研究開始直前になって、研究資金が打ち切られた。それにも関わらず、研究者たちは実験を実施した。被験者への説明は一切なく、6か月が過ぎても、治療は行われなかった。
 この実験は、1972年にマスコミによって暴露されるまで、40年間続いた。医学の世界で最も長期に渡る、治療を伴わない人体実験だった。

 1945年、左官の仕事をする53歳の黒人男性、イブ・ケイドは、交通事故に遭い、救急病院に運び込まれた。右膝、左大腿骨を含む4か所を骨折する重傷だ。彼を診たのは、国際原子力機関の職員でもある、ハイマー医師だった。ハイマーは、ケイドが、プルトニウム注入の人体実験に適していると判断した。理由は、栄養状態が良く、彼が黒人だったからだ。
 ハイマーは、ケイドに告知することなく、骨折を放置し、6か月間で、40本ものプルトニウムを投与した。これは、平均的な人が一生で被曝する放射線量に値する。骨と15本の歯をサンプルとして採取されたケイドは、ある日、自力で病院から逃げ出した。けれども、すでに過剰な量の放射線に被曝していた彼は、8年後に心不全で死亡した。
 1945年から1947年にかけて、癌と誤診された白人男性も含め、18人が、プルトニウムの人体実験の被害者になった。

 1950年代初期、CIAと陸軍は「蚊を生物兵器として利用できるかどうか」という実験を行った。この実験に選ばれた場所は、フロリダ州エイボーンパークを含む、いくつかの黒人コミュニティだ。これらのエリアに、デング熱や黄熱病を媒体した、約60万引きの蚊が放たれた。黒人低所得者層が暮らすプロジェクトには、15万引きの蚊が入った袋が、特別装備の航空機から投下された。その結果、多くの人々が蚊に刺され、病気を発症した。そのうち、最低でも7人が死亡したと言われている。
 CIAは、1940年代初期から50年以上、生物兵器にデング熱を使用する案に焦点を置いていた。1980年、政府は、この実験には、感染していない蚊を利用したと報告した。けれども、突然の病気に襲われた、コミュニティの人々は、この事実を信じていない。

 1990年6月、ロスアンジェルスで、生後6か月の乳児1500人に、実験段階のはしかワクチン(EZ)が投与された。ターゲットは黒人とヒスパニックで、両親には告知されずに行われた。EZは、セネガル、ギニア、ハイチで、すでに使用され、幼女の死亡率をあげること、そのほとんどが2歳まで生きられないことが、確認されていた。

 2000年、政府研究機関、住宅土地開発省、農務省の研究者は、有毒廃棄物を含んだ水道水を摂取した子供たちの体内から、鉛レベルが効果的に減少するかどうかの調査を行った。政府の資金援助を得て、下水処理場の汚物を、黒人低所得者の9家族、及び、バルチモアとイースト・セントルイスの空き家の庭にばら撒いた。その9家族と住民たちには、人間に有害であることや、産業廃棄物が含まれていることは告知されず、汚物は安全だと伝えられていた。

 2012年12月、コートジボワールのグワ族と、チャド共和国で暮らす500人の子供たちに、MenAfriVacというワクチンが強制的に投与された。このワクチンには、痙攣や麻痺の副作用があると確認されていたにも関わらず、である。学校で行われたこの投与について、親は何も知らされず、同意書の提出も求められなかった。この強制投与のスポンサーは、ヘルスケアで主導権を握り、世界的に畏敬されている、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、WHO、ユニセフだ。

 黒人はこれまで、政府関連組織や、医療機関のモルモットとして利用されてきた。この事実は、貧しい黒人たちの病院離れを引き起こした。特に1972年の梅毒実験の暴露以降、黒人男性の医療不信は高まった。

 とはいえ、これは過去のことではない。
 2016年、デトロイトのいくつかの癌センターで、医師が患者にかける診察時間を、黒人と白人で比較する実験が行われた。結果、ドクターが、黒人患者にかける時間は、白人のそれと比べて、かなり短かいことがわかった。また、治療中のサポートにも、大きな違いがあった。
 ダンナも同様の経験がある。数年前の健康診断で、担当したドクターは、黒人の彼の体に指一本触れることなく診察を終えた。

 ハリス副大統領は、妊娠中、出産後の、黒人女性の死亡率について、度々触れている。黒人妊婦の死亡率は、白人女性の3~4倍で、先進国の中ではダントツの高さだ。原因はいくつかある。貧しい黒人コミュニティで暮らす女性は、もともと低栄養で、健康状態に問題がある。ドクターによる不十分な診察、不適切な治療もそのひとつだ。妊婦が訴える症状や痛みを、ナースが無視することも、死亡率を上げる原因となっている。

 人種差別をせず、医師としての使命を果たす白人ドクターも、もちろんいる。けれども、不適切な診断と、治療をされる可能性があり、その可能性は、黒人であるほど高くなる、という事実を知ると、病院へ行くのもひとつの賭けだ。黒人が、優秀な黒人ドクターにめぐり合える確率は、6%未満と言われている。
 
 こういう次第で、ダンナは病院へは行かず、黙々と情報を読みあさり、ヴィーガンにたどり着いた。
「俺はヴィーガンになる!」は、「俺たちはヴィーガンになる!」ということだったらしい。我々のヴィーガン生活も、7年が過ぎた。ヴィーガンになったり、ヴェジタリアンになったり、肉を食べることもあるけれど、現在も、ヴィーガンよりの生活を続けている。体調も良いのだろう、聞いていないけれど、癌克服のために、ヴィーガンになったことは、すっかり忘れているようだ。

 医療の進化もいいけれど、経済の発展もいいけれど、お金儲けのために、戦争で人を殺すために、病人を増やして何になる?信用できるのは、言葉を話さない野菜だけなのか?世の中おかしいぞー!
 世界中の人たちが、互いに信用し、優しい心で生きられる社会になって欲しい。それでいい、それがいいと思うのです。

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るるゆみこ
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