さんすうセット
小学校一年の算数の授業で使う「さんすうセット」。
数字のカード、花型のおはじきみたいなもの、時計、謎の棒などが入っていた。
謎の棒について調べてみたら「数え棒」といって、10本ずつ束ねて位取りの勉強に使うものだとか。さらには端と端をかみ合わせて立体を組み立てることもできるらしい。そういえばそんなことしてた気がする。セットの中でもスグレモノなのに一番その用途を忘れていた。
画像検索すると自分の時代のものに近いセットが出てきて、眺めているうちにうっすら当時の授業の記憶が浮かんでくる。先生の説明を何となく聞きながら、花型のおはじきはクッキーを、謎の棒はアイスの棒を連想しつついじくっていた、その程度の思い出が。
さんすうセットはそれなりに楽しく使っていたと思うが、才能がなく学年が上がるにつれ算数は一番苦手な教科となった。数字は言葉や絵などと違い意味や実態がない気がして、どう捉えて接すればいいのかわからなかった。実生活においては長さや重さを表したり買い物の時に用いるくらいで、それ以上の複雑な計算なんて私に求めるなよと逃げたい気持ちになっていた。今でも数字の羅列を見ると目がチカチカして頭が真っ白になる。
そのせいかデジタル時計で時間のイメージをつかむのが苦手だ。時計を見て何時何分ということはもちろんわかる。しかし○時○分まであとどれくらいかというのがすぐに出てこない。アナログ時計は円グラフのイメージで、ぱっと見ただけでそれがわかる。
きっちり○時00分に待ち合わせなら、あとどれくらいかがなんとかわかる。それが例えば9時17分が電車の時間で、デジタル時計を見て現在8時46分だとする。ああ難しい。あとどれくらいで駅に着かなきゃいけないのか。頭の中で頑張って暗算しないとわからないし、その答えが正解かも自信がない。笑われるかもしれないが、筋金入りの算数恐怖症の頭なんてこんなものだ。ならばアナログ時計を想像して置き換えればいいようなものの、案外そっちも難しい。
未だにデジタル時計を持たないのはこのためだ。さんすうセットでアナログ時計の読み方はばっちり身に付いたが、二桁の引き算は無理だったようだ。