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狼のバラード 『狼よ、故郷を見よ』その2

アニキのルーツをもう少し紐解くと、父親である山本信明氏の素性が明らかになりました。”明” の名は父親由来だったんですね。

東京帝大の若き生物学者で、実家は華族の縁戚もある名家。…ということは、少年犬神明の父方も「山本」姓で、都内に大邸宅を有するお金持ちでしたから、これはほぼ間違いなく親戚なんでしょう。

そして、幻魔世界で東丈の(肉体上の)父親となるのが、山本千之介。
山本家❗️ ルーツ繋がってると見てよろしいでしょうか。

アニキは人狼ハーフで、少年アキラは日系3世で人狼ハーフかクオーターですが、人狼としての不死性は純血種に劣らないと思われ、サイヤ人みたいに混血してもパワーは減じないのかも。

特に山本家はサイキックの血筋ですから、父母両方の血筋の特異能力が癒合したハイブリッド的存在が、我らがウルフガイだったとか。


雪原に繰り広げられる、酷薄な追手たちとの死闘。

なんの躊躇もなく、ヘリコプターよりナパーム弾を投じて、貴重な原生林を焼き払う彼らに対して、犬神明が感じた憤怒は、まさに“神々の怒り”そのものでした。

怒れる犬神明は、大自然の精霊、人に祟りをもたらす荒神そのものです。

禁忌を踏みにじる愚かな人間たちは、神の怒りに触れて業火に焼き尽くされる。

それは、呪われた人類の血を、異神(マガツガミ)の裔の血を、紛れもなく半分受け継いだ犬神明だからこそ、なし得る御技なのかも知れません。両者の欠点も、美点も、知り尽くしているからこそ、神の怒りの“代行者”たり得るのではないか。

そして切なすぎるエンディング…。

若い頃は、なぜここで たか が生命を捧げねばならなかったのか、意味が分からなかったんです。せっかく二人出逢えて、魂の契りを結び合ったのに…。力を合わせて、暴虐極まりない追っ手を討ち払ったのに…。

もちろん今も、理性ではいまだ承服しかねるのですが、彼女が文字通り生命を賭して祈念した、神への誓いの厳粛さは、察することができます。

「犬神様は、あたしの祈りをききとどけてくださった。あなたはもう大丈夫」

もしかしたら犬神明は、魂の故郷である大峰山で、死ぬ運命にあったのかも知れない。それをたかは“分かっていた”。だからこそ、里に入ろうとするアニキに銃弾で警告を与えたし、全生命を懸けてアニキを護ろうとした。

おたかさん、それまでは、いたって普通の美しく純朴な村娘だったのでしょう。

犬神の里に入ることで、彼女に“何者か”がウオークインし、犬神明がやってくることを知らせ、彼を護ることが至上の使命となった。

あるいはそれは、亡き母、みおの御魂だったのかも知れません。

彼女はずっと愛児である明を見守り続け、運命の分岐点であったこの時に、村の少女に宿って彼を護り、癒し、“生まれ変わらせた”。

「あたしは、あなたを産んだのよ」

別れの際にたかが発したこの言葉には、幾重もの意味が込められています。

だめだ…。泣ける…。

我が子、恋人、夫、へと向けられる圧倒的な女性原理の愛。それを受け取った男が、いかに変貌し、強くなれるか。

何度でも言います。

名作です!!


🐺🐺🐺

「たか」と言えば、短編『サイーボーグお鷹』を連想しますが、改めて見直してみると、両者に繋がりはありそう。次回考察してみます。


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