シェア
十一 それから二ヶ月ほど経った、真冬のすごく寒い夜、おばあちゃんから電話があ…
十二 ミカちゃんへ ミカちゃん、今さらこんな手紙を書いてしまってごめん…
十三 またサ店で働きはじめて、はじめのころは良かったんよ。顔なじみもいてよく…
十四 読み終わってからもしばらく、健吾は両腕に顔を埋めて泣いていた。 やが…
十五 桜並木をゆっくり引き返していると、ちょうどゆるやかなカーブから姿を現し…
十六 降り注ぐ春の陽光を受けて、満開に咲き誇る桜花はまぶしいくらいに白く輝き…
十七 心地良いまどろみから、ふと目覚める。 少しぼんやりしたまま、周囲を見渡す。記憶がぼやけているが、頭上を占める満開の桜を目にして、そうだ、お花見をしていたんだと思う。 「起きた? よく寝てたね」 桜の幹にもたれてゆったりとくつろぐ黒髪の女性が、そう語りかけてくる。ついさっきまで、彼女によく似た黒目勝ちの瞳を持った少女と、どこかで逢っていた気がする。 「う~ん、めちゃ寝てた……。夢見てたわ」 「どんな夢?」 「はっきり覚えてへんけど、お下げのめちゃ可愛い女