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4/17 【米・欧州金融政策の現在地、ユニクロ決算公表】

●米CPI・小売売上高発表

4月11日(月)から15日(金)は米経済指標の発表が相次いだ。12日に発表された米3月CPI(Consumer Price Index;消費者物価指数)は、前年同月比で8.5%上昇し、約40年ぶりの高水準となった。

CPIは米労働省労働統計局が毎月発表する統計で、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標。米CPI前年同月比は、昨年9月以降右肩上がりに上昇を続けており、FRBの金融政策にも大きな影響を与えている。

(出所:Yahooファイナンス)

 今回は、上記のCPIのみならず、コアCPIの推移にも着目したい。コアCPIとは、消費者物価指数(Consumer price index)のうち、価格変動の激しいエネルギー価格や食品価格を取り除いたもの。

12日発表の3月コアCPIは前年同月比で、6.5%の上昇であった。2月は6.4%、1月は6.0%の上昇であり、コアCPIは頭打ちの兆しが窺える。

(出所:Investing.com)

コアCPIに頭打ちの兆しが出てきたことは、株式市場にとっての好材料である。一方、14日に発表された米小売売上高は、前月同期比で0.5%の上昇と、アメリカ経済は引き続き底堅い状況であることが明らかになった。

業種別では、「スポーツ・娯楽用品」が3.3%、「服・アクセサリー」が2.6%、「レストラン・バー」が1.0%それぞれ伸長しており、アフターコロナを見据えた消費動向となっている。

このアメリカ経済の堅調な状況を受け、14日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「インフレ率を2%へ低下させることに集中すべき」と経済の力強さを背景とした利上げを示唆。米株式市場は軟調な展開となった。

(出所:Yahooファイナンス)

 ●アメリカ中間選挙を悲惨指数から読み解く

2022年の米国における最大の政治イベントは、11月8日に行われる中間選挙である。中間選挙では連邦議会上院の議席の3分の1(34議席)、および下院の全議席(435議席)が改選される。この中間選挙に向けて、バイデン政権が意識しているであろう、悲惨指数の推移を確認したい。

 悲惨指数とは、米経済学者アーサー・オークン氏が考案した国民の生活度合を表す指数で、失業率と消費者物価指数の前年同月比を加算して算出される。悲惨指数が10%を超えると生活が圧迫されることで国民の不満が高まり、20%を超えると時の政権に影響を与えると言われている。 

直近の米悲惨指数は下図の通り上昇傾向で、約12.5%と10%を上回る水準。公共ラジオNPRとマリスト研究所の共同世論調査によれば、バイデン政権の支持率は対露制裁をきっかけにして足元では上昇しているものの、この悲惨指数上昇に歯止めをかけるため、政権としては何としてもインフレに歯止めをかけたい状況だ。

(出所:株式マーケットデータ)

●FRBと対照的なECB

欧州中央銀行(ECB)は14日、量的緩和策の段階的縮小方針を確認し、政策金利は下図のとおり0.0%で据え置いた。

ラガルド総裁はロシアのウクライナ進攻が経済に与える影響を注視する姿勢をみせており、資産購入プログラム終了後に、利上げを行うという姿勢を貫いている。

資産購入プログラム終了は、第3四半期(7-9月)であるものの、具体的な時期は現時点ではないと発言。この金融引き締めと一定の距離を置いた結果、USドルに対して、ユーロ安が進行している。

●フランス大統領選挙

フランスの大統領選挙1回目投票が4月10日に行われた。1位は再選を目指すマクロン大統領(中道)で、2位のルペン候補(急進右派)との決選投票(4月24日)に進んだ。マクロン氏とルペン氏の決選投票は前回に続いて2度目。 

下図は1回目の投票結果で、注目点は右派・左派が壊滅的な点だ。前回2017年の大統領選挙の際に、マクロン氏は社会党(中道左派)の地盤を崩しており、今回は共和党(中道右派)を取り崩した。

中道寄りの保革政党がぽっかりと空いたところにマクロン氏が中道として、舵取りを行うという構図。そのため、マクロン氏の政策は右にも左にもスイングする。

一方のルペン氏は、フランスのNATO離脱やロシアからの原油輸入禁止に反対する姿勢を見せており、万が一ルペン氏が決選投票で勝つような事態になると、欧州では政治的な大混乱が生じる虞がある。4月24日の決選投票からは目が離せない。

(出所:JETRO) 

●ファーストリテイリング決算公表

ファーストリテイリングの22年8月期2Q決算が、14日公表された。該社は日経225への寄与度も高く、決算には注目が集まる。

下図の通り、国内ユニクロ事業の不調はあったものの、海外ユニクロ事業が好調に推移。また円安に伴う為替差益の影響もあり、今期の連結最終損益を従来予想の1,750億円から1,900億円へと8.6%の上方修正を行った。併せて、年間配当計画を520円→560円(前期480円)へと増額。

(出所:ファーストリテイリング IR資料)

この力強い上方修正&増配を受け、翌15日には8.83%もの上昇率となった。該社の株価は21年3月より一貫した下落トレンド。15日終値ベースでのPERは34.9倍と非常に高い水準で、長期金利が上昇する現在の市場環境下、今回の決算を機に再び上昇トレンドへ転換するか注目。

ただし、信用倍率は1.44倍と一定程度の信用売り残も溜まっており、目先はこの買戻しも期待され、5月FOMCまで、短期的には上昇が期待される。

(出所:かぶたん)

●4月18日(月)から22日(金)の主な予定

<日本>

20日(水):貿易統計

22日(金):消費者物価指数

<アメリカ>

21日(火):フィラデルフィア連銀製造業景気感指数

<中国>

18日(月)3月小売売上高、1-3月期GDP


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