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5/1 【仏大統領選、米GDP、5月FOMC目前に迫る】

●フランス大統領選


フランス大統領選決選投票が4月24日に投開票され、中道の現職マクロン大統領が極右のルペン候補に勝ち、再選された。

両者の決選投票は、前回2017年と同じ顔合わせで、フランス内務省が発表した最終開票結果による得票率は、マクロン大統領58.54%に対しルペン候補41.46%であった。

今回の投票率は71.99%で、前回74.56%を下回り、棄権率28.01%は過去50年間で最大。
仏有権者の関心はインフレ問題が最も高く、健康保険問題、ウクライナ問題と続いた。

(出所:モーニングサテライト)

マクロン大統領が苦戦した背景には、物価高騰やエリート層への不満がある。
マクロン大統領は、就任後に高額所得者対象の富裕税を廃止し、また燃料税を引き上げる等の政策を打ち出したため、2018年秋からの反マクロン政権デモ「黄色ベスト運動」を引き起こしたことは記憶に新しい。

マクロン大統領が勝利したと言えども、ルペン候補も上述の通り約4割を獲得しており、反マクロンは深く浸透している。

また6月には国民議会(定数577)選挙が控えており、大統領選で人気低下が明らかになったマクロン氏率いる共和国前進を中心とした中道与党の苦戦は必至。

(出所:東京新聞)

ルペン氏が率いる国民連合も議席7からの大幅増を目指す他、急進左派政党「不屈のフランス」を率いるメランション氏も議席増加を虎視眈々と狙っている。

●米1-3月GDP 7期ぶりマイナスへ


米商務省が28日公表した、アメリカの22年1-3月までのGDP(国内総生産)の伸び率は、事前予想1.1%に対して▲1.4%という結果になった。

(米GDP推移、出所:yahooファイナンス)

GDPとは、「Gross Domestic Product」の略。
1年間など、一定期間内に国内で産出された付加価値の総額で国の経済活動状況を表す。

付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値。

簡単に表現すると、付加価値とは「儲け」を表しており、GDPによって国内でどれだけの儲けが産み出されたか、国の経済状況の良し悪しを知ることが出来る。

また、ある一定期間と次の一定期間のGDPを比較して変化を示すことで、経済成長の度合いを知ることが出来る。成長率の推移は、経済成長が続いているか、それとも停滞しているのかを判断する目安になるのだ。

米1-3月におけるGDPの伸び率は、▲1.4%であるものの、内訳を見ると米経済は依然として強い。
ウクライナ危機もあり輸出が伸び悩む中で、強い需要を背景に輸入は17.7%も急増。この輸出入ギャップだけで、GDPは3.2%も押し下げられている。

一方で個人消費は2.7%増、設備投資は9.2%と力強く、つまり従来はGDPがマイナス成長というと需要の減少を背景としていた。

しかしながら、現在の米経済は需要が強く供給が追いついていないため、人手不足や物不足を補うために輸入が増加している。この結果を受け、4月28日の米株式市場では主要3指数が大幅に上昇した。

●米PCE物価指数公表


米商務省は4月29日、3月の個人消費支出物価指数を公表した。

PCE物価指数は、CPIに比べて調査対象となる範囲が広い。また、CPIが消費者調査によるデータを基に算出される一方で、PCEデフレータは企業調査によるデータを基に算出され、FOMC参加メンバーが最も重視する指標と言われる。

この他、雇用者や政府などが消費者のために支出した金額の変化について、CPIは対象としないが、PCEデフレータは対象に含んでいる(例.医療費の政府支出分など)。

3月のPCE総合指数はエネルギー価格の上昇大きく、前年同月比で6.6%上昇し、約40年ぶりの伸びとなっている。

(出所:日本経済新聞)

一方で、変動が激しい食品・エネルギーを除くコア指数は5.2%の上昇で、前月の5.3%を僅かながら下回っており、頭打ちの兆しも窺える。

4月28日におけるAmazonの決算内容が非常に悪い内容であったことに加えて、このPCE物価指数の結果から、米株式市場はダウ▲2.77%、NASDAQ100▲4.47%、S&P500▲3.63%と主要指数は大幅下落となった。

●5月FOMC直前 何が論点となるのか


FRBは5月3日−4日にに米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する予定。

今回のFOMCで注目を集めそうなポイントは、
①利上げ幅を0.5%とするのか、政策金利の最終的水準
②FRB保有資産縮小(QT)開始時期とその後の方針
上記の2点である。

まず、5月のFOMCで想定される政策金利は50bpとなる見込み。また、5月、6月、7月頃までは50bpの利上げ、以降今年の残りのFOMCでは25bpの利上げが予想される。

年内のFOMCは5月を含め6回開催予定で、前述のペースで利上げを想定すれば、年末時点で多くのFOMC参加者が中立と見なす金利水準(2.25%~2.50%)に到達する。

次に、FRBの保有資産縮小QTについて考察したい。今回、QT開始に言及するとの見方が大半を占めている。

バランスシートの縮小は月次で上限950億ドル(米国債650億ドル/住宅ローン担保証券(MBS)350億ドル)とすることがこれまでのFOMC議事要旨などから確認できる。但し、資産縮小開始当初はスムーズにQTを導入するため、より低い上限、例えば米国債を150億ドル、MBSを100億ドルとし、徐々に上限を950億ドルに引き上げる方針と見られる。

可能性は低いと思うが、5月FOMCで75bpの利上げや債券の売却方針が打ち出された場合、株式市場には更なる動揺が生じるだろう。

日本はゴールデンウィーク期間中であるが、世界中が固唾を呑んで、決定事項及びパウエル議長の会見に注目している。

VIX恐怖指数が33.40(4月29日時点)と上昇し、益々難易度が高まる資本市場の行方を見守りたい。

(出所:trading view)


●5月2日(月)から5月6日(金)の主な予定


<アメリカ>
2日:4月ISM製造業景気指数
3日:FOMC
4日:FOMC、パウエル議長会見、ISM非製造業景気指数、3月貿易収支
6日:4月雇用統計

<欧州>
5日:金融政策委員会(イギリス)


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