7/10 【米ISM景気感指数、米雇用統計、英ジョンソン首相辞任】
●6月ISM製造業景気感指数
米供給管理協会(ISM)が7月1日に発表した6月の製造業景況感指数は、53.0で予想(54.9)及び前月(56.1)共に低下した。
ISM製造業景況感指数とは、ISM(Institute for Supply Management:供給管理協会)が全米の製造業350社の購買担当役員に対するアンケート調査を実施し、その結果を基に作成する景況感を表す指数で、景気の先行指標として注目されている。
「新規受注(30%)、生産(25%)、雇用(20%)、入荷遅延(配送時間)(15%)、在庫(10%)」の5項目を「良くなっている(1)、同じ(0.5)、悪くなっている(0)」の三者択一の回答結果を点数化し、カッコ内数値でウエイト付けした加重平均で算出され、50が好況と不況の分岐点となる。
特筆すべきは、新規受注で約2年ぶりに分岐点である50を下回った。FRBの積極的な金融引締めにより製造業における景気の冷え込みが意識されている。
●6月ISM非製造業景況感指数
米供給管理協会(ISM)が7月6日に発表した6月の非製造業景況感指数は、55.3で前回(55.9)は下回ったものの、予想(54.1)は上回ったころから非製造業における景気減速への警戒感が和らいだ。
ISM非製造業景況感指数とは、全米の非製造業375社の購買担当役員に対するアンケート調査を実施し、その結果を基に作成する景況感を表す指数だ。
アンケート項目は受注、在庫、雇用、価格など10項目があり、「増加・良くなっている、同じ、減少・悪くなっている」の三者択一。10項目のうちの4項目、事業活動、新規受注、雇用、入荷遅延について、季節調整をかけた上で総合指数を算出する。
6月の内容をみると、新規受注は前月から2ポイント低下したものの、業況指数は上昇。依然として、非製造業は底堅く推移していることを示した。
●6月FOMC 議事録公表
FRBは、7月6日、6月14・15日に開催されたFOMC(公開市場委員会)議事録を公表した。
次回7月会合での利上げ見通しについては、0.50%または0.75%の引き上げを適切とした。
またインフレ見通しについては、ロシアのウクライナ侵攻や中国でのコロナ感染拡大防止のためのロックダウン、サプライチェーンの混乱要因によりインフレが2%上昇の物価目標に下がるまでには時間がかかるとし、インフレの長期化懸念を示した。
また経済とインフレ抑制のバランスに関しては、経済のソフトランディングよりも物価安定を重視する考えが改めて鮮明となった。
●米6月雇用統計
米労働省が7月8日発表した6月雇用統計では、非農業部門の就業者数は前月から37万2000人増。また失業率は3.6%で横ばい。一部企業はレイオフ等で雇用を減らし、就業者数の急増も一服しつつあるが、逼迫した状況が続いている。
注目点は労働参加率で、62.2%に前月(62.3%)から低下。採用が進まない状況や労働者不足といった雇用主側の見方を裏付けるもので、特に25歳から54歳までの労働者層の参加率は82.3%と、4カ月ぶり低水準となった。
またトランタ連銀のボスティック総裁は統計発表後に、7月FOMCでは0.75%利上げを支持すると語った。
●英ジョンソン首相辞任へ
英国のジョンソン首相が7日、国民向けの演説で辞任を表明した。不祥事等から閣僚や与党・保守党内の離反が相次ぐ中で、約3年続いた政権に幕が下りることになった。
首相側近の1人によると、ジョンソン首相は最後まで戦い抜く意思を示していたが、ついに辞任が避けられないことを認めた。
この決断に至るまでに閣僚や副大臣、政務官級ら数十人が辞任し、指名したばかりのザハウィ新財務相を含む閣僚メンバーが首相に辞任を迫っていた。
保守党はコロナ禍でのパーティーや性的スキャンダルなどに絡んだ悪評がジョンソン政権の下で再び表面化、世論調査では最大野党・労働党の支持率を下回る。
ジョンソン首相の明白な最有力候補はいないとされているが、トラス外相や首相退陣までの流れをつくったスナク前財務相らが加わる公算が大きい。
スナク氏辞任の直前に辞意を表明したジャビド前保健相や、ザハウィ新財務相らも党首選に出馬する可能性がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?