4/17 【米3月CPI・小売売上高、植田日銀新総裁会見など】
※ここ数週間バタバタしており更新できておりませんでしたが、今週より更新を再開致します。
●米3月消費者物価指数 9カ月連続鈍化
4月12日に米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で5.0%の上昇(予想:5.2%、前回:6.0%)となり9カ月連続で伸びが鈍化した。
特に前回(6.0%)からは大幅に減速しているが、これはロシアのウクライナ侵攻直後、エネルギー価格が高騰していた時期と比較していることが主要因である。実際にガソリン価格の下落は大きく、その下落率は▲17.4%だった。
一方で、変動の激しいエネルギー及び食品を除いたコア指数は5.6%の上昇(予想:5.6%、前回:5.5%)と約2年ぶりに総合の上昇率を上回った。
住宅関連の伸び率は上昇を続けているが、先行指標とされる中古住宅販売件数や建築許可件数は下落トレンドにあり、今後物価指標へ反映されると思われる。
●米3月FOMC議事要旨 米地銀の相次ぐ破綻を警戒
4月12日、米連邦準備理事会(FRB)は前回FOMC(3月21~22日開催)の議事要旨を公表した。同時期はシリコンバレー銀行等地銀が相次いで破綻した時期であり、参加者の複数が利上げ見送りを検討していたことが明らかになった。
複数の参加者は利上げを見送ることで、これまでの利上げ効果や金融機関への影響を「評価する時間をより多く確保できる」と指摘した。
一方で、FRBの取り組みが「銀行業界の状況を落ち着かせ、短期的な経済活動やインフレのリスクを軽減するのに役立っている」とも評価した。
市場は次回FOMCで0.25%の利上げを見込む。米地銀が相次いで破綻した1ヶ月前は、約40%の確率で金利据え置きが見込まれていたが、それらへの対応を経て現在は残り1回の利上げ後に停止見込み。
また利下げ時期については、2023年9月からを見込む。先日までは7月からの利下げ観測もあったが、さほど弱くならない雇用統計の結果を受け利下げの見込み時期が後ろ倒しになった。
●米3月小売売上高 ▲1.0減少
4月14日、米商務省が発表した3月の小売売上高(季節調整済み)は、前月比で▲1.0%減(予想:▲0.5%、前回:▲0.4%)と予想を下振れ2カ月連続の減少となった。
上記CPIでも触れた通り、ガソリン価格が低下している影響からガソリンスタンドの販売が大幅に減少。また自動車及び同部品も振るわなかった。
内訳の詳細を見ると、ガソリンスタンドは5.5%、自動車・同部品は1.6%、それぞれ減少した。両項目は金額が大きく、全体の売上高を押し下げた。自動車・同部品を除いた売上高は0.8%減だった。
また家具が1.2%、家電が2.1%、衣料品が1.7%、総合小売りが3.0%それぞれ減少した。急ぎで必要ではないものなどについて、消費者が買い控え姿勢を強めている可能性がある。食料品も0.1%減だった。
米国の消費動向を示す他の指標でも、悪化傾向が続々と表れている。米連邦準備理事会(FRB)が公表している消費者信用残高は、2月のクレジットカードの「リボルビング払い」ローンの伸び率が4.97%となり、2021年4月以来の低さとなった。
●植田日銀新総裁 就任会見
日銀の植田和男新総裁は4月10日に就任会見を行い、現在の長短金利操作(YCC)など大規模緩和を継続することが適切だと語った。
植田新総裁は黒田路線を継承、現状の金融緩和維持を事前予想よりも強く打ち出している。
会見前半で、YCCの早期見直しが必要かという質問に対して、「現状の経済・物価・金融情勢にかんがみると、現行のYCCを継続するということが適当であるというふうに考えております」と述べた。
G7で訪米中の12日には、「物価高への対応が遅れるリスクよりも、時期尚早に金融緩和を終了して2%のインフレ目標が未達になるリスクに日銀はより注意を払うべき」との見解を示した。
市場関係者の多くは4月もしくは6月の金融政策決定会合で、YCCの修正が行われると予想してきたが、それはより遠い時期になる可能性がある。
●中国3月消費者物価指数 2カ月連続伸び鈍化
中国国家統計局が4月11日に発表した2023年3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.7%の上昇(予想:1.2%、前回:1.0%)。上昇率は前回2月から0.3%縮小し、2カ月連続で鈍化した。
内訳をみると、原油安の影響からガソリンなど交通燃料が下落に転じた。また耐久消費財やサービスなどの価格も伸び悩んだ。
交通燃料は6.4%下落。食品は2.4%上昇したが、前回2月の2.6%から伸びが鈍化。また生鮮野菜の値下がり幅が拡大した。
同時に発表した3月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比▲2.5%の下落。6カ月連続の低下で、前回2月の▲1.4%からマイナス幅は拡大した。