九鳥螺子

くどり らじ

九鳥螺子

くどり らじ

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四歌

いつからかわからない不在 私のことを祈ってくれる人の 黒山の懐に佇む石仏 すやすやと寝る孵化前の赤子 向こう側小さきものの大きさを 誰か教えて 陽の光だけが測っている 福寿草ずっと好きだった黄色 毒草だって 春の閃光

      • ごめんね

        僕が自分の世界で甘えていた間に 相方が 黙ってやってくれていたことを 僕が 黙ってやってみようと 思う 温かな手仕事を やっと

        • いつだって最期のことばに

          今日君と 最後に話したの、なんのことだっけ なんか嫌味なこと言った気がする 最後のLINEは 一昨日の、迎え来てねっていう連絡だけ このままこれが最期になったら・・・ ヤダな・・・ 今日も日常の端っこで 明日も今日と同じ1日がくるって思ってる でも、そうじゃないかもしれない 最期に言いたいことは 願わくば 君のお守りになる言葉 できるだけたくさん 遺したいと思う いつもそばにいて 笑ってくれてありがとう 君と生きれることを 誇りに思うよ 本当は毎日心の奥で思ってる 言

          心許無くつよく

          ぽつと座る老婆よ 道行の話し相手へかけた 最後の「さよなら」の 心許無く強いそれは・・・ 触れるのは どこ? 誰の何にも残らないそれが ここで

          心許無くつよく

          肥大は謙虚さに憧れる(いつまでも)

          言葉が使えるからって 自分もそこに行ける気がしてた 恥ずかしい あのブロック塀の足元の スミレを揺らす雨粒のこと 知っているのは私だけなんだ って 偉そうにしてる 全然辿り着いてないのにね 止まない 自傷行為

          肥大は謙虚さに憧れる(いつまでも)

          雨後に現れる水の道に思ふ

          わかりにくいことの価値を わかりにくいままに 汲み上げる 器になりたい ことばの牢屋に閉じ込められた 自由なからだへと続く 戸惑いと恐れの鍵を 照らす月になりたい 怖くても 道はあるよ

          雨後に現れる水の道に思ふ

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          再現性がないっていうことが 存在の本質で その素晴らしさの証左では無いの?

          翠のこころ

          何年経っても 美味しそうって思う 夏のメロンソーダ あの頃代表 純朴のアンソロジー味

          翠のこころ

          野村日魚子 歌集

          止まったり 動いたり沈んだり 光ったり陰ったり 忙しく穏やかな世界だった 私の中の犬性が 私の中の嵐性が 私の中の雪性、火事性が 疼いたり喜んだりして 私が肋骨の裏側から世界を覗いているから そういうことあるかもねって そう思えた対峙 最後 言葉がほどけていくの、好き 氷が溶けて腔になっていくようでね 雨が大地に甘えるようでね 本当は 見えなくなることが一番大事

          野村日魚子 歌集

          Untitled

          逢魔時のオレンジと青 届かぬ手の 気配なきアップデート

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          田畑を包み来る 朝光るつやつやの霧の 川から起つ 田から起つ 薮から起つ 夜と畳んだ私たちの息吹き

          壊造

          毎年 春の匂いの 少し肌寒い風に 夏の終わりを予感する 終わりを生きる私 壊れることと創造することを 別概念にしたのは誰?

          ホコリマリモ

          朝、時々出会うその子は 世界一静かな足音で 私の横を静かに 風に乗って過ぎていく 時々は私の隣で 時々は柱の陰へ その子に会うと なぜか目が離せなくて ついて行きたくなる 改札から出て バスのロータリーが見える頃には その子は大きくなっていて 私なんかには構わずに 行きたい方向へ黙って颯爽と駆けていく いつか君のように 気まぐれに 辻々に留まりながら 誰にも見つからないで 忙しい朝を眺めていたいな

          ホコリマリモ

          はじめの半歩+

          読む相手を想定して 書くことの 潔さと 戸惑いと 恥ずかしさとを 今、記しておこう 垂れ流すことと 創り出すことの 表裏に 苦しんで 書いて 迷って 消して 増えていく下書き 俺の力で書いているという妄想から 私に力がないからだという過信から 自由になって ただの自分を待つ そして 唐突にやってくるそれに 飛びつかず でも 消えないように間合いを保って 垂れ流しにしたくないから

          はじめの半歩+

          untitled

          桜雨 花弁散らして 揺るる珠 分水嶺の雲の粒から いつかの君の息への旅路で