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【詩】紅涙
恋とはつまり、自分を殺すことである。
そう考えてしまうことのある貴方へ捧げる。
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自分で自分を切ってはイケない理由
君が教えてくれたんだ
流し流れては切るままに流れろ
いつか大海原に抱かれて
君に恋なんてしてない、してない
今日も夕日が染まるガラス窓
たまたまね、たまたま手が触れたんだ
嬉しいこと
今日一番夢中になったこと
君が私を呼んだんだ
言葉はやっぱりいらない、いらない
初めてそう思ったの
「ノリが良いわね。」
立ち並ぶワイングラス
大人になった気分
乾いた口紅が言い直す
「優しいね。」
君が冷たく笑っているように見えたの
暗闇で口火を切った
ほんとのところを知りたかったんだ
君が消した。
永遠へ吸い込まれていく
偽りの私を売っても消えない青
君は青色のスーツを着ていた
どうして今になって重なるのだろう
夜に二人歩いたあの日が透き通って瞬く
嘘も真実も醜い
ただ私は君の生命を守りたいの。
せめて手巾だけは青くあれ
流し流れては切るままに流れろ
いつか大空に守られたなら
詩: 雨原薫子