不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。


 俺はある日、この世界に見切りをつけ崖から飛んでみた。
 靴は脱いでいない。

 そして訪れた、白い世界。
 そう、その世界は白かった。
 そして、凍てつく寒さ。
 絶対零度くらい。

 そんな中、一人の女の人が、氷の椅子に座り泣いていた。
 俺に気が付き、ふと顔を上げる。

「うーん。七〇点」
 なんか、いきなり点数をつけられた。
 そして悩んでいる。

「よし良いわ。仕方が無い」
 じっと見たまま、しばらく人を無視して考えていたようだが、そんな事を言い出す。
「ねぇ、佳人ぉ。あなたしか頼れる人が居ないの……」
 何で俺の名前?

「まあ、周りに誰も居ませんから、そうなんでしょう」
 気になるが、他も気になるし突っ込んでみる。
 ああ言葉的にね。

「ううん。そんな意地悪、ゆ、わ、な、い、で。アデルミラ=ヘルトルディス=アバスカル=デルリオ=アプロディーテー、泣いちゃうわよ」
 なんか、体をくねくねしながら言ってくる。
 あーと、その早口言葉何?

 人が絶句しているのを良いことに、コイツは説明を始めた。

 この世界に、人が生まれた時、指導者として一人の少年を自ら創り上げたと。
 カスタマイズをして、三千年ほど統治をさせたけれど、生物的な限界が来て彼は死んでしまった。
 そのキュートで美しく、かわいい彼の子孫なのに、今の王族達は駄目だと。
 かわいくない……
 直接手出しが出来ないから、駆除して。
 あんたならまあ、及第点だから統治を任せてあげる。

 要約するとそんな感じ。
 話をしながら、凍てついた心が多少ましになったのか、気温が上がってきた。
 そして、派遣を取るために…… いや覇権を取るためにチートを貰った。

「じゃあ、お願いね」
 ちゅっと、キスされた瞬間、体の中に何かが流れ込み、目や鼻、耳から血が流れ出す。
「あら、ノーマルの人って弱いのね。だけど、あなた七〇点だから、仕方ないわよね」
 そこで意識が途切れた。

 おバカな神が、詰め込めるだけ詰め込んだ能力は、世を統治するための最強の能力。
 女性相手には、触れ合ったら虜にする様な快楽を与え、男相手には無双できる、無敵ともいえる力。
 ただ、異世界とかに興味が無かった本人は、気が付いていない。
 暮らすうちに、徐々に気が付き、呆れる。

 少しだけ不幸な男が、チート能力を使い、なんとかあがいて出世する話し。
 ただ、その道乗りは、持ち前の不幸のために、少しだけ歪んでいた。

カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/16818093081401602658

アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/novel/827804480/736907259

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